HTML5の三つの効用
Google社とApple社以外のプラットフォーム企業が、HTML5を採用するメリットは大きく三つある。第1に現在問題が顕在化しているAndroidとiOSのプラットフォーム分断(フラグメンテーション)をうまく利用して、自社のプラットフォームに多くの開発者を呼び込むことができること(図3)。第2にGoogle社とApple社のビジネスモデルや意向の影響を排除できるようになること。第3にプラットフォームに依存しない機器間連携が可能になることである。
第1のメリットの根幹にある「フラグメンテーション問題」とは、同じアプリであってもAndroidとiOS、さらに、Android間でもプログラムを作り分けなければいけないというものだ。
一般にAndroidのアプリ開発ではJava、iOSのアプリ開発ではObjective-Cという言語を使う。しかし、「JavaとObjective-Cの両方のプログラミング・スキルを持つ者は少ない」(ソフトウエア開発者)。同じアプリであっても、それぞれのプラットフォーム向けに異なる開発者人材を用意しなければならない。
Androidを搭載したスマートフォンでは、プラットフォームのバージョン、機種の組み合わせが膨大である。しかも、その挙動は組み合わせごとに違う。そのため、アプリ開発者はアプリの検証作業に頭を抱えている。