カーネーション:再放送 (第103,104回・2018/8/29) 感想
NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』(公式)
第18週『ライバル』の『第103回』と第19週『自信』の『第104回』の感想。
※ 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
【第103回】
東京で優子(新山千春)を教えている原口(塚本晋也)が小原家に立ち寄る。優子が心酔していたので千代(麻生祐未)は結婚の申し込みかと心配し、糸子(尾野真千子)はもちろん、直子(川崎亜沙美)にすら、あきれられる。原口のデザインについての話に聞き入る糸子たち。原口は直子が描いた絵から才能を見抜く。直子は一晩原口と話し込み、自分も上京して優子が通う洋裁専門学校に進み、原口の教えを受けたいと糸子に申し出る。
【第104回】
昭和33年、直子(川崎亜沙美)が東京の服飾専門学校に進む日が近い。糸子(尾野真千子)は八重子(田丸麻紀)からディオールの最新デザイン、トラペーズラインの写真を見せられるが、肩から裾に広がるシルエットがアッパッパのようでよさが全く理解できない。北村(星田英利)から一緒にそのデザインの服を作ろうと持ちかけられるが、きっぱりはねつける。東京でバカにされまいと服や髪型に悩む直子は意外な服装で上京する。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---
【第103回】
直子の「楽ちゃう方が… おもろい」が良かった!
本放送時は、2012年2月5日(土)で、第18週『ライバル』の最終回。時は、前回同様に昭和32年(1957)の秋か。今回の大きな見せ場の1つは、後半で描かれた、「喫茶 太鼓」で直子と聡子が、北村にホットケーキをごちそうになっている場面だろう。北村が、優子と直子が糸子の跡を継がないと言っていたことを話し出す。
北村「何じゃ お前ら? お前ら2人ともよう
『死んでも お母ちゃんの後なんか継ぐか』言うちゃあってんけ。
せやけど あれやぞ よう考えよ。
おかんと おねえと一緒の仕事っちゅう事は 案外 きつい話やど。
いっぺん 同じ土俵に立ったらな
身内や言うてもお互い敵になるっちゅう事やさかいな。
おかんとも おねえとも
いつか 闘わなあかん日が来るかもしれんど」
直子「かまへん」
北村「ちっとは離れちゃあった方が気ぃは楽ちゃうか?」
直子「そら 楽かもしれんけど 楽ちゃう方が… おもろい」
今週のサブタイトル『ライバル』になぞらえて、北村が「敵」と言う表現で優子と直子を対比させ、直子の「楽ちゃう方が… おもろい」と言う直子らしい勝気な気持ちも描かれ、少しずつ三姉妹の内の優子と直子の性格が見えて来て面白いシーンだった。特に「楽ちゃう方が… おもろい」と言った時の直子の表情が喧嘩腰で良かった。
遺影の3人が「手に負えんのは 糸子も」と微笑んでるよう…
そして、昭和33年(1958)の元旦。(久し振りに?)糸子の長妹・静子が登場。一男一女の子どもがいるようだ。何気ない小原家の正月風景から始まって~の家族会議。優子が通う洋裁専門学校に進むために上京する直子が、優子と一緒に住むと言う。
そんな直子に優子が猛反撃。糸子は、何とか仲裁に入るが、勝気な直子に歯が立たない。そんな漫才みたいなやり取りが面白い。
優子「洋裁は うちの道や!」
糸子「うちの道て 1人しか通れん道 ちゃうがな。
一緒に仲良う目指したらええやろ」
優子「嫌や… 嫌や… 絶対 嫌や!」
糸子「はあ? 何が そこまで嫌なんや?」
直子「姉ちゃんはな」
糸子「うん?」
直子「うちの才能が 怖いんや」
糸子「はあ?」
優子「はあ!?」
そして、直子に歯が立たない優子は、外に出て泣き出す。平気な顔の直子。そんな娘2人のやり取りを見た糸子が、仏壇に手を合わせて、か~るく愚痴る。
糸子(M)「優子が笑たら 直子が泣き 直子が笑たら 優子が泣く
お父ちゃん おばあちゃん 勝さん。手に負えんわ」
遺影の中の3人が、糸子に向かって「手に負えんのは 糸子も一緒やった」と、口をそろえた微笑みながら言っているように見えた…
1週間をまとめた回ではあるが、物足りなさもある…
最近の土曜日にしては、かなり1週間のまとめと言った雰囲気で良かった。でも、やはり物足りないのだ。あまりにも「少しづつ」過ぎるから。
特に、三姉妹のキャラクター、具体的に言えば、1人1人の好みや嗜好の類、洋裁や絵画に関しての思い入れや考え方の違いなどが、あまりにも「少しづつ」しか描かれないから、どうしても脳内補完せざるを得ない。
今や、三姉妹の幼少期から少女期は過ぎてしまったから、無いものねだりをしても仕方が無いが、やはり物語の流れ自体は、とても興味深いし、実際に面白いだけに、「不倫」に割いた時間が勿体なかったなと。あれの尺をもっと摘まんで、その分だけ早い段階で、どっさりと三姉妹のことを描いたら良かったと思う。
例え、一時的に “糸子が脇に” 回ってしまっても、現状が既に “誰が主人公だか分かり難い状態” なのだから、やるべきだったと思う。もしも、そうやっていたら、好意的に脳内補完しなくても、ラストでの優子の号泣の理由が鮮明になって、『ライバル』にストンと帰着したのではないだろうか。
そして、予告編によると、ついに来週は聡子役で安田美沙子さんが登場する。少々存在感の薄かった聡子に光が当たると良いのだが…
【第104回】
月曜日から、いい滑り出し! 人間たちが生き生きして見える
本放送時は、2012年2月6日(月)で、第19週『自信』の第1回目。時は、昭和33年(1958)。まず、冒頭でサクッと時間経過。冒頭での安岡美容室を舞台にした、八重子を介しての糸子、玉枝を介しての直子のやり取りがとても面白かった。
そう感じたのは、先週が「状況説明過多」だったために、登場人物たちが説明のために動かされていたのに対して、今週の登場人物たちは自ら動き出している感じだからだ。要は、人間たちが生き生きして見えると言うこと。月曜日から、いい滑り出しだ。
糸子が偉そうに「アッパッパ」を連呼するだけで楽しくなる
中盤での、北村と糸子と直子のやり取りも面白かった。フランスのデザイナーである“ディオール”と“サンローラン”のデザインの話を通じて、糸子と直子、そして北村の商売の話が描かれた。そう、子育てや三姉妹を描かないなら、このように商売を描くべき。
オハラ洋装店の商売を描くことで、少なくとも糸子と直子のキャラが見えて来るし、説明でない “生きた会話” が聞けるから単純に面白味が増す。それに何より、糸子が偉そうに「アッパッパ」を連呼するだけでも、威勢の良かった若かりし頃の糸子が重なって楽しくなる。『カーネーション』は、こうでなくっちゃ。
"小原家のDNA" を物語と演技で魅せた「テレビが来た日」
そして、直子が東京へ旅立ったある日。糸子が、直子が居なくなった寂しさを紛らわせるために、「テレビジョン」を買った。そう言えば、以前に1週間だけ住み込みで糸子に洋裁を教えた根岸先生が東京に帰ってしまい、火の消えたような家に善作がラジオを買って来たことがあった。
今回のテレビを見ながら手を叩いて大喜びの糸子の笑顔を見て、“善作の DNA” を感じた。そしてDNAと言えば、直子が東京へ旅立つ朝に、直子が着て行く服で悩んで寝転がっては不貞腐れた時の顔は、正に “糸子の DNA” を感じ、前回で「楽ちゃう方が… おもろい」と言って鼻先で笑ったような直子の表情は、そうだ、“善作の DNA” の顔だったのだ。
今は劇中に存在しない登場人物の面影まで描いて、今生きている登場人物たちも生き生きと描く。やはり、いいじゃないか…『カーネーション』。
あとがき
先週が時間経過と状況説明で、全体の印象が落ち着かなかっただけに、今週(と言っても、まだ月曜日ですが)は実にいい感じです。個人的は周防のくだりを削って、1月上旬に今回を持って来たら、良かったように思いました。今週は、この調子で「名作の予感」を大いに漂わせていた頃の本作に返り咲いて欲しいです。
でも、予告編を見た限りでは、物語が糸子を含めて動きそうなので、この第19週は、新生・三姉妹の魅力が炸裂してくれると良いなと思います。
最後に。前回もかなり手厳しい内容の感想なのに 37回もの Web拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。聡子役が安田美沙子さんになって、一気に華やいだって感じですね。内容も、三姉妹の個性が描かれて良かったです。これで巻返して欲しいです。
残念ながら、まだ、本人は気付かずに “ネタバレ” を書いて「教えてあげるよ」と言わんばかりの人がいます。本当に “ネタバレ” は止めて下さい! 私以外にも、この再放送が初見で、番組と私の感想を楽しみにしている読者さんがおられるので。引き続き、ご協力お願いいたします。 ※暫く、テンプレです(謝)
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/11793/
【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,16> 17,18
第4週『誇り』
19,20 21,22 23,24
第5週『私を見て』
25,26 27,28 29,30
第6週『乙女の真心』
31,32 33,34 35,36
第7週『移りゆく日々』
37,38 39,40 41 42
第8週『果報者』
43 44,45 46,47 48
第9週『いつも想う』
49 50,51 52,53 54
第10週『秘密』
55 56,57 58,59 60
第11週『切なる願い』
61 62,63 64,65 66
第12週『薄れゆく希望』
67 68,69 70 71,72
第13週『生きる』
73,74 75
第14週『明るい未来』
76 77,78 79
第15週『愛する力』
80 81,82 83,84 85
第16週『揺れる心』
86 87,88 89,90 91
第17週『隠しきれない恋』
92 93,94 95,96 97
第18週『ライバル』
98 99,100 101,102
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