千葉県市原市内の国道16号で2024年9月に起こった4車線にわたる大規模な陥没事故。首都圏の大動脈が上下線とも1日以上、通行止めになるなど大混乱を招いた。事故直後、管理者の国土交通省千葉国道事務所が推定した陥没の原因には疑念が残る。
陥没の大きさは、⾧さ約5.5m、幅約15m、深さ約85cmで、上下線の計4車線にわたった。路面下の約1.2mの位置には口径4mの鋼製の管路が横断。管路は半円形の断面で、周辺に降った雨水を東京湾に流していた。
道路陥没は一般的に、埋設管の破損などによって管内に土砂が吸い出され、生じることが多い。
だが、同事務所は、管路の破損が陥没の原因ではないと見る。事故発生前日に降った大雨の影響で地下水位が急激に上下し、路面下の地盤が緩んで空洞が発生。その拡大により、陥没が起こったと推定する。管路の損傷は陥没した路面の重みなどで、陥没後に生じたという見立てだ。
先に管路が損傷していたか
確かに、管路が破損していなくても透水性の高い斜面が近くにあれば、緩い地盤では地下水位が上昇して下降する際に、斜面の内部から地盤に流入した水によって土砂が流され、道路陥没を引き起こすこともある。だが、今回のような平地にある道路では起こりにくい。
そうした点から、地質調査業務を手掛ける環境地質(川崎市)の稲垣秀輝会長は、今回の陥没について発生前から管路が破損していた可能性があると指摘。大雨で路面のクラックから雨水が流入し、破損していた箇所から土砂が吸い出されて地盤に空洞が生じ、陥没したと見る。管路は設置から約60年が経過し、老朽化が進んでいた。海岸線に近く、海水の影響で腐食していた恐れもある。