ふじい のりあき著 「ロードバイクの科学」
ふじい のりあき著 「ロードバイクの科学」のご紹介。
原因は“ブレーキングミス”と言えばいいのかな。
川沿いのサイクリングロードを時速25kmくらいのスピードで馴らしながら走っていたのですが、道の両サイドに老人と子犬がいました。
普段、犬の散歩の人たちには気をつけているのですが、子犬が茶系で、道端の枯れ草の色に混じって子犬の存在を見落としていたのが敗因ですね。直前まで行って老人と子犬との間にロープがあるのに気がつきました。
当然、前後のブレーキをかけましたが全然間に合いそうにありません。で、前ブレーキをかける右手の指先にちょっと大きめの力を入れてしまったようです。
アッと思った時には、既に頭よりの足の方が上にありました。そのまま背中から地面へと落下です。
着地するとき、体を支えようとしたのでしょう、右手の中指と小指が痛みます。その時は興奮していたこともあり、少し痛いなあ程度だったので更に10kmくらい走って帰ってきましたが、その夜、二本の指は倍の太さに腫れあがってしまいました。
翌日、病院に行ってレントゲンを撮ってもらったら二本とも剥離骨折とのこと。
結局、半年以上経った今も、日常生活にはあまり支障がないながらも、もとの位置までは曲がらない状態です。
これまでの自転車は、キャリバーブレーキかカンティブレーキしか乗ったことがありませんでしたが、私の買ったローマ2(年代によって違うのかもしれません)はVブレーキでした。
初Vブレーキ、力の入れ加減とブレーキの効き加減との関係が掴み切れていなかったんですね。“痛い”勉強になりました。
ふー。まあ、その通りなんですけどね。
自転車のブレーキは、後ろより前の方がはるかに効くのですが、その分、下手をすると私のように前転してしまうことになります。
でも、それは体重移動で簡単に防ぐことができますよ、と。
下り坂でフルブレーキをかけている状態の写真が掲載されているのですが、腕と足を突っ張り、頭と背中をフラットに落として、お尻は後輪の上に大きくはみ出し、胸の下辺りにサドルが位置している状態です。
「これくらい体重移動すれば前転なんてありえない」とのことですが、なるほどその通りでしょう。
ただ、とっさの場合に、この状態にもっていけるようになるには、それなりの練習が必要そうです。それでも、前転して大ケガするよりは、やっぱり普段から練習しておいた方がいいのでしょうね。
著者はホンダのエンジニアとのことで、本書には数字や数式や kgf とか N や G といった単位がそこらじゅうに出てきます。
いままでの多くの自転車本で語られてきた“感覚的”な説明を、数字と数式とで理論的に解き明かそうという本なのです。なので、理系が不得意な人には、ちょっと頭が痛くなるかもしれません。
例えば、この「ブレーキング」という項では、
みたいな感じです。
自転車の走行抵抗は、タイヤのころがり抵抗と空気抵抗とがありますが、抵抗として圧倒的に大きな負荷になるのは空気抵抗です。これは、感覚的にも分かりますよね。特に向かい風なんて日には、もう大変ですから。
これを数字的に表わすと、空気抵抗は速度の2乗に比例して大きくなるそうです。時速30kmの時のころがり抵抗を含めた全抵抗は、時速15kmの時の約5倍になるとのことです。
ロードバイクで時速15kmというのは、本当にゆっくりと鼻歌でも歌いながら走っている感じですが、時速30kmを維持しようとすると(私にとっては)かなりの脚力や体力を必要とします。
この“抵抗”に速度を掛けると、その速度を維持するための“パワー”となるのですが、この全パワーは、速度の3乗に比例するそうなので、特に高速域ではちょっと速度を増すのに莫大なパワーが必要となるのです。
逆にちょっと速度を落とすと、すごく楽になるとも言えるんですね。
なるほどねえ、って感じです。
少し前、軽井沢に一泊で行く要件があり、翌日はただ帰ってくるだけなので、自転車で帰って来るかとルートなどを調べて計画を立てたことがあります。
準備万端、意気揚々と折り畳み自転車を担ぎ、電車で軽井沢に向かったのですが・・・・・。
翌日は生憎の雨。雨の中を走って帰ってくることも考えたのですが、脇を走る自動車やスリップなどを考えると、ちょっと危ないかもなあと諦め、行きと同じく新幹線に再び自転車を乗せて帰って来たことがあります。
その後、リベンジすることを考えているのですが、どうせならこっちから自転車で行って、軽井沢で一泊して、翌日また自転車で帰ってくるかと思案中なんですが。
距離にして横浜から片道約200km。ゆっくり走って休憩時間を入れても10時間あれば行けるかと思っていたのですが、帰りはいいとしても、行きは標高差1000mの上り坂です。
本書によると、走行距離を必要なエネルギーに換算して比較すると、登りゴールの場合(横浜から軽井沢は、これに当てはまります)、標高1000mにつき56km余計に考える必要があるそうです。
ということは、横浜から軽井沢の往路は、256km走る想定で計画を立てる必要があることになります。
となると、今の私の脚力だと、早朝暗い内に横浜を出発して、何とか日暮れまでに軽井沢に着けるかどうかという感じでしょうか。かなりキツそうです。
その他、ケイデンスのお話や、“交通戦争に生き残れ”みたいな話もあり、数字や数式の部分を読み飛ばしたとしても、十分役に立つ良本だと思います。
本の内容にいく前に、昨年自転車で“前転”した話から
昨年の秋口、街乗り用にギア比の小さい(坂道でも楽に登れる)クロスバイクを欲しくなりビアンキ ローマ2を買いました。ところが、なんと試運転の初日に前方一回転の派手な転倒をしてしまったのです。原因は“ブレーキングミス”と言えばいいのかな。
川沿いのサイクリングロードを時速25kmくらいのスピードで馴らしながら走っていたのですが、道の両サイドに老人と子犬がいました。
普段、犬の散歩の人たちには気をつけているのですが、子犬が茶系で、道端の枯れ草の色に混じって子犬の存在を見落としていたのが敗因ですね。直前まで行って老人と子犬との間にロープがあるのに気がつきました。
当然、前後のブレーキをかけましたが全然間に合いそうにありません。で、前ブレーキをかける右手の指先にちょっと大きめの力を入れてしまったようです。
アッと思った時には、既に頭よりの足の方が上にありました。そのまま背中から地面へと落下です。
着地するとき、体を支えようとしたのでしょう、右手の中指と小指が痛みます。その時は興奮していたこともあり、少し痛いなあ程度だったので更に10kmくらい走って帰ってきましたが、その夜、二本の指は倍の太さに腫れあがってしまいました。
翌日、病院に行ってレントゲンを撮ってもらったら二本とも剥離骨折とのこと。
結局、半年以上経った今も、日常生活にはあまり支障がないながらも、もとの位置までは曲がらない状態です。
これまでの自転車は、キャリバーブレーキかカンティブレーキしか乗ったことがありませんでしたが、私の買ったローマ2(年代によって違うのかもしれません)はVブレーキでした。
初Vブレーキ、力の入れ加減とブレーキの効き加減との関係が掴み切れていなかったんですね。“痛い”勉強になりました。
とっさの時、体重移動できるように練習しようかな
本の紹介で、なんでこんな話から始めたかというと、本書の中に「ブレーキング」という項があります。そこに、こんなことが書いてありました。前転するのはハッキリ言って下手だからで、人前でそのことは言わないほうがいいです。
ふー。まあ、その通りなんですけどね。
自転車のブレーキは、後ろより前の方がはるかに効くのですが、その分、下手をすると私のように前転してしまうことになります。
でも、それは体重移動で簡単に防ぐことができますよ、と。
下り坂でフルブレーキをかけている状態の写真が掲載されているのですが、腕と足を突っ張り、頭と背中をフラットに落として、お尻は後輪の上に大きくはみ出し、胸の下辺りにサドルが位置している状態です。
「これくらい体重移動すれば前転なんてありえない」とのことですが、なるほどその通りでしょう。
ただ、とっさの場合に、この状態にもっていけるようになるには、それなりの練習が必要そうです。それでも、前転して大ケガするよりは、やっぱり普段から練習しておいた方がいいのでしょうね。
著者はホンダのエンジニアとのことで、本書には数字や数式や kgf とか N や G といった単位がそこらじゅうに出てきます。
いままでの多くの自転車本で語られてきた“感覚的”な説明を、数字と数式とで理論的に解き明かそうという本なのです。なので、理系が不得意な人には、ちょっと頭が痛くなるかもしれません。
例えば、この「ブレーキング」という項では、
通常のロードタイヤだと摩擦係数は0.8程度です。たとえば、タイヤ一本に70kgfの垂直荷重が作用しているとすれば、70×0.8=56kgfの摩擦力がブレーキの力に耐えうる限界。
みたいな感じです。
空気の抵抗を数値化すると、「そんなにっ!」って思いますね
空気抵抗の話は面白いです。自転車の走行抵抗は、タイヤのころがり抵抗と空気抵抗とがありますが、抵抗として圧倒的に大きな負荷になるのは空気抵抗です。これは、感覚的にも分かりますよね。特に向かい風なんて日には、もう大変ですから。
これを数字的に表わすと、空気抵抗は速度の2乗に比例して大きくなるそうです。時速30kmの時のころがり抵抗を含めた全抵抗は、時速15kmの時の約5倍になるとのことです。
ロードバイクで時速15kmというのは、本当にゆっくりと鼻歌でも歌いながら走っている感じですが、時速30kmを維持しようとすると(私にとっては)かなりの脚力や体力を必要とします。
この“抵抗”に速度を掛けると、その速度を維持するための“パワー”となるのですが、この全パワーは、速度の3乗に比例するそうなので、特に高速域ではちょっと速度を増すのに莫大なパワーが必要となるのです。
逆にちょっと速度を落とすと、すごく楽になるとも言えるんですね。
なるほどねえ、って感じです。
標高差1000mを登るために補給すべきカロリーはオニギリ6個分だ!
もう一つ、“坂”という抵抗のお話も。少し前、軽井沢に一泊で行く要件があり、翌日はただ帰ってくるだけなので、自転車で帰って来るかとルートなどを調べて計画を立てたことがあります。
準備万端、意気揚々と折り畳み自転車を担ぎ、電車で軽井沢に向かったのですが・・・・・。
翌日は生憎の雨。雨の中を走って帰ってくることも考えたのですが、脇を走る自動車やスリップなどを考えると、ちょっと危ないかもなあと諦め、行きと同じく新幹線に再び自転車を乗せて帰って来たことがあります。
その後、リベンジすることを考えているのですが、どうせならこっちから自転車で行って、軽井沢で一泊して、翌日また自転車で帰ってくるかと思案中なんですが。
距離にして横浜から片道約200km。ゆっくり走って休憩時間を入れても10時間あれば行けるかと思っていたのですが、帰りはいいとしても、行きは標高差1000mの上り坂です。
本書によると、走行距離を必要なエネルギーに換算して比較すると、登りゴールの場合(横浜から軽井沢は、これに当てはまります)、標高1000mにつき56km余計に考える必要があるそうです。
ということは、横浜から軽井沢の往路は、256km走る想定で計画を立てる必要があることになります。
となると、今の私の脚力だと、早朝暗い内に横浜を出発して、何とか日暮れまでに軽井沢に着けるかどうかという感じでしょうか。かなりキツそうです。
その他、ケイデンスのお話や、“交通戦争に生き残れ”みたいな話もあり、数字や数式の部分を読み飛ばしたとしても、十分役に立つ良本だと思います。
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