ホラーゲームをホラー映画化するということのある種の模範解答で71点。
養子の娘が夢遊病になり、静岡に行きたい静岡に行きたいとやかましいことが悩みの主人公は一念発起し、夫の反対を振り切って静岡へ娘と2人旅行へ出かける。途中のガススタで女性警官に目をつけられ、道中でサイレンを鳴らされたことで何故かブチ切れてしまい、暴走を開始。猛スピードで静岡に突入するも1000回は見たよそ見運転してると目の前に子供が急に現れ急ハンドルを切って事故って気絶してしまう。気が付くと、周囲は白い灰が振る町で、娘も消えていた。消えた娘を追い、主人公の戦いが今始まる。
みたいな話。
極めて美しく精緻に構築された映像美のホラーでありながら、ところどころゲームすぎるなぁwという部分があってその両方の楽しさを味わえる奇妙な作品でしたよ。
まずゲームすぎる部分ね。例えばこんなシーンがあって。主人公が娘は学校にいるに違いないと思い静岡の廃校舎に到着。職員室みたいなところに入って机の引き出しをガチャガチャやるんだけど鍵がかかっていて。あたりを見渡すと何故か鍵束が置いてあって、それを拾って引き出しを開けるとそこには懐中電灯が入っていて主人公は暗い学校内での探索に有利なアイテムをゲットする。
いや、ゲームすぎるなぁ。
後はトイレを探索していると奥に何かを見つけて近寄ると有刺鉄線で拘束された遺体があって、その口元にキラリと光るものがある。主人公はなぜか有刺鉄線の間にそっと腕を伸ばして口に指を入れその破片を取り出す。その破片には次に行くべき場所が書かれていた。
いや、ゲームすぎるなぁ。
後はなんかクソデカい剣を持った頭にピラミッドつけた敵が出てくるんだけど、鉄扉の部屋に逃げ込んだらそいつが扉越しにガンガン剣を差し込んできて寸でのところでよけ続けるのもホラー映画のQTEすぎるし、この辺はきっとゲームやってた人だったらうんうんって思いながら見てたんだと思う。まぁ、俺はやってないんですが。
一方でホラーとしてもかなり良質で、ざっくり説明すると現実の静岡は過去に大火災によって壊滅しており今も地下火災が続く危険な街。しかしの火災は実はカルト教団が魔女狩りと称して私生児を火あぶりにしようとして失敗したことが原因だった。全身大やけどながら命だけは助かった私生児はこの世界を恨み本当に魔女化してしまう。しかしその際に彼女の善の部分が分離、転生し主人公が養子にした娘になっていたのだった。
そして魔女化した私生児に呼ばれ娘は静岡行きを要望し、その結果、主人公と娘、たまたま巻き込まれた女性警官は過去の静岡に誘われ、さらには私生児の恨み辛み怒り怨念によって作り出された恐怖幻想の静岡と行き来することになってしまう。
幻想の静岡ではいろんなクリーチャーが現れるんだけど、例えば目をつぶされたナース型のクリーチャーなんかは全身火傷で入院中の私生児を興味本位で覗きに来てたナースへの恨みの具現化に見えるし、腕もなく目もないクリーチャーは拘束されて先の見えない地獄にいた私生児の苦しみの具現化に見える。
鉄条網で拘束された口にヒントが差し込まれていた遺体は私生児に性的加害を行っていた用務員のもの。そうして主人公たちは彼女の怒りと苦しみの道程を地獄めぐりさせられるというのが本作のストーリーとなっている。なぜこんな世界なのか、なぜこんな化け物がいるのかということを極めて分かりやすくまともに提示されていてグッド。
また一方で、主人公たちが過去の静岡を地獄めぐりしているのと同時進行で、主人公の夫が現代の静岡で主人公たちを探しながら静岡の過去を探る展開が同時進行しており、バックストーリーの明かし方もスムーズ。同日同場所に2人が同時にいるのにお互いがお互いを見えないというすれ違いもいいし、それがエンディングのビターさにもつながっていて非常に良い。
ちなみに私生児の母はカルト教団のトップの姉か妹で「父親がいない子供は魔女だ!」って言われて、血のつながった私生児をトップに預け、血のつながったトップは私生児を火あぶりにする。それに対して子供に恵まれず、私生児の半身の転生体である娘を引き取り本当の娘のように育て彼女のために血まみれになりながら静岡を駆けずり回り、最後には救出するという、対比もよかった。
映像もよくてねぇ。まず白く霧がかっていてふわふわと灰が舞い散る静岡の幻想的な寂れ感もいいし、なんかみょうにねちょねちょした幻想静岡の夜の建物の中もいい。クリーチャーは安っぽすぎず動きのぎこちなさもいいし、幻想静岡の夜と朝の切り替わりの朝→夜で建物あらゆるものがボロボロになってクリーチャーが現れ、夜→朝で今度はクリーチャーがボロボロに舞い上がっていき建物がきれいになっていく移り変わりも幻想的でいい。
そして、最後、主人公&魔女VSカルト教団で魔女が覚醒し病院でベッドに拘束された自分をそのままモチーフにした怪物に変貌。自在に鉄条網を操り、自分をこんなことにした街の人間を次々に文字通り八つ裂きにしていく阿鼻叫喚の血の雨展開はホラー映画らしいルックスとカタルシスがあって最高だった。
あとなんか街の女がピラミッドヘッドに捕まって服剥がれて、裸がCGすぎるなぁと思ってたらその後、皮まで一息で剥がれた展開はさすがに爆笑。
まぁ、そんな感じかな。
とにかくホラーゲームの映画化とは思えないくらい映画として美麗でゴージャスな画作りがしてあって見ごたえもあるし話自体も非常にスマートに考えられていてかなりよかった。その上でちゃんとゲームらしさも表現していて隙がない作りだなと思う。まぁ、ゲームすぎるなぁとは思うんだけども。
たぶんゲームやってたらもっと面白かったと思うんだけど、俺はやってなかったのでそこはちょっと残念だったかな。なので、ゲームやった人とかクリーチャー型ホラー映画好きにはオススメ。