ウンチとオシッコ
父が転院して2か月弱。 以前より熱を出すことが減ったように思う。 病院の衛生に感する意識の違いもあるだろう。 先日、東京の遷延性意識障害者と家族の会のわかばさんのリハビリの講習会に参加させていただきました。バランスボールを用いたプログラムはとても良いと感じ、病室にバランスボール2個持ち込んでちょこちょことリハビリをしている。毎回空気を入れたり抜いたりは面倒くさいけれど、膨らませたままでは4人部屋で仕方がないことだ。 転院する前、自宅と病院が近くになることもあり、 なんとか父を短時間でも外出させたいと思っていた。そして出来ることなら在宅にしたいと思っていた。実際問題としてできるのかはまだわからないが、とにかく父の世界を病室だけということではなく家庭と四季がある「生活」を取り戻したいと思っていた。 今、外出に向けて看護師さんから痰の吸引、オムツの替え方、経管栄養の仕方を教わっている。 初めは短時間の外出で、昼食後に病院を出て夕食前に戻るつもりだと師長に話したのだが なぜか看護師さんたちみんな、父が退院すると思ってどんどん教えようとする。 個別には「外出です!」と説明しているけれど、1度広まった「退院説」は打ち消すのは大変みたい。 自宅介護へと進むのかは、外出を何回か経験してからその先を考えたいと思っている。 父は意志の疎通が出来るようになってからずっと「家に帰りたい」と訴えている。 母も私も猫のみーちゃんも、父と暮らしたいと思っている。 現実問題、母と二人で介護が出来るのか? 古い我が家の造りで、介護に対応出来るのだろうか? 介護サービスはどこまで受けられるのか? 往診の医師、看護師、ヘルパーさんたちが家に出入りすることに 母は耐えられるのか?(家に人を招くのはあまり得意ではない) そんなこちらの思いとは別に 父の家への思いは日増しに強くなっている。 同じ病室の方が一人、年末年始を自宅に戻る方がいる。 カーテン越しとはいえ、一時帰宅の打合せは丸聞こえだ。 それが父の気持ちを焦らせる。 病院に行くと父は何かを訴えている顔をしている。 お正月は家に帰りたいといって目をうるうるさせる。 まだ準備が整っていないから、今はまだ無理だよ。 今帰ってきても吸引器も介護用ベッドも何もないんだよ。 焦らないで、焦らないで、お母さんも私も吸引の練習がまだ完璧じゃないよ。 そう話すと納得はしてくれるのだが、 面会時間の終わりに帰り支度をはじめると また泣きそうな顔になる。 今日は父に「お父さん、帰りたいけど今はまだ帰れない。一人で過ごすのは寂しくて仕方がない。辛くて辛くて仕方がないって気持ちはわかっているよ。でもさ、お父さんはまだ帰れないのが不満で、 不満とか気持ちがふさぎ込むと、すぐに熱を出したり具合が悪くなるじゃない。自分で自分の具合を悪くしているよ。具合が悪いのに病院から家に戻るとか無理でしょ? 『おうちに帰る』を実現するのに、お母さんも私も頑張るけれど お父さんも自分の出来ることをしてくれなくちゃ困るよ。 お父さんの任務は、ひとつひとつの出来事を悪い方に思わないこと。すべては明日のためにと思って 自分で希望の種をつぶさないこと。そして体調を整えリハビリすることだよ。これはお父さんにしか出来ない任務だよ。誰も代わってあげられない。お父さんがするんだよ」 父はまばたきでウンウンと返事しながら聞いてくれた。 私は内心、父に説教するなどお前は何様だ!!と思いながら・・・ 話しはちょっと違うが、紙オムツを替えるとき 父はとても恥ずかしがる。 相手が看護師さんでもケアワーカーさんでも母でも私でも。 母は以前から「恥ずかしがらないでお任せしなさい」と父に言っていた。 今日、ケアワーカーさんと一緒にしていたらやはり恥ずかしがった。 終わった後で父と話した。 お父さんが恥ずかしいって気持ちは当たり前だよね。 私だってお父さんの立場になったら きっと恥ずかしいという気持ちを なくすことは出来ないと思う。 人間としてそう思う方が自然だよね。 それと同じで、私とお母さんがお父さんの オシッコとウンチのお世話をするのは 全然イヤじゃないって言うのも普通だと思う。 お尻も、おちんちんも含めてお父さんだし、 お父さんが大好きだから。 お父さんは恥ずかしいなぁ〜って思ってて それを私たちもわかってて、 私たちがお父さんのウンチとオシッコの 世話をするのは平気って思っていることを お父さんがわかってる。 そのまんまで良いんじゃない? 両方ともそれが当たり前なんだから。 父はウンとマバタキをした。 私はなんか雲が晴れた感じがした。 みーちゃんは写真のように、毎日元気にしています。 「じーちゃんはどこ?」と聞くと、辺りをキョロキョロします。 何回も聞いたら、じーちゃんの車椅子のところに走って行きました。 みーちゃん、じーちゃんのことをちゃんと覚えている。 早く会わせたい。来年こそっ!!と決意を新たにしたEKKAでした。
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