米国の歴史ある一般向け科学雑誌
Scientific American(日本版は日経サイエンス)が、Web2.0を意識した
Science2.0という試みをはじめました。これは掲載される記事に読者との双方向性のコミュニケーションを取り入れようというもので、記事の草稿が出版の数ヶ月前にウェブ上に掲載され、読者がその内容に質問やコメントをして、それらをエディターが取り入れて原稿を最終的に仕上げる仕掛けです。読者が自由にエディットできるわけではないので、WikipeiaほどWeb2.0的ではないのですが...
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第一回目の記事は科学者とWeb2.0に関する評論です。おそらく今後も、科学に関するテクニカルな"理系的”な記事よりも、科学と社会の関わりや、科学者の文化や問題意識など”文系的”な記事が、Science2.0に使われるのではないかと思います。
サイエンスの領域では(特にアカデミアでは)Web2.0的な試みが現在まではそれほど成功していないようですが、同記事で、Web2.0的科学雑誌の先駆けであるPLoS ONEのエディターSurridge氏は"科学者の昇進や就職にはピア・レビューされた論文のみを業績としてカウントするので、カウントされない(Web2.0的)なブログなどは時間の無駄だと考えがち(The peer-reviewed paper is the cornerstone of jobs and promotion, Scientists don't blog because they get no credit.")とコメントしています。
余談ですが、
Wikipediaの”PLoS ONE”の解説では:
PLoS ONEは論文の評価は(主として)実験手技が適切になされたかで掲載を決定し、その後の評価は読者に任されるというシステムをとるので、玉石混合になる可能性がある。その結果雑誌のインパクトファクターは(他のPLoS Journalsに比べて)低くなるであろう。
It does not use presumed importance of a paper as a criterion for rejection. Instead, PLoS ONE only verifies whether experiments were conducted properly and will publish any paper where this is the case. This will facilitate publication of topics not commonly assumed to be important, while it will make it more difficult to search for important papers on PLoS ONE. This might be alleviated by allowing the readers to rate and comment on papers after publication, thus highlighting the item. This policy is likely to produce a low impact factor of PLoS ONE compared to other PLoS journals once assigned.
と解説しています。
ピア・レビュー業績至上主義のアカデミアでWeb2.0的な仕掛けを、どういう具合に生かすのか、どう評価するのかが今後の課題でしょう.