ニューヨークタイムズではTalk to the Newsroomという各セクションのエディターに読者が質問できるコーナーがあります。
サイエンスセクションのエディターLaura Changに対する質問で「サイエンスレポーターの職業につくにはどんな教育やトレーニングが必要ですか」というものがありました。
Laura Changによると、現在のニューヨークタイムズのサイエンスセクションのスタッフにはおおむね大学でサイエンスの教育を受けた者が多く、Ph.D.を持っているひともいます。そして、フォーマルなサイエンスの教育を大学で受けていることは、知識の点や、現場の科学者の心情を理解する上で役立つことも多く、また応募者の履歴書を見る際に、サイエンスのバックグラウンドを持っている応募者に若干多く注意を払う可能性があります。
しかし、サイエンスのバックグラウンドを持たない有能なサイエンスレポーターもいます。その一例がアポロ月着陸の記事”MEN WALK ON MOON”などで知られる現役の記者John Noble Wilfordです。Wilfordの2009年1月の最新の記事は「
From Arctic Soil, Fossils of a Goliath That Ruled the Jurassic Seas 」。サイエンスのバックグラウンドを持たない記者の強みは常に一般の人(laymen)の視点を忘れないことでしょうか。
Laura Changは続けます:
サイエンスジャーナリズムで重要なのは、あなたが何を知っているか(what you know)ではなく、サイエンティストらが知り得たことをあなたがどれだけ理解し(how you learn what other people know )いかにそれを人に伝えるかである(how you convey that knowledge to other people)
また、John Wilfordはこう言います:
どんなに広くサイエンスを大学で学んでいても、実際のジャーナリズムの現場で出会う出来事はあなたの専門領域とはかけはなれたものであるはず。サイエンスジャーナリズムの現場で必要な科学に関する基礎知識すべてを大学で網羅することなどできない.....
No matter how broadly you are educated in college, in the real journalistic world, something you cover will be out of your field. You cannot be exposed to all the things you need. In 10 years you'll be learning things your professors didn't know."
そして、サイエンスジャーナリズムに必要な資質とは、
ー何にでも好奇心を持てる(curiosity about just about everything)
ー競争心がある(a competitive nature)
ー精神的/肉体的スタミナがある(mental and physical stamina)
そして、当たり前ですが、
ーシャーナリストとしての基本ができていて、高い倫理をもっている(a grounding in the basic practices and ethics of journalism, which are best learned through experience)
正論で普通すぎて参考にならないかも知れませんが、これが一般論として言える最大限のことなのかもしれません。また、バックグラウンドが何であれ、実際に現場での経験から学ぶべきことが重要なのでしょう。ただ、まずエントリーレベルのサイエンスジャーナリストとしての職に就くためには、大学でのサイエンスのバックグラウンドはプラスであることに間違いはないでしょう。