2024年12月16日号
誌面ビューアーで読むINDEX
PROLOGUE
記録ずくめの時価総額世界一 爆速成長、見えた600兆円
爆速成長による主役交代だ。6月18日、米エヌビディアの時価総額が米マイクロソフトを抜いて世界一となった。米巨大テック企業群「GAFAM」が他社に首位を明け渡すのは、約11年ぶりとなる。
PART1
組織図や経営計画はつくらない フラットな3万人企業 ファン流経営の全貌
ジェンスン・ファン氏の型破りな経営手法が、エヌビディアの強さの源泉だ。中期経営計画や組織図をつくらず、幹部と1対1の会議は決してしない。AI需要拡大の兆候をいち早く察知したファン流経営の全貌を明らかにする。
COLUMN1
GPUの可能性を信じたブレーン 「AIシフト」決断の舞台裏
エヌビディアの「AIシフト」を支えたブレーンがブライアン・カタンザーロ副社長だ。GPUがAIのディープラーニングに適しているとの信念を持って研究を進めた。2013年にジェンスン・ファン氏がAIへの一点集中を表明した舞台裏を語った。
PART2
[独自調査]AI人材が大量流入 年収4000万円の磁力 インテルが草刈り場に
株価急騰を背景に、エヌビディアの待遇は業界トップクラスに躍り出た。人材争奪戦で優位に立ち、インテルなど競合からの転職者が絶えない。独自調査で、トップ技術者が2015年比で3.5倍に急増したことが分かった。
COLUMN2
投資会社として高まる存在感 2万3000社の「AI生態系」創出
スタートアップ支援を通じて築いた「AI生態系」も、エヌビディアの強みだ。その数は2万3000社。世界中のAI有望株と連携し、販路拡大につなげる。出資を通じた最新技術の取り込みも強化。投資会社の性格も併せ持つ。
PART3
データセンターの次はロボット 巨大市場は「動くAI」 日立・安川電機に商機
データセンターでのAI開発需要の次に見定める巨大市場は、ロボットだ。現実世界から直接学習し自律的な動作を可能にする「動くAI」を搭載する。日立、安川電機と協業を開始。日本勢の技術と掛け合わせる余地は大きい。
EPILOGUE
関税と米中関係がリスク 最大の波乱要因はトランプ氏
トランプ次期米大統領は11月25日、2025年1月の就任後に中国とメキシコ、カナダからの輸入品に追加関税を課すと正式表明した。関税を武器にディール(取引)を仕掛け、外交と貿易を有利に進めるトランプ氏の十八番である。
校了乙
12月16日号特集「エヌビディア」を担当デスクが解説
12月16日号特集「エヌビディア ジェンスン・ファンの世界最速経営」の読みどころを、担当した伊藤正倫デスクが3分間で解説する。
聞く校了乙
12月16日号特集「エヌビディア」を伊藤デスクに聞く
日経ビジネス最新号の特集の読みどころを耳で聞く校了乙。12月16日号特集「エヌビディア ジェンスン・ファンの世界最速経営」の読みどころを、担当した伊藤正倫デスクに聞きます。
PROLOGUE
有訓無訓
「人口政策、出生の数や率を目標にするな」 上智大学・鬼頭名誉教授
歴史人口学を専門に研究をしてきましたが、国家による人口政策の危うさを見てきました。中国の「一人っ子政策」など人口を減らす政策は社会にいろいろな弊害をもたらします。
ニュースを突く
稼げないニッポンの元凶 「デジタル赤字」解消に本腰を
1ドル140~150円台の円安が続く。物価高の要因になった円安の根元には、デジタル赤字という難題がある。経済の体質改善を急ぐ時だ。
日経ビジネス 私の読み方
セイコーエプソン・小川恭範社長「正しさの追求、組織作りに」
「『地域創生は経営と両立できる』 ジャパネットHD髙田社長」でジャパネットホールディングス(HD)の髙田旭人社長が繰り返し伝えていた「正しいことを目指すという組織文化」の重要性に大変、共感した。関わっている人々を、ビジネスを通してどのように幸せにしていくかということに重きを置くことは、組織を大きくしていく上で重要で、おのおのの一体感を高めるベースとなる考え方だと思う。
第2特集
人
連載
テックトレンド
二酸化炭素を資源に変える 燃料・原料転換で炭素循環型へ
カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の潮流の中、矢面に立つ石油化学産業。石化メーカーは “化学の力”を強みに二酸化炭素(CO2)の資源化やリサイクルなど脱炭素技術の開発を進める。脱炭素を超えた、炭素循環型産業に新しく生まれ変わることができるか、その真価が問われる。
連載小説「チップス」
真山仁「チップス/ハゲタカ6」 第5章 諸行無常(3)
2度の延期を経て、ジェシーの死後初めての臨時取締役会が開催となった。取締役会の事務局担当として、チャールズはその日、早朝から出社した。昨夜は、結局一睡もできなかった。──玉山基金に、15%を贈りたいとあった。また、私たちにも、自分の取り分を、基金に市場価格の倍で、買い取ってもらうようにアドバイスしているの。ジェシーの娘、グレイスの言葉は、衝撃的だった。しかも、彼女も兄のゲイリーも、ジェシーの提案通り、相続したFSC株は、玉山基金に売却するという。
BOOK
『ぶち壊し屋(上・下)』~コントロール不能の大統領の実態
2025年1月、トランプ氏が米国大統領に返り咲く。本書は17年から4年間の政権の状況をトランプ氏本人含め関係者へインタビューなどから、彼らの息遣いが伝わるほど克明に描く。
世界鳥瞰
時事深層
専門記者の眼(会計・財務)
ビジネスと人権の危うい関係 戦争当事国・企業に投資の是非
戦争犯罪の容疑で国家元首に逮捕状が発行されたイスラエルでの事業や投資をめぐり、「ビジネスと人権」の観点の重要性が高まりそうだ。同国の軍事組織や軍事関連企業には、実は日本の年金基金や企業も投資を継続する。
GLOBAL
射幸心で社会保障の財源を確保 タイ、宝くじ付き年金を導入へ
タイ政府が宝くじ付き年金の導入に向けた検討を進めている。低中所得層の年金加入を後押しするのが狙いで、当選金は最大100万バーツ(約440万円)。1枚50バーツで販売するが、くじに外れても購入資金は60歳を過ぎれば全額引き出せる。宝くじ好きな国民性に着目した異例の年金制度で、高齢化対策を急ぐ。
WORK&CAREERS
社内外の連絡をシステムでスマートに遮断 「つながらない権利」日本でも
欧州を中心に「つながらない権利」の法制化が相次ぐ。2024年8月にはオーストラリアでも法律が施行。日本は導入に至っていないが、システム化で電話やチャットを防ぐ企業も出てきた。
MANUFACTURING
業績不振のシャープ、新事業で巻き返し図る 家電の電力制御、IoT普及率の壁
シャープはAI(人工知能)を用いて家電の電力消費量を抑える住宅システムをデベロッパー向けに提供する。その導入第1弾となるのが、社員寮を売却した跡地に建設中の分譲住宅だ。なじみの土地から再起をかけたシャープの新たな挑戦が始まる。
ENERGY
「ペロブスカイト太陽電池」覇権へ国家戦略 投資の規模とスピードで競争力
経済産業省は軽くて曲がる「ペロブスカイト太陽電池」の普及と、その開発・量産で強固な国際競争力を獲得するための戦略を公表した。量産で先行することで製造コストと価格を引き下げ、中国などの追い上げを阻む。半導体などで繰り返された失敗を教訓に、山積する課題に官民で挑む。
DIGITAL
DeNA・サイバー・GMOも参入 「医療DX」でネット企業に商機
増大する医療費の抑制や医療従事者の長時間労働是正を目的に、国を挙げて医療DXが進んでいる。そこに商機を見いだしているのがDeNAやサイバーエージェントなどの大手ネット企業。将来的に複数のサービスを統合するプラットフォーマーが誕生し、医療DXの覇権を握る可能性もある。
COMPANY
消費者保護法制の限界も露呈 メルカリ、「返品詐欺」で窮余の策
メルカリの個人間取引で、購入者の返品要請に応じた出品者が商品をだまし取られる「返品詐欺」の多発を受け、同社はサポート体制強化策を発表した。個人間取引は既存の消費者保護法制の適用外となっており、信頼回復には自主的な体制整備が不可欠だ。
EPILOGUE
編集長の視点/取材の現場から
エヌビディアCEOの仕事
「私の仕事は経営することではなく、リーダーであることです」。本号のエヌビディア特集を担当した島津記者が2017年にインタビューした際のジェンスン・ファンCEOの言葉です。フラットな組織で階層を少なくしているのは当時から同じ。現在は60人いる直属の部下は20数人だと答えていました。売上高が10倍以上となり、株式時価総額でアップルと世界首位を争う今も、自らの役割について聞かれたら同じことを言うのではないでしょうか。
賢人の警鐘
ワークマン土屋哲雄氏「社員1人当たり納税額を公開せよ」
企業は社員1人当たりの納税額を公開すべきだ。本業から得られる利益による納税こそ企業の社会貢献。過度な節税策に走るのはいかがなものか。