2015年7月1日に行われた、広島対巨人の公式戦13回戦の試合結果
広島 200 006 101|10
巨人 101 000 010| 3
勝 薮田 1勝0敗
負 杉内 5勝4敗
S -
【本塁打】菊池6号、長野7号、會澤4号、阿部4号
プロ入り初登板初先発の薮田に、最も注目が集まる試合というのは間違いないが、スタメンには今季2度目となる3番鈴木誠の名前がある。
1度目は6月23日の阪神戦で、相手投手は岩田だったが、いいところなく途中交代している。
それだけに、今季本塁打を放っている相性のいい杉内に対し、今度こそ3番として機能するところを見てみたい。
また、巨人先発の杉内とは何故か相性が良く、昔からよく言われる「巨人は初物に弱い」というジンクスを実践するためにも、薮田を援護していきたい。
早速と言うか、相性というか、試合開始から打者2人、投球数にしてわずか4球で2点を奪った。
そして、一軍で初めて対戦する打者となった長野に、いきなり先頭打者本塁打を浴びるデビューとなった薮田だったが、それでも浮足立つ様子もなく、淡々と投げ込んでいく。
ストレートは前評判通り150キロを超え、カットボール、カーブなどでもカウントを整えられる。
150キロの速球を持ちながらコントロールに不安がないというのは、なかなかロマンを感じさせる。
昨日からカープにとって難敵となっている長野に、今度は3回に同点タイムリーを浴びてしまうが、決して失点を引きずる様子が見られない。
精神力の強さも併せ持っていることを示したのが、5回裏のピンチでのピッチング。
投げにくさもあるようで、3打席目の長野にはなかなか思い切って勝負できない様子で四球を与えてしまい、さらにセーフティ気味の送りバントを自身が一塁へ悪送球してしまう。
そしてセンター前ヒットで繋がれて、1アウト満塁となり、阿部と亀井という、昨日のヒーロー2人を打席に迎える。
四球とエラーでランナーを貯めており、こういったケースでガタガタと崩れる投手も多い中、コントロールを乱すことなく攻め込み、亀井には本日の最速151キロを記録するなど、全力で抑えきった。
薮田は、故障明けで大事に起用していく方針とあって、球数は88球となっているが早めの交代となる。
今日の試合に関しては、5回2失点ながら、インパクト大の投球を見せてくれた。
こういうピッチングを見せられては、野手陣が燃えないわけにはいかない。
6回の攻撃で6点を挙げ、この時点で薮田に勝ち投手の権利が付いた。
このイニングのポイントは、田中が体勢を崩されてバットに当てただけのピッチャーゴロを、杉内が捕球しきれずに内野安打にした打席にあった。
思ったより打球が来ていなかったことで、フェイントのような形で、グラブを出してもボールがなかなか来なかった。
そして、グラブを弾いたというプレーだったが、巧く捕球出来ていれば、投ゴロ併殺打でもおかしくない、紙一重のプレーだった。
結局この田中の内野安打を含め、6連打と打線が繋がったので、あまりに大きな勝負の分かれ目となった。
ヒース、戸田とバトンをつなぎ、最後は大瀬良が勝利の瞬間をマウンドで迎えるという、これもリリーフとしては初めての経験となり、非常に見どころ満載の勝利となった。
黒田の勝ちを消してしまった登板を経て、点差が開いていたとは言え、後輩のプロ入り初勝利を守り切った大瀬良。
薮田がピンチを切り抜けたことで、反撃ムードの高まりを見せた打線。
2度目の3番スタメンで、押し出し四球とヒット1本で、繋ぐ役割を果たした鈴木誠。
自ら招いたピンチを、自ら断ち切った薮田。
単なる1勝よりも大きな価値のある勝利だったように感じるのは大げさだろうか。
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