株式会社リクルートライフスタイルの導入事例: Google Cloud Bigtable などの Google 最新機能を駆使して、リアルタイム分析のコストを 10 分の 1 に。
2016年2月22日月曜日
■ 事例概要
Google Cloud Platform の様々なサービスを利用し、『じゃらんnet』や『ホットペッパービューティー』などのサービスでログのリアルタイム分析基盤を構築。
■ 写真左から
明智 那央さん 吉田 啓二さん 宮井 康宏さん
■ 利用中の Google Cloud Platform サービス
Google BigQuery、Google Cloud Bigtable、Google Cloud Dataproc、Google Cloud Pub/Sub、Google Container Engine など
株式会社リクルートライフスタイルは、『じゃらんnet』や『ホットペッパー グルメ』『ホットペッパービューティー』など、それぞれのジャンルで国内最大級の規模を誇るサービスを開発・運営している企業。当然のことながらその利用者数とそこから生まれるデータは膨大で、その活用は急務と言えました。
そのアクセスログを新たなビジネスチャンスに結びつけようという具体的な動きが始まったのは 2015 年の夏ごろ。吉田さん率いる少数精鋭のエンジニアによる社内プロジェクトがスタートし、まずは大量のログ データを集計・可視化する基盤作りを始めることになりました。
「それまでもログを可視化する仕組みは存在していたのですが、主にコスト面の事情から直近 3 日分のデータしか利用できないなど、できることが限られていました。そんな中、『じゃらんnet』から、より長期間のログを活用したいという声が上がってきまして…。 解決方法を模索していく中で Google Cloud Platform に行き着きました」(吉田さん)
まず吉田さんたちが使い始めたのが Google BigQuery。単純にコスト面で有利なことに加え、何より高速であるということもリクルート ライフスタイルの各種サービスが求めるニーズに合致していました。
「我々の規模のサービスのログをリアルタイム解析したいと考えると、もうBigQuery しか考えられないというくらいのインパクトを感じました」(明智さん)
これを受けて 2015 年秋頃には単にログを溜めるのではなく、それをリアルタイムに集計し、リアルタイムにサービスに返すという試みもスタート。当時まだ公開されたばかりの Google Cloud Bigtable をいち早く採用するなど、新しい技術をさらに貪欲に活用し始めます。
「当時は β サービスが始まったばかりだったということもあって、少なからずトラブルもあったのですが、Google の丁寧なサポートもあり、乗り越えることができました。こうした有望そうなサービスを積極的に試していくのも我々のような実験的プロジェクトの使命。もし何かトラブルがあっても、サービス本体への直接的な影響はまださほど大きくありません。こういうところでリスクを取って、会社に知見や経験を蓄積していくことも大切だと考えています」(吉田さん)
こうして、徐々にプロジェクトで利用するサービスの大半を Google Cloud Platform に移行。現在は BigQuery、Bigtable のほか、Google Cloud Dataproc、Google Cloud Pub/Sub、Google Container Engine などを活用し、各サービスの膨大なログを処理しています。中でも特に Dataproc の本格導入はリクルートライフスタイルが事実上の国内第一例となりました。
「Dataproc で気に入っているのが全体的な動作が機敏であること。ジョブを投げるとすぐに結果が帰ってくるので、トライ&エラーがしやすい。実験段階で何度も起動したり落としたりとうことを繰り返すのでとても助かりました」(宮井さん)
「これまでおよそ 5 分かかっていたことが 1 分くらいで返ってくるというのはなかなかに衝撃的な体験でしたね。開発・検証の無駄が大幅に削減できたことで、はっきりと生産性が上がったという実感があります」(吉田さん)
もちろん Google Cloud Platform への移行を考えた最初の理由であるコスト削減も達成。現在は 4 万スループット/秒程度の利用を想定しているそうですが、吉田さん曰く「Google 以外のサービスと比べて、費用が 5 ~ 10 分の 1 程度になりました」とのこと。実験的なプロジェクトということで、予算が限られる中、これは非常に大きな成果だったと言います。
現在、『じゃらんnet』では、宿泊プランの検討時に「昨日この宿泊施設を●名が予約しました」などといった情報が表示されるようになっています。「こうした情報をユーザーに提示することでコンバージョン率が跳ねるということは分かっていますから、今後はそれを他のサービスにも拡大していきたい。今回、Google Cloud Platformでこの仕組みを低コストに実現できることが分かりましたので、よりいっそう活用していくことになるでしょう」(吉田さん)
「具体的には Google Cloud Logging や Google Cloud Monitoring の導入を検討中です。また、これら新規サービスを積極的に活用していくために開発管理ツールの Cloud Deployment Manager も試してみたいですね」(宮井さん)
「後は Amazon Web Servicesで 言うところのAWS Lambda に相当するアプリ実行環境がほしいですね。現在はまだそれに相当する機能が存在しない(注)のですが、今後、これらの機能が実装されていくのであれば、将来的に Google Cloud Platform に全面移行するということも充分にありえると思っています。」(吉田さん)
【注】取材後の2016年2月11日、Google Cloud Platformに Google Cloud Functions が追加(現在はα版)されました。
【関連リンク】
■株式会社リクルートライフスタイル Tech Blog
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