2016年10月23日に行われた、広島対日本ハムの日本シリーズ2回戦の試合結果
日本ハム 000 100 000|1
広 島 010 004 00×|5
勝 野村 1勝0敗
負 増井 0勝1敗
S -
【本塁打】エルドレッド2号
カープ先発の野村は、1アウトから中島卓に対し、高めに浮いたカーブを左中間に運ばれ、1アウト2塁とピンチを背負ったスタートとなる。
こうなると、とにかく時間をかけて、極端に言えば満塁にしてでもホームインだけは許さないというピッチングをする。
近藤を打ち取り、中田、レアードに対しては、シュート、スライダー、チェンジアップを低めに集め、甘いコースにだけは決して投げない。
中田に四球を与え、レアードにもフルカウントまで行くが、最後はアウトローのスライダーで、バットに当てるのが精一杯というライトフライに打ち取って、無失点で切り抜けた。
また、初回のカープの攻撃は、同じく1アウトから菊池がライトオーバーの二塁打でチャンスを作る。
同じ形で日本ハムを無得点に抑えているだけに、ここで先制できると流れを掴むことが出来る。
そして、丸はフルカウントから四球を選ぶが、最後のフォークがワイルドピッチとなって、菊池も三塁へ進めた。
松山は高めに浮いたスライダーを引っ張ると、ライト前へのライナーとなるが、ライト近藤がダイレクトキャッチ。
タッチアップを狙った菊池も本塁で憤死し、タイムリーで1点どころか、一気にダブルプレーでチェンジとなってしまう。
当然、試合の流れを掴むには至らず、ここからは我慢の展開が頭を過ぎる。
2回の野村のピッチングは、良いプレーがあった後に、先頭打者の出塁を許すと、相手に付け入る隙を与えることになるところで、田中賢を低めのチェンジアップでショートゴロに打ち取る。
ただ陽にはチェンジアップの抜け球で死球を与えてしまい、続く大野にはライト前へライナー性の打球を放たれる。
しかし、今度は鈴木がスライディングキャッチを見せ、ピンチを未然に防ぐ。
そして見方のファインプレーに応え、野村は増井を空振り三振に打ち取って、2回も無失点で切り抜ける。
すると2回裏のカープの攻撃では、1アウトからエルドレッドがインハイのストレートを、強引にレフト前ヒットにすると、小窪はフルカウントから真ん中やや外寄りのストレートを弾き返し、右中間を破るタイムリー二塁打で先制する。
先制直後の3回表、野村のピッチングにようやく余裕が出始めた。
カーブを使う割合が増え、1番から始まるイニングを三者凡退に抑えて、まずは試合の流れを引き寄せにかかる。
しかし4回表には、2アウト1、2塁という場面で、8番の大野をインコースのシュートでバットを折り、セカンドゴロに打ち取ったものの、不規則回転で菊池のグラブを弾く、タイムリーエラーで同点に追いつかれる。
点数的にも、試合展開的にもこれで五分という状況となり、ここからどちらのチームが先に点を取るかが次の焦点となる。
逆に言えば、このまま均衡状態で終盤まで引っ張られるならまだしも、リードを許す展開は日本ハムの今後の勢いを考えると避けたい。
4回裏は、エルドレッドが低めのストレートでショートゴロ併殺打に倒れ、いよいよ1球のミスが命取りという状況になってきた。
そして試合の行方を左右する、次の1点が入る瞬間が訪れる。
6回裏、先頭の田中がアウトコースのストレートを、コースに逆らわないバッティングでレフト線へ弾き返し、二塁打で出塁すると、菊池は送りバントの構えからバスター。
ボール気味の高さのストレートを叩き付けると、広く開いた三遊間を破っていくレフト前ヒット。
田中は三塁を回り、西川からのバックホームでクロスプレーとなり、一旦はアウト判定が出る。
しかし、ビデオ判定に持ち込まれ、キャッチャー大野のタッチが追いタッチとなり、田中の生還のほうが速く、本塁への生還が認められた。
この1点は、次の1点、単にリードを広げたというだけでなく、日本ハムとしては最高の外野守備を見せていた上での失点。
ムードが一変し、ノーアウト2塁の場面で丸が送りバントを決めると、増井が一塁へ悪送球し、タイムリーエラーで1点追加。
そして松山が初球を叩いて、良い当たりのライトライナーで1アウトとなったところで増井は交代。
代わった鍵谷は、代わり端にワイルドピッチして、1アウト3塁となり、鈴木がアウトコースのストレートを、センターへ打ち上げて、犠牲フライでこのイニング3点目。
2アウトランナーなしとなったが、エルドレッドが高めのストレートを捉え、レフトスタンドへのソロホームランで、もう1点追加。
次の1点が大きな影響を与えるという予想通り、一気にカープに流れが傾いたという一面もあるが、自力で流れを手繰り寄せたという面もある。
これは田中の走塁を指しているが、運が良くて本塁がセーフになった訳ではなく、スライディング技術、ベース前でのスピード、これは練習の成果がもたらした結果と言えるだろう。
6回を終え、5-1と4点差に広げ、7回からは勝利の方程式の一番手、今村がマウンドに上がる。
その今村はストレートで陽、岡から連続空振り三振を奪い、代打谷口をセンターライナーに抑え、三者凡退で文句なしの結果を残す。
8回のマウンドにはジャクソンが上がり、西川をセカンドライナー、中島卓をショートゴロ、近藤を空振り三振で三者凡退で抑える。
今日のジャクソンのストレートは、スピード、キレともに十分。
まともにバットに当てられることもなく、危な気なかった。
8回裏のカープの攻撃の際、日本ハムはメンドーサがマウンドに上がる。
負傷して帰国したマーティンの代役として、9回のマウンドを任される可能性も示唆されていたが、この試合では4点ビハインドの場面での登板。
先頭の菊池が四球を選び、丸がセンター前ヒットで続く。
ノーアウト1、2塁のチャンスを作ったが、松山がフォークで空振り三振、鈴木の打席で、投球がワンバウンドとなった隙を突こうとして菊池が走塁死、そして鈴木がサードゴロで無得点となる。
そして点差が変わらないまま、9回のマウンドには中崎が上がる。
先頭の中田には、所謂あっち向いてホイという感じの、引っ張りのスイングから放たれるライト方向への打球がヒットとなり、先頭打者の出塁を許す。
レアードには、追い込んでからの真ん中低めへのツーシームを引っ張られ、レフト前ヒットでノーアウト1、2塁。
しかし、田中賢を2球のストレートで追い込み、スライダーで三球三振を奪って1アウト。
大谷には外のスライダーとインコースのストレートで追い込み、最後もインコースのストレートで空振り三振を奪って2アウト。
岡をアウトコースのスライダーでセカンドゴロに打ち取り、2試合連続でリリーフ陣が無失点リレーで試合を締めた。
これで2連勝で、来週からの札幌ドームに乗り込むことが出来る。
昨日の試合もそうだったが、今日の試合もシーズン通りの試合運び。
ただ、日本ハムもこのまま引き下がるチームではない。
来週も厳しい試合となると思うが、今日のように、試合の流れをつかめる場面を、確実にものにする試合を期待したい。
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