2016年10月29日に行われた、広島対日本ハムの日本シリーズ6回戦の試合結果
日本ハム 100 300 060|10
広 島 020 011 000| 4
勝 バース 3勝0敗
負 ジャクソン 0勝2敗
S -
【本塁打】丸1号、レアード3号
三連敗を喫し、本拠地に戻ってきての6戦目。
中1日あったことで気持ちの切り替えが出来ているものと信じて応援したいが、試合を見るのが怖いという感情もある。
そして、野村の立ち上がりは、いきなり西川に右中間を破られる三塁打でピンチとなる。
アウトコースのシュートを、バットの先で拾って、ヘッドを利かせた非常に上手い打ち方をされている。
そして中島卓には全身守備を敷いてはみたものの、慎重になっての四球で、ノーアウト1、3塁。
こうなっては、1点は諦めて、大量失点を防ぐピッチングに切り替えるしかない。
岡にはショートへのタイムリー内野安打で1点を失うが、出来ればアウトを1つ奪っておきたかった。
ノーアウト1、2塁で中田を迎え、追い込んでからのアウトコースへのスライダーを、三遊間の深い位置へゴロを転がされる。
これも内野安打かという打球だったが、田中が追い付いてセカンド封殺。
そして一塁転送もアウトにし、ゲッツーという形で2つのアウトを奪った。
5番の近藤は、止めたバットにボールが当たり、ピッチャー右への緩いゴロとなるが、野村が好フィールディングで3アウトを取り、1点で凌いだ。
カープの初回の攻撃は、1アウト後、菊池が追い込まれてからアウトコースのストレートをライト前ヒットとしたが、丸はストレートとスライダーを2球見逃して0-2となり、追い込まれてからのボール気味のストレートで空振り三振。
増井に対しては、前回からタイミングが合っていない。
エルドレッドはフォークで空振り三振を奪われ、無得点に終わった。
初回で早くもビハインドの展開になったが、大量失点も覚悟という初回を1点で切り抜けたことで、試合の流れが日本ハムに明確に傾いているという雰囲気には感じられない。
2回裏のカープの攻撃では、先頭の5番松山がセンター前ヒット、鈴木がインコースのストレートを弾き返して二塁打とし、ノーアウト2、3塁のチャンス。
5戦目は、小窪、下水流という打線の組み換えが功を奏した形で、同じくノーアウト2、3塁のチャンスを作ったが無得点に終わって、流れを失っていったところがある。
この試合でも、打順を組み替えた松山、鈴木の連打でチャンスを作り、今度こそ得点を奪って、流れを掴みたいところ。
しかし、小窪はフルカウントまで粘ったものの、最後はフォークにバットが回って空振り三振。
日本シリーズノーヒットの石原に打席が回る。
この石原で得点できなければ、無失点という場面だったが、増井のワイルドピッチで思わぬ形で得点をもらった。
さらに、石原のサードゴロで、三塁ランナー鈴木が本塁突入。
松山から、鈴木に三塁ランナーが変わっていたとこで、レアードの本塁送球を焦る気持ちが出たのか、トンネルによるタイムリーエラーで勝ち越した。
形はどうあれ、組み替えた打順が機能しての得点ということは、2打席目以降も十分得点の可能性がある。
その追加点を奪うまでは、日本ハムの反撃を断たないといけない。
4回表の日本ハムの攻撃では、先頭の近藤にはセンター前クリーンヒットを打たれるが、レアードはアウトコースのスライダーで引っ掛けさせてショートゴロ。
しかし、バットの先で変則回転となった打球は、田中の前でバウンドを変え、エラーでノーアウト1、2塁とピンチが広がる。
田中賢はアウトコースのツーシームをライト前ヒット。
これがタイムリーとなるが、鈴木からの三塁返球が、三塁を狙ったレアードと重なって小窪が捕球できずにランナーが進塁し、同点に追い付かれてなおノーアウト2、3塁。
大野はサードゴロで本塁封殺して、ランナー入れ替わりとなり、増井の打席で早くも代打矢野を起用してきた。
相手の勝負手を封じきってこそ、試合の流れを渡さないことに繋がる。
その矢野との対決では、インコースへのシュートを見せて、アウトコース勝負と思わせておいてインコースへのチェンジアップで空振り三振を奪って2アウト。
踏ん張りどころを迎えたが、野村は捉まってしまった。
西川に初回と同じような右中間突破のタイムリー三塁打を浴びて、2点を追加されてしまう。
田中のエラーと、鈴木からの三塁送球はアウト2つを取れているプレーだったが、これが得点に繋がってしまったところには、流れの悪さを感じずにはいられない。
ただ、相手の勝負手はリリーフ陣から点を奪うことで相殺できる。
4回裏、日本ハムの2番手は鍵谷ということで、右投手から右投手への継投となっている。
先頭の松山は、振っていきたいところを我慢して四球を選ぶ。
鈴木は真ん中高めのストレートに押されて、セカンドフライで1アウト。
小窪は今度こそ四球を選んで、1アウト1、2塁。
そして何としても追い付かないとけないということで、石原に代打安部を送る。
その安部はファーストゴロ進塁打で、2アウト2、3塁となって、今度は野村に代打新井を送るが、高めのストレートで空振り三振。
日本ハムの勝負手がリリーフまで含めて当たり、カープの勝負手は決まらなかった。
あとは、ロングリリーフとしてヘーゲンズが試合を落ち着かせて、終盤の逆転に期待するという試合展開。
ロングリリーフとはいっても、打順が回ってくれば代打を出さないといけないわけで、9番の代打新井のところに、そのままヘーゲンズが入る。
終盤の長打攻勢を掛けるという点では、手札が徐々に失われていく。
またヘーゲンズは、登板していきなり中田にストレートの四球を与えてしまう。
しかし、近藤をやや逆球にはなったものの、カットボールでセカンドゴロゲッツーに仕留め、日本ハムの勢いを止めにかかる。
レアードに打たれては意味がなくなるところで、ショートゴロに打ち取って、この試合初めて三者凡退に抑え、求められている役割を完璧に果たした。
5回裏のカープの攻撃は、回跨ぎの鍵谷に簡単に2アウト奪われたが、増井にはタイミングの合っていなかった丸には、投手交代は良い方向へ作用する。
アウトコースから入ってくるスライダーを捉えると、右中間フェンスをギリギリ越える本塁打で1点を返す。
6回表のヘーゲンズは、2イニング連続で先頭打者に四球を与えてしまう。
大野にスリーバントで送りバントを決められ、日本ハムの得点パターンを作り上げてくる。
代打谷口は空振り三振を奪うが、西川、中島卓に連続四球で2アウト満塁と、今日もリリーフ陣の四球が致命傷になる展開が頭を過る。
もちろん、このヘーゲンズもペナントレースでここまで四球を出してしまう投手ではない。
それでも四球を出してしまうところに、短期決戦の難しさが表れている。
満塁の場面での岡との対戦は、全球アウトコースで攻め、ほとんどがストライクからボールになるコントロールで、コースに決め切って空振り三振。
3四球で満塁となったピンチを、犠打と三振2つということで、何とか自分の手で無失点で切り抜けられた。
6回裏の攻撃では、先頭の松山に対し、左の石井をマウンドに上げてくる。
終盤の打順の巡りを考えれば、松山に代打はないと読み切っての、石井への交代だったと思うが、松山がインコースのストレートに詰まりながら、強引にセンター前に運んで行った。
すぐさま投手交代、井口がマウンドに上がるが、鈴木はストレートの四球を選んで、ノーアウト1、2塁。
2塁ランナーを赤松に替え、小窪が送りバントで2、3塁に進める作戦なのは明らか。
普段は送りバントをする機会の少ない小窪だったが、一塁側に決めて1アウト2、3塁の形を作る。
そして途中出場の會澤が打席に向かい、三球三振となってしまう。
ここまでの出場が、1試合で、1四球を選んだのみという打席数という経験の少なさが影響したのかもしれない。
連続代打で下水流が起用され、ボールを見極め、ストライクを取りに来たストレートを、三遊間へ運ぶ。
球足は速く、レフト前に抜けようかという打球だったが、中島卓がダイビングキャッチ。
内野安打で1点を返し、さらに三塁を回っていた鈴木は三本間に挟まれたが、ランダンプレーのミスでランナーは残って、2アウト1、3塁のチャンスは続く。
ここで勝ち越すことが出来れば、初めて主導権を握ることが出来るところだったが、田中はファーストゴロで勝ち越しならず。
7回表のマウンドには、移動日を挟みながらではあるが、日本シリーズ全試合登板となる今村。
中田、近藤、レアードと続く打線との対峙は、非常に勇気のいる場面。
ボール先行となった中田に対し、真っ直ぐを待っている中田からストレートで空振りを奪ったことで、今村と會澤のバッテリーに若干余裕が生まれたのか、フォークで投ゴロ。
近藤もフォークでファーストゴロ。
2アウトとなってからは、長打を狙ってくるであろうレアードに対し、ほとんど低めのフォークだけを投げ込んで、四球を与える。
決して本塁打だけは打たせないという意思表示でもあり、ヘーゲンズが出した4つの四球とは意味合いが違う。
ただ、田中賢に対しては、ストレートのスピード、コントロールともに急激に落ち込んだ。
130キロ中盤のストレートが多くなり、どうしても連投の影響を感じずにはいられない。
それでもフルカウントから、フォークで空振り三振を奪って無失点で切り抜けた。
7回裏の日本ハムのマウンドには、シリーズ男となりつつあるバースが上がる。
4試合の登板で1点も奪えていない投手で、塁に出ることも難しい状況が続いている。
1アウトから丸が四球を選んだが、エルドレッドがインコースのストレートで詰まらされてショートゴロゲッツー。
今日も得点が奪えない。
1点が重くなってくる展開で、8回表のマウンドには、今村と同じく日本シリーズ全試合登板となるジャクソンが上がる。
今村の状態を見るに、ジャクソンの方が球速が落ちた時の不安が大きい。
1人目の杉谷に対しては、球速の落ち込みは見られずに、ショートゴロで1アウト。
2人目の市川には、スライダーのコントロールが付かずに、3-0とボールが先行したが、ストレート勝負に切り替えてセンターフライで2アウト。
3人目の西川には、ストレートで詰まらせたがライト前ヒット。
ボールがやや高かった分、ヒットゾーンに運ばれた。
4人目の中島卓の打席には、クイックの影響なのか、140キロ後半に球速が下がり始める。
高目が多いだけに、この球速では不安が増してくる。
西川の打席でスライダーがストライクが入らなかったことが投球の幅を狭めており、中島卓にはアウトコース高めのストレートをセンター前ヒットを打たれ、2アウト1、2塁のピンチになる。
岡に対しては、やはりスライダーが決まらず、球速がどんどん落ちてくるストレートを狙い打たれ、センター前ヒットで2アウト満塁。
中田にもスライダーが決まらず、3-0となってストレートを投げるしかない状況になってしまう。
そのストレートも決まらず、押し出し四球で1点勝ち越されてしまった。
さらに、投手のバースにセンター前ヒットを打たれ、試合の流れが決まってしまった。
今村の投球からの流れで、中島卓への投球を見ていれば、ジャクソンの投球にも限界が来ているのは間違いなかった。
レアードに満塁本塁打を浴びて止めを刺されたが、移動日を挟んでの6連投というのは、体力的に相当の負担があったのだろう。
今季のブルペンを支えたジャクソンで打たれれば仕方がない、シーズン通りの投手起用をして敗れるのは、カープの戦い方を貫いて散ったと受け入れるしかないだろう。
8回裏の先頭赤松は、粘りを見せたが見逃し三振。
日本ハムのバースも5試合目の登板で、決して少ないという訳ではないが、1試合の差は大きいということになってしまう。
鈴木はスライダーで空振り三振となり、小窪はフォークで空振り三振。
決して諦めてはいない姿勢は伝わってくるが、6点差では厳しい。
6点ビハインドの9回表でも、この日本シリーズで出番のなかった福井、九里、一岡がマウンドに上がることはなく、大瀬良が回跨ぎ。
大瀬良が見事に抑えきったのは良い終わり方になったが、中崎はリベンジの機会がないまま、ということになってしまった。
そして6点差を追い掛ける9回裏の最後の攻撃は、會澤がライトフライで1アウト。
代打西川は低めのストレートを、非常に素直に打ち返し、右中間へのライナーのヒットで1アウト1塁。
ランナーが出ても、6点差ということで投手にプレッシャーは掛けられない。
田中が一塁ゴロに倒れ、二塁封殺で2アウト。
菊池が低めのストレートを打ち上げて、セカンドフライでゲームセット。
カープは2勝4敗で敗れ、日本ハムが日本一に輝いた。