公衆の面前で堂々と女を殴打するヘルメット男……
目撃する群衆は何もしない、助けるでなく、通報するでなく……
動揺して騒ぐ事もなく只 眺めるだけだ。
実に異様な光景だ。(あーでも、お隣さんの国なんかでは良くありそうな光景だな…なんて言っちゃダメか?)
彼等には理解できないらしい、眼前で犯罪が繰り広げられると云う事実が理解できないものと見られる。
そもそも こんな風体の輩が街を歩けば、それだけで騒ぎになる筈だ。
少なくとも現代の我々は こう感じる。
ところがサイマティックスキャンが絶対至上となっている この社会の人々には判らないらしい。
スキャナーが判定する数値を価値判断の根本としている この社会を生きる人々は、数値が正常と表示されれば危険と判断できないらしい。
サイコパスが生み出した社会、その中を生きる人々は自分で考える事もなくシステムが流す情報に従うだけだ。
よってスキャナーが欺かれれば(ヘルメットは他人のサイコパスをコピーし、自分のものに見せかける機能があるらしい)…異常な犯罪が堂々と行えてしまう。
ドローンの AI は勿論サイコパス判定でのみ判断・行動する。
だから目前の犯罪を止める事もなく、あろう事か被害者の女に対して、「ストレスケアが必要です」 などと話しかける。
滑稽さすら感じさせる この光景…空恐ろしくもある。
この街では防ぐ手段はない…朱も この世界・時代の住人と云う訳か。
スキャンの判定に頼らず自分の意識で判断しようとは考えないのか?
しかし異常性への自覚はあるらしい。
「こいつら案山子か」 只 犯罪を見物していただけの群衆に対する宣野座の台詞だ。
槙島の出現によりサイマティックスキャンによる統治体制は揺らぐ。
彼は犯罪者なのだが、現代の我々と感覚が近い様な感じがする。
盲目的にシステムに依存する大衆を認めたくないのかもしれない。
社会(コミュニティ)が違えば人間の常識も変わる、これに時代の違いが加われば時に信じられない様な差異を見せる事もある。
現代の日本に生きる我々にとって、理解できない常識など幾らでもある。
未来となれば、それは どれだけ変異するものなのだろうか?
そんな違いを描いた作品だと言える…これは SF ならではの思弁だ。
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テーマ : PSYCHO-PASS サイコパス ジャンル : アニメ・コミック