カーネーション:再放送 (第46,47回・2018/6/5) 感想
NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』(公式)
第8週『果報者』の
『第46,47回』の感想。
※ 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
【第46回】
糸子(尾野真千子)のもとに、300坪のテントを一晩で縫うという大仕事が舞い込む。あきれつつもハル(正司照枝)が手伝い、テントは完成するが、糸子はミシンを踏み過ぎて膝を痛めてしまう。医者の言いつけに背いて糸子は仕事を続け、看護師の制服作りまで思いつく。祝言の翌日が期日とあって、当日もミシンから離れず、花嫁なのに大遅刻してしまう。しびれを切らして迎えに来た奈津(栗山千明)は、目の前の光景に驚かされる。
【第47回】
膝を痛めて立てない糸子(尾野真千子)は、奈津(栗山千明)に背負われて祝言に向かうが、婚礼衣装を忘れてしまう。しかし奈津に衣装を借り、美しい花嫁姿となる。勝(駿河太郎)に優しく迎えられ、一同の温かい祝福に糸子は涙ぐむ。翌朝、代わって納品に行ってやると言う勝に、夫がいる生活も悪くないと思う糸子。2階で紳士服を仕立てる勝はいつも機嫌がよいが、いつまでも同僚同士のような二人に、ハル(正司照枝)が注意する。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---
【第46回】胸の奥に感じ始めていた "本作への不安"
冒頭での、ニヤリとしながら「任せて下さい」と無茶振りの仕事を引き受けた糸子の印象的な表情で始まった第46回は、第8週『果報者』の木曜日だ。
ここから週末に掛けて、いや恐らく今回と次回で描くことが、本作にとっても、糸子にとっても、今後描くべきテーマの1つであり、大きな山場である “結婚と仕事の両立” の大事なスタートだと思う。そこで、ボチボチ私も本音で感想を書こうと思う。いや、これまでの感想が本音でないと言う意味で無い。
正確に言えば、糸子の結婚話のくだりが始まってから、胸の奥に感じ始めていた “本作への不安” を抑え切れなくなって来たのだ。それは、話の展開が速過ぎる、拙速過ぎるってこと。そして、それが原因で人物描写が疎かになり始め、且つ物語自体に深みや丁寧さを感じ難くなっていることだ。
仕事と祝言を両立させる糸子を "15分間" で描くとこうなる
今回の15分を見れば一目瞭然だ。確かに、仕事と祝言を両立させようと孤軍奮闘する糸子を “15分間” で描くとこうなる。
糸子「はあ~ はよ祝言 終われへんかの…」
こんな感じ↑で、糸子にとってのプライオリティーが高いのは、祝言よりも仕事って態度だ。だから、「結婚祝いの代わりに」と言った感じで、洋服を注文する客も増え、小原洋裁店の売り上げが上がっていると言う描写も、仕事のことが頭から離れないからこそ、何とか看護師の制服にも気付いたと言う描写も間違ってはいない。
流石に、第46回の展開は速過ぎないか?
しかしだ。流石に展開が速過ぎないか? 先週までなら、店を繁盛させるため悩んで、あれこれ試行錯誤して、軌道に乗せるまで、3回以上は放送を割いていた。それでも、どちらかと言えば速い展開ではあるが、それが本作の良さであり、糸子のアイデアウーマンらしさや商魂の逞しさや強い信念に見えた。
でも、それはきちんと時間を割いて描いたからのご褒美であって、同じことを3倍速以上でやっても、同じ効果が出るとは限らない。むしろ、逆に3倍希釈になってしまう可能性の方が大きいのだ。
制服の納期を祝言の翌日に設定したのも、やり過ぎ感が…
更に、ドラマチックに描くために、制服の納期を祝言の翌日に設定した。確かに、どうなるのか見たくなる。でも、その反面で、絶対何かあるよねって勘ぐってもしまう。そう、速過ぎる展開は、期待感を高めると同時に、予定調和に陥り易いと言う、相反する効果があるのだ。
糸子「どないかなるやろ」
脚本家は、この糸子のモノローグ↑で、両方を上手く交わしたつもりかもしれないが、演出が膝の故障の一件もそうだが、「300坪のテントを一晩で縫うという大仕事」を約束通りにこなすことの困難さを、深刻なハルやシリアスな劇伴を用いて描くから、これまでのような軽さや明るさに乏しく見えた。
まあ、何とか祖母の貞子の花嫁衣裳選びのくだりや、祝言会場での善作のお蔭で、コミカルな要素はちゃんと入っているから、それ程の不満は感じ難くは仕上げてはあるが…
糸子は「祝言よりも仕事が大事」と明瞭にした方が良かった
これ、どうだろう? 糸子が「祝言もあるけど、仕事も大事」と言うのでなく、「祝言よりも仕事が大事」と言い姿勢を明確に見せていたら、かなり良くなったのでは無いだろうか。祝言の準備なんてそっちのけで、足が痛がろうと眠かろうと必死に、依頼を受けた仕事に慢心する姿を描いて、祝言に遅刻する。
以前に見たような展開だが、祝言と仕事を両方「どないかなるやろ」と思っている、ちょっとこれまでの糸子とは違う糸子を描いては、折角これまで丁寧に描いて来た “夢のためなら一直線” みたいな威勢の良い糸子が薄まってしまうような気がするのだ。
ただ、これまで 46回も見て来て、僅かだが不満を感じたのは、この15分間だけ。次回の祝言の15分間に大きな期待をしたい。
【第47回】おもろい新婚生活が始まったって感じ
自分が祝言を挙げられなかった奈津が、親友の糸子にはきちんと祝言を挙げて欲しいと願う気持ちの描写から始まった第47回。そして、笑顔や涙の溢れる会場で、奈津と善作だけが怪訝な表情だったのも印象的だった祝言の日。そして、場面は祝言の翌朝。ちょっとおもろい新婚生活が始まったって感じだ。
糸子の気持ちが描かれた今回が、今週で一番良かった!
まだ、土曜日分が残ってはいるが、今週で一番良かったと思う。良かった理由は幾つもあるが、最も良かったのは、糸子の仕事の描き方。まず、15分間の尺の中で少なめだったのが良かった。そして、序盤での仕事は糸子1人、終盤での仕事は勝と2人と言う点も。
やはり、糸子の生活を描くと言う意味からすれば、仕事を描く割合は今回位が丁度良いと思う。小原洋裁店を開くまでは、がむしゃらに進んで行く様子を仕事に熱中、没頭する糸子を描くことで表現していたのは間違っていない。
しかし、前回の感想で触れたように、あまりにも展開が速過ぎたために、本来は「認められたい」とか「繁盛させたい」以外の糸子の感情描写が若干疎かになっていたのだ。もちろん、主人公がそうなのだから、脇役も同様になっていた感は否めない。
だが、今回は違った。祝言と言うシチュエーションだけにオールキャストが登場したせいもあって、しっかりと「人間」「人間の本質」を描こうとしているように見えた。事実、喜び嬉しいだけの登場人物もいれば、複雑な心境の登場人物もちゃんと描かれた。そして何より、自身を「果報者」と思った糸子の気持ちが描かれたのはとても良いことだ。
私の "朝ドラ史上最高傑作" になるかは仕事の描き方次第…
もしかして、今、私の中で “朝ドラ史上最高傑作” と言われる『カーネーション』が1つの大きな岐路に立っているのかも知れない。今後の本作を決める岐路。それを分けるのが、糸子の仕事の描き方だと思っている。小原洋裁店を始めるまでは、「糸子のだんじり=夢=洋裁=金を稼ぐ手段」みたいな描き方だった。
しかし、小原洋裁店が始まってから「糸子のだんじり=夢=洋裁=仕事」となった。でも、ここで敢えて、糸子にとって仕事って何なのか? に一度立ち返ってみる。当然、生活費を稼ぐ手段であることは間違いない。でも、今週のようにテントと制服を一度に盛り込むような描き方をしてしまうと、金銭を稼ぐことが前面に出てしまう。
何度も書くが、糸子にとって洋裁の才能は、生きて行く上で大切なエネルギーだ。だから、この度のように安易に仕事を請けて、何とか片付けちゃうような描写は、今後避けた方が良いと思う。あくまでも、糸子の気持ちを描いた上で、受注し納品する過程を描いて欲しい。
あとがき
今回の感想は、敢えて、いつものようにベタ褒めにしませんでした。やはり、展開の拙速さのために犠牲になっている部分を見逃す訳にはいかなかったからです。でも、祝言と翌朝を描いた第47回を見て、少し安心しました。だって、このまま進むと、登場人物がドタバタとやっているドラマになりそうでしたから。
やはり描かれる内容も大切ですが、物語の進む速度も大事です。さて、土曜日に当たる第48回はどれだけ時間経過するのか? それ次第では、また本作の評価を変える必要が出て来るかも知れません。
最後に。前回の感想に 171回ものWeb拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。今回の感想は、少し斜めから書きました。皆さんは、この第46,47回を見て、どう感じたのでしょう。私はもっと、糸子の人生をじっくりとしっかりと見てみたいです…
ご本人は気付かずに(だと思いますが、結果的に)ネタバレをコメントに書いている人が、多くて困っています。ホント、ネタバレは止めて下さい! 私以外にも、今回が初見で番組と感想を楽しみにしている読者さんがおられるので。引き続き、ご協力お願いいたします。 ※しばらくテンプレです(謝)
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【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,16> 17,18
第4週『誇り』
19,20 21,22 23,24
第5週『私を見て』
25,26 27,28 29,30
第6週『乙女の真心』
31,32 33,34 35,36
第7週『移りゆく日々』
37,38 39,40 41 42
第8週『果報者』
43 44,45
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