決算発表する同社執行役専務の中村豊明氏(中央)
決算発表する同社執行役専務の中村豊明氏(中央)
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 日立製作所は2008年5月13日,2007年度(2007年4月~2008年3月)の連結決算を発表した(ニュース・リリース)。売上高は対前年度比10%増の11兆2267億円,営業利益は同89%増の3455億円,当期純損益は581億円の赤字だった。薄型テレビなどを含むデジタルメディア・民生機器部門が不調だったものの,電力・産業システム部門や情報通信システム部門の伸びが支えた。

 デジタルメディア・民生機器部門の売上高は対前年度比横ばいの1兆5046億円。営業損益は同515億円悪化し,1099億円の赤字だった。空調機器や生活家電,光ディスク・ドライブは好調だったが,薄型テレビの大画面モデルが北米を中心に伸び悩み,価格下落が想定以上に速く進んだ。さらに薄型テレビを中心に海外販売体制の再構築や低収益製品の縮小・撤退に伴う構造改革関連費用460億円を計上し,大幅な赤字となった。

 電力・産業システム部門は,売上高が対前年度比18%増の3兆5681億円,営業利益が同280%増の1384億円と増収増益を達成した。国内の原子力発電所の新規建設や,海外を中心とした石炭火力発電設備の需要が追い風となった。さらに前年度に一括計上した不採算案件の対策費用の影響がなくなったため,大幅な増益となった。鉄道車両やオートモーティブ・システムに関する事業も増収増益だった。

 情報通信システム部門は,売上高が対前年度比12%増の2兆7611億円,営業利益が同92%増の1161億円と増収増益だった。国内の金融機関向けに大口のシステム構築案件があり増収となった。赤字が続いていたHDD事業に関しても営業損益が回復基調にあり,2007年10~12月期,2008年1~3月期と2四半期連続で営業黒字を達成した。

 なお,2008年度(2008年4月~2009年3月)の連結決算見通しは,売上高が対前年度比1%減の11兆1000億円,営業利益が同10%増の3800億円,当期純利益が400億円の黒字を見込む。デジタルメディア・民生機器部門は構造改革関連費用がなくなることやコスト低減を進めることで営業損益が改善するものの,350億円の赤字にとどまる。薄型テレビ事業だけで見ると,通年で赤字か黒字か微妙なところとする。また,情報通信システム部門はHDD事業の赤字が解消される見通しであり,営業利益は同29%増の1500億円を見込む。