2016年4月10日に行われた、広島対阪神の公式戦3回戦の試合結果
広島 200 051 000|8
阪神 004 000 003|7
勝 福井 1勝0敗
負 藤川 1勝1敗
S 中崎 0勝1敗4S
【本塁打】菊池1号
昨日負傷降板の黒田の状態も、そこまで悪いものではなさそうで一安心。
この阪神との三連戦が始まる前、昨シーズン一度も到達できなかった貯金2を意識する戦いのためには、勝ち越しを狙いたいと思っていたが、とりあえずは三戦目に勝ち越しをかけて戦うことが出来る。
そのマウンドに上がるのは、今季未勝利の福井。
2度の登板で、2本ずつ本塁打を浴びているだけに、本塁打に気を付けるのはもちろんだが、そこだけに気を取られ過ぎてもピッチングが小さくなる。
いつも通りというのが一番か。
またヘイグが発熱、ゴメスが腰痛でスタメンから外れており、当然江越がクリーンアップに入ってくる。
ここまで1番から4番までが線となっていた阪神打線が、1番から4番の並びも代えてきた。
これが上手く嵌って打線として機能するか、好調打者がバラけることでもっと与し易い打線になるかは、対戦してみないと分からない。
対する阪神先発の藤川とは、オープン戦での顔合わせは一度もなく、以前在籍し抑えを務めていた頃に対戦経験があるのは、新井、丸、菊池、會澤、天谷、エルドレッド、松山あたり。
ただ新井以外は、どの打者も1、2打席程度で相性云々はない。
ほぼ初めて対戦する投手という位置づけになるかと思う。
その藤川の立ち上がり、以前のイメージとは違いスライダーなどをカウント球に使ったりと先発投手、という感じのピッチング。
先頭の田中がじっくりと藤川と対峙し四球を選ぶと、菊池が高めに浮いたスライダーをレフトスタンドに放り込む先制ツーラン。
2人で2点を奪って見せた。
そして福井の立ち上がりは、逆に先頭の高山に粘られながらも三振を奪うと、鳥谷には3-0というカウントからレフトフライに打ち取る。
そして好調の江越からも三振を奪い、ややコントロールに苦しみながらも初回を抑えた。
ただ福井は2回に入ってもコントロールが定まらない。
四球を出すほど乱れているわけではないが、キャッチャーの構えの逆にボールが行ってしまうケースが多く、ちょっと組み立てが難しくなってしまっている。
3回には不調の打者にヒットを打たれるという、この三連戦で最もやってはいけない投球が出てしまう。
高山のヒットはともかく、2番の鳥谷にレフト前ヒットを打たれ、分断されていた打線が繋がってしまう。
江越のタイムリーで1点を返され、福留には真ん中高めにスライダーが浮いてしまい、右中間の最深部まで打球を運ばれてしまう。
打った瞬間は本塁打かという当たりだったが、逆風ということもありフェンス手前で丸が追い付いた。
しかし、ちょっと甘いコースが続き過ぎてしまい、今成、西岡、北條の三者連続タイムリーで逆転を許してしまう。
3アウト目の梅野の一二塁間への当りも、菊池のファインプレーで救われたが、ヒット性の当り。
福井は初回から徐々に内容が悪化しており、3回に逆転を許した後も良くなる兆しが見えず、そして何より1番から8番までが繋がる打線を組んだという結果が、阪神のムードを盛り上げてしまった。
4回には1アウトから新井がレフト前ヒットを放ち、レフトの守備の隙を突いて一気にセカンドを陥れる好走塁。
こういったプレーで流れを取り戻したいところだったが、會澤の一二塁間へのライナーを、今日ゴメスに代わってスタメンの今成がファインプレーで掴み取り、タイムリーヒットならず。
全ての流れが阪神に傾いてしまっている。
ここから逆転まで持っていくためには、阪神の流れを一旦止めて、試合を落ち着け直す必要がある。
4回も続投の福井は、鳥谷にストレートの四球を与えると、江越には体勢を崩しながらフラフラと上がった打球がライト前に落ちてしまう。
そして福留には、またもや真ん中高めに浮いたスプリットを右中間へ大飛球を飛ばされ、今度こそ本塁打を覚悟したが、今回は鈴木がフェンス手前で追い付いた。
何とか追加点は凌いだものの、内容的には一杯一杯に思えたが、5回表の先頭打者として打席に立つということは、福井は続投。
先発ローテの柱の一角を任されている以上、簡単に代わることはしないというのも、シーズン序盤の戦い方としては必要ということ。
その福井が倒れた後、カープの反撃が始まった。
田中、菊池の連打で1アウト1、3塁で、打席には丸が向う。
昨日の8回の同点の口火を切ったのと同じ形となるが、昨日の丸はセカンドゴロの間の1点だったのに対し、今日の丸はライト前タイムリーで1点を返す。
さらにルナもレフト前タイムリーで続き、ここまでは同じような形で2点を奪い同点に追い付く。
今日はさらに打線が繋がり、エルドレッドもライト前への2点タイムリーで逆転。
このエルドレッドのタイムリーは、アウトコースのストレートに軽くバットを合わせてのライト前ヒットで、こんな打ち方も出来るんだというきれいなヒット。
逆転したことで、藤川は降板となり高橋聡がマウンドへ上がる。
新井は倒れたものの、鈴木もバットが届くか届かないかギリギリというアウトコースのストレートにバットを投げだすように合わせて、ライト線に落とすタイムリーでリードを3点に広げた。
僅か1イニングの間に明暗が反転し、勝ち投手の権利が転がり込んできた福井としては、ここで無様なピッチングを見せるわけにはいかない。
もっとも、狙ったところにボールはいかないし、抜けるし、逆球は行くしで、決して安心して見ていられる投球ではない。
ただ、絶対に点はやらないという気持ちは伝わってきた。
5回で115球という球数で、交代してもおかしくない状況だったが、6回も続投。
本人の責任感の表れと思っていいのではないだろうか。
6回を投げて、被安打10、2四球で自責点4。
内容はとても良いとは言えないが、結局失点したのは3回のみ。
よく6回まで投げたと評価は出来る結果かなと思う。
今回は野手からの1勝のプレゼントだったと受け止めて、次回は安心して見ていられる投球を期待したい。
さて、福井の後を受けたリリーフ陣は、オスカルと中田で、ピンチを背負いながらも7回を無失点。
どんな形であれ、7回を無失点で凌げれば、後は形が出来上がっている。
8回に登板のジャクソンは、三者凡退で阪神に反撃のきっかけを与えない投球を見せた。
内容的にも文句なし。
9回裏のマウンドには、4点差ということで永川が上がる。
本来はセーブがつかない場面で中崎を送り込まないことは当然の作戦なのだが、昨シーズン辺りから点差が開いていても守護神を投入するシーンが目立っていた。
それだけに、今後の投手起用を占う大事なシーンとなった。
ただ、先頭の江越の緩い当たりのサードゴロを、後ろに下がりながらバウンドを合わせた西川の送球が間に合わず、内野安打となると、福留もライト前ヒットで続いてノーアウト1、2塁。
1点を取られるまでは永川に任せてもいい場面で、まだ慌てる場面でもない。
しかし永川は今成に対し、初球デッドボールでノーアウト満塁となってしまう。
こうなってしまうと中崎を投入するしかない。
前日は文句なしの投球を見せていた永川が1アウトも取れずにマウンドを降りるのだから、投手起用というのは難しい。
1点もやれない状況と登板するのと、3点まで与えてもいいという場面で登板するのでは、明らかに後者の方が気持ちが楽に違いないのだが、ノーアウト満塁でとなると話は変わってくる。
ただ、相手が勢い付いてくる中でも、空気を一変させて抑えるのが守護神というもの。
まずは西岡のライト前タイムリーで1点を返され、なおもノーアウト満塁。
北條の一塁線の当りは、新井が好捕して、内野ゴロの間に1点返され、2点差に迫られるが1つアウトを取れた。
1アウト2、3塁で2点差となり、一打同点の場面。
内野ゴロの間にランナーの生還を許すのも避けたいところで、ここからは三振が欲しい場面で、見事梅野から空振り三振を奪い、2アウト2、3塁まで漕ぎつけた。
しかし、代打の切り札狩野の三遊間への内野安打で1点を追加され、あと1点差まで迫られた。
打順はトップに返り、高山を迎える。
2アウト1、3塁で、中崎が投球モーションに入るタイミングで代走大和を送り、揺さぶりをかけてくる。
今日の中崎の生命線はツーシームのコントロール。
追い込むまではツーシームでアウトコース中心で攻め、追い込んでからはインコース攻めで見逃し三振を奪い、1点差で逃げ切った。
今日の試合で1点差まで迫られたのは、出来れば中崎を温存したかったからで、結果的にはピンチになってから出番が来た中崎が、期待に応えて3点まではOKという逆算で試合を締めたということで良いと思う。
今後のカープは、セーブのつかない場面で、守護神を投入せずに逃げ切る形を作る必要が出てくる。
そのためのテストケースで、かつての守護神で経験豊富な永川を9回裏に投入して見せた。
結果として、永川が期待に応えることはできなかったが、それで負けた訳ではなく、中崎を投入して逃げ切っている。
やはりダメだと中崎を投入していくのか、他の投手を起用してみるのか、それは課題として残ったが、3点まではOKというのがベンチの意思だったと、中崎投入後の3失点(自責点3は永川に記録)はベンチが責任を負うという形ならば納得の勝利かと思える。
昨シーズン1度もたどり着けなかった貯金2になった訳だが、この試合を終えて、そういった余韻に浸る余裕は全くない。
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