地球レベルでの所得格差や医療レベルの格差などGlobal Povertyは、大都市の大学に勤務するものにとっては意識することのあまり多くないトピックでした。しかし、今週はふだん目を通している科学雑誌にGlobal Povertyに関連した記事や論文が多くハイライトされていることに気づきました。
これは、Council of Science Editors (科学雑誌編集者会議)のキャンペーン「
Global Theme Issue on Poverty and Human Development」によるものです。このキャンペーンに参加するNature, PLoSなどを含めた235の科学・医学雑誌に掲載された(される)すべてのGlobal Povertyに関する記事(原著論文、レビュー、エディトリアル等)はオープンアクセスとなり、リンクににより「
Global Theme Issue on Poverty and Human Development」のサイトに集積されます。これにより今までに例をみない
世界最大規模のオープンアクセス可能なGlobal Povertyに関する科学オンラインリソースが形成され、パブリック・アウエアネスの促進と、今後の研究をサポートする重要な基礎固めができると期待されます。
例えば「Global Theme Issue on Poverty and Human Development」に参加している記事には:
免疫学の分野では
Nature ImmumologyのHIV ワクチンに関する:
Science, medicine and research in the developing world: a perspective
―Frances Gotch & Jill Gilmour―
As part of the Global Theme Issue on Poverty and Human Development, Frances Gotch and Jill Gilmour describe the development of laboratory capacity to support HIV vaccine trials as a model for technology transfer in the developing world.
ナノ・テクノロジーの分野では
Nature Nanotechnologyの水をきれいにする技術に関する:
Nanotechnology and the challenge of clean water
―Thembela Hillie & Mbhuti Hlophe―
Access to 'potable' water would transform the lives of many people in the developing world. Nanotechnology is already being used to remove contaminants from drinking water and increase the availability of fresh water, but there is still a long way to go.
また、
PLoSでは
1日1ドル以下でGlobal Povertyに対抗する最も効果的な手段を50字で答えよ
(Which single intervention would do the most to improve the lives of those living on less than $1 a day?)
という質問に対しての、コロンビア大学の経済学者で”The End of Poverty”の著者
Jeffrey Sachsやハーバードの医師でハイチでHIV患者の治療に当たった
Paul Farmerなど30人の答えを「Thirty Ways to Improve the Health of the World's Poorest People」として掲載しています。
日頃は科学雑誌を”インパクト・ファクター”として見がちですが、オープン・アクセスとリンクにより地球規模の問題に科学者が貢献できるフレームワークとしての重要な機能も今後担っていくのでしょう。