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今週のミャンマーでの死者を出した空爆についての認識は、メディアによって操作されている(要点)

ミャンマーでの空爆事件を巡る地政学的な状況について、アンドリュー・コリブコ氏の分析の要点。
Perceptions Of This Week’s Deadly Airstrike In Myanmar Are Being Manipulated By The Media



 2023/04/11、ミャンマー空軍が爆撃を行い、武装勢力と民間人、合わせて165人以上が殺害された。CNNはこれを非武装の標的に対する違法な侵略行為であると主張たが、実際には殺害されたのは、影の政府と呼ばれる「国民統一政府(National Unity Government/NUG)の新しい行政事務所開設を祝う為に集まっていた戦闘員達だった。

 全ての国はその領土主権を国連憲章によって保証されているので、所謂「並行政府」を作ろうとするこの種の試みに対して攻撃を行ったことは、国際法の観点からは何も悪いことをした訳ではない。一部の民間人が巻き添え被害を受けて死亡したことは残念ではあるが、現在の状況を考えると、その「開会式」に出席するリスクを認識していた筈だ。



 英国はこの件に関して安保理で空爆を非難し説明責任を求める声明を出そうとしたが、中露によって阻止された。両国はミャンマーに対して戦略的関心を持っている。

 ・中国:ベンガル湾での緊張に関して、中国は対インドでミャンマーとスリランカと諜報提携している。また、北京は中国-ミャンマー経済回廊(China-Myanmar Economic Corridor/CMEC)の成功の為にミャンマーの軍事政権との協力を望んでいる。

 ・ロシア:ロシアはミャンマーに軍事協力している。特にミャンマーと隣国バングラデシュとの間でどちらにも受け入れられずに無国籍化しているロヒンギャの人々の問題を解決する為に、ロシアが今後仲介役を買って出る可能性が有る。

 英国とそのお仲間の西洋ギャング共は、当然ハイブリッド戦争によってこの状況を悪化させたいと思っている。



 ミャンマーはインドと中国の両方に隣接している為、西洋のエージェントが勝利してミャンマーがウクライナの様なNATOの前衛基地と化した場合、両国の国家安全保障はより複雑になる。そして今は印中のライヴァル関係が特に悪化している最中なので、今回の様な事件は悪影響を及ぼす可能性が高い。

 西洋大手メディアはこぞってこの空爆を非難しているが、それはミャンマーに対して圧力を強める口実が欲しいからだ。

 だが、それでも出来るのは世論の関心を集めること位だ。ミャンマー国軍と反政府武装勢力との戦争は既に2年続いているが、西洋諸国が通常の「人道的介入(つまり空爆)」か、後者への支援を倍増でもしない限り、現在の膠着状態はこれ以上具体的に動かし様が無い。

 この展開は、中国と親しい隣国タイが、5月に総選挙を控えている時期と被っている点にも注意する必要が有る。米国はその代理人候補に対する支援を強化しているが、ミャンマーのNUGに対する支援が同時に倍増された場合、若しタイで米国の代理候補が権力の座に返り咲いたりしたら、ミャンマーでの紛争がより声高に騒がれて、「より直接的な種類の介入」へとエスカレートする可能性が有る。

 現状ではこれ以上の展開を予測することは困難だが、ミャンマーの紛争に関する今後の報道と、タイでの選挙結果は注意して観察しておく必要が有る。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
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