「Planet OSって知ってる?」
I編集長からそう声を掛けられ、戸惑った。
戸惑った理由は単純だ。知らない言葉だったからだ。
日々新しいものを追いかけるのが職分である記者たるもの、知らないことなど日々、山ほど訪れる。知らない会社に出会うのだって日常茶飯事だ。
にもかかわらず、なぜ戸惑ったのか。
私事で恐縮だが、実はつい数日ほど前、古巣である日経エレクトロニクス編集部に戻ってきた。
入社以来、長らく日経エレクトロニクス編集部に在籍していたのだが、2年ほど前、突如、辞令を受け、エンタープライズITの媒体である日経コンピュータ編集部に異動。IoTやらビッグデータやら、プログラミング言語やら、ソフトウエアエンジニアリングやらといった領域を見ていたのだが、この度、縁あって、再び古巣の媒体に参った次第である。
日経コンピュータ編集部にいる間も、日経エレクトロニクスの特集記事などには眼を通していた。おおまかな動向は把握していたつもりではあったが、「Planet OS」などというものは知らない。
前述したように、記者として知らないことには慣れているはずだが、さすがに知らない「OS」の名前が、編集部内の会話で出るとは思っていなかった。昔の日経エレクトロニクス在籍時は組み込み用のOSやモバイル向けのOSは一通りみていたし、日経コンピュータの記者としてIT系のOSもそれなりに勉強してきたつもりである。最近では、クラウドのITインフラを抽象化し、統一的に制御するための仕組みとして「クラウドOS」なるものが登場しつつあることも知っている。
しかし、「Planet OS」なるものは全く聞いたことがない。2年間のブランクとはかくも厳しいものかと、少々戸惑った次第である。
さて、調べてみると、Planet OSというのは、会社名のようだ。今は米国シリコンバレーに本社を置いているが、もともとはエストニア発のスタートアップ企業である。エストニアというのはITの先進国として有名で、あのSkypeもエストニア発の企業である。Planet OSの共同創業者も、Skypeの研究開発部門出身の人間だ。
先日、同社の創業者兼CEOのRainer Sternfeld氏にインタビューさせていただく機会があり、同社の事業内容や手掛ける技術についていろいろとお話をお伺いした。