2年ぶりのお花見
あっという間に桜の季節がやってきて、
通り過ぎようとしています。
今年の冬は寒かったのに、3月からいきなり暖かくなり
遅れていた梅も水仙、木蓮も咲き、桜、海棠、沈丁花、雪柳も
みんないっせいに満開になりました。
我が家のみーちゃんも春の日射しに喜んでいます。
春支度を急いでいるようで、毎日のブラッシングで
大量の毛が抜けます。両手にこんもりとなるくらいです。
さて、もう1週間以上すぎましたが、3月24日の日曜日に
我が家の久しぶりの花見を行いました。
父に車椅子に乗ってもらい、病院の門の両脇にある2本の桜の
花見でした。
前日に、桜の枝をこっそり折って父に見せたのです。
「お花見したいね〜」と言ったら、父がまばたきを何度もするのでした。
「うん、うん、うん」という感じです。
次の日の朝に、母に一緒に行って「お花見」をしようと誘いました。
母は父を外に連れ出すのは無理なんじゃないかと心配しました。
私は、無理なようなら引き返せばいいんだし、
出来ればラッキー♪と言うことで用意だけしていこうと説得しました。
寝間着だけでは寒いので、私のパーカーと
父のスウェット生地のズボンを持って行きました。
病院に着くと、父は熱もなく具合は良さそうでした。
お花見に行く?と聞くと、父は行かないと答えました(まばたきで)
どうして?昨日は行きたいって言ってたじゃない?
父は「・・・・」
もしかしたら、外に行くのが怖かったのかもしれません。
車椅子には乗る?と聞くと、「うん」と。
それならば、「お父さん、たまにはオシャレしよう」と
ズボンを履かせ、パーカーを着せて、靴を履かせ
車椅子に乗せました。
車椅子には痰が出でも拭き取れるようにティッシュの箱を吊るし
ゴミ袋もつけて行きました。
「今日は日曜日だからロビーにも人がいないよ」と言って1階まで降りました。
父に「すぐそこに桜があるから行こうよ」と言い
強引に外に連れ出しました。
父にとっては事故以来1年半振りの外の空気です。
(転院の時に一瞬外に出ましたが)
駐車場の合間を抜け、桜の木に近づいて行くと、
父の視線が桜を見ていました。
実は父の視力がどこまであるのかわからないでいたのですが
20mぐらい離れている桜を視線が捉えているのをみると
見えているのだと確信しました。
父の顔が感嘆符で溢れているのがわかりました。
(表情筋は動かないのでわかりにくいけれど)
母も嬉しそうに父の顔を見ていました。
「おとうさん、桜、見える?」何度も聞いて
父は何度もパチパチと返事をしていました。
こんな穏やかな日がくるなんて少し前までは想像すら出来ませんでした。
わずか10分ほどでしたが、幸せな時間を持つことができました。
座ることが出来るということで、車椅子に移乗することも
以前より簡単になりました。
身体を縦にすることで色々なことが起きています。
座っていると、顔がシャキッとするのです。
そして座っている姿を見ると助手さんたちがやってきて
「Sさん、こんな顔してたっけ? いい男だねぇ」と言ってくれるのです。
父はこれを聞いて照れたらしく、助手さんが「Sさん、笑ったでしょ?」と言いました。ほんの少しの変化に気付いてくれたのです。
寝ている時は動かない口角が右側だけ少し上がったのです。
この写真は、背中側にクッションを積んで倒れ防止をしていますが
ほんの少しの時間ですが父の力だけで座っているところです。
ベッドの柵やらのゴチャゴチャと私の背中の贅肉のことはスルーしてください。
みーちゃんも、早くじーちゃんに会いたいね♪
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