範畴とは? わかりやすく解説

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範疇

範疇(はんちゅう)とは、ある特定の領域範囲を示す言葉である。一般的には、ある事象概念属す領域、またはその事象や概念が及ぼす影響範囲を指す。例えば、学問分野では、特定の学問が扱うテーマ問題領域を指すために「範疇」という言葉用いられるまた、日常生活においては話題や行動の範囲を示す際にも「範疇」という言葉使われるこのように、範疇は多様な文脈使用されその意味文脈によって微妙に変化する

はん‐ちゅう〔‐チウ〕【範×疇】

読み方:はんちゅう

《「書経洪範の「天乃ち禹に洪範九疇を錫(たま)う」から》同じよう性質のものが含まれる範囲カテゴリー。「コメディーの—に属す映画」「趣味の—を出ていない」

哲学で、あらゆる事象それ以上分類できないところで包括する一般的な基本概念

アリストテレスで、あらゆる存在者がその下に包摂される最高類概念実体・量・質・関係・場所・時間位置・状態能動受動10項目。

カントで、純粋理性概念理念)から区別された純粋悟性概念思惟能力としての悟性先天的形式で、これによって悟性対象認識へと構成する。量(単一性数多性、総体性)、質(実在性否定性、制限性)、関係(付属性‐自存性、原因性依存性相互性)、様相可能性不可能性、現存在非存在必然性偶然性)の4項12目。


範疇

読み方:ハンチュウ(hanchuu)

同じ性質のものが属す部類


カテゴリ

(範畴 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/24 18:41 UTC 版)

カテゴリ: Kategorie: Category: Catégorie)は、事柄の性質区分する上でのもっとも基本的な分類のことである。カテゴリーとも表記する。語源ギリシア語κατηγορια漢訳語では範疇はんちゅう)であり、洪範九疇に由来する[1]

概説

アリストテレスによって哲学用語として採用された。アリストテレスにおいてカテゴリは存在のもつ10の基本的性質をあらわし、存在論における基本概念のひとつであったが、イマヌエル・カントは人間認識を基礎付ける超越論的制約のひとつ、純粋悟性概念をカテゴリと呼び、その意味認識論的意味へと転換した。

哲学用語としての「基本範疇」の意味から発展して、各種分類学などでもカテゴリの用語が用いられることがある。また最近ではウェブディレクトリなどで、範疇という漢訳語を用いずに、英仏独語の音訳であるカテゴリの語が用いられている。

数学ではまたは範疇のことをカテゴリと呼ぶ。

歴史

古代

ギリシア哲学において、カテゴリは単に物質の基礎的な元素など)を表す。認識問題そして存在と意識の相互関係について高まる関心とともに、哲学的なカテゴリ体系は決定的に発展した。

プラトンにおけるカテゴリ

プラトンは以下の五つのカテゴリを区別した。

  1. 存在 (Sein)
  2. 同一性 (Identitat)
  3. 多様性 (Verschiedenheit)
  4. 変化 (Veränderung)
  5. 存続 (Beharrung)

であり、これらをプラトンはのあかし(Zeugnisse der Seele)とみなした。

カテゴリの本来的な創設者としてのアリストテレス

哲学的なカテゴリの本当の創設者はアリストテレスである。彼は最初にカテゴリを体系的に研究した。彼は、論理学を研究をするための基礎であり、道具であるとして、まず、述語(命題「PはQである」というときの「Qである」にあたる)の種類を以下のように10に区分する[2]。彼は、次いで、形而上学において、存在者を多義的なものであるとして、存在をカテゴリに従って10に分類した。彼によれば、個物を「第一実体」であるが、カテゴリにおける「実体」は、述語として用いられ「類」や「種」をあらわすが、普遍者であるゆえ「第二実体」とした。それによって、'Aussageweise'から'Seinsweise'への移行がおこる。

  1. 実体
  2. 関係
  3. 場所
  4. 時間
  5. 位置
  6. 所有
  7. 能動
  8. 受動

実体以外の残りのカテゴリは、実体のより詳細な特徴付けに資する。彼は対象の分類としてカテゴリを解する。

カテゴリは、少なくとも以下の二種の条件を満たすべきである。

  • 形式上:分類(Klasse)の数は無限であり、その分割は空虚であり、その統合は多様性(Universum)を束ねる。
  • 実質上:分類からのどの個物もひとつの分類に属さねばならない。すなわち、決して他の分類に入れられえない。

この条件は、しかし、アリストテレスも抱えていたカテゴリの境界付けに関する困難へと導く。「関係」と「質」についての、そして「量」についての境界付けは、分類に際して連続のうちに現れる「場所」と「時間」をもっては明らかにならない。アリストテレスの範疇論は、哲学の発展上に広範囲の影響をもち、現在の哲学においてもなお部分的には及んでいる。

中世

聖トマス

トマス・アクィナスは、アリストテレスの10の範疇に、以下の六つの超範疇的概念を加えた。

  1. もの
  2. 存在者
  3. 一 (曖昧さ回避)
  4. あるもの

近世

哲学的範疇論に対する重大な貢献を、古典的ドイツ哲学、取り分けイマヌエル・カントG.W.F.ヘーゲルが果たした。

カント

カントは、その著書『純粋理性批判』において、カテゴリを客観的実在の反映とはみなさず、純粋悟性の真の主要概念とみなした。

カントに従えば、カテゴリはすべての経験の前提条件であり自然法則をアプリオリに定める。

カントはカテゴリを以下の四つのグループに分けた。

  1. (単一性、多数性、全体性)
  2. (実在性、否定性、限界性)
  3. 関係(実体性、因果性、相互性)
  4. 様態(可能性、現実存在、必然性)

ヘーゲル

ヘーゲルは、ドイツ哲学の包括的なカテゴリ体系にまで発展させた。彼はとりわけ―たとえ観念論的形式においても―異なった哲学的カテゴリの間に弁証法的観点を際立たせた。

脚注

  1. ^ 範疇(はんちゅう)の意味 - goo国語辞書
  2. ^ 『カテゴリー論』第4章

関連項目

外部リンク


範疇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 17:31 UTC 版)

好塩菌」の記事における「範疇」の解説

至適増殖NaCl濃度違いによって、以下4つの範疇に分けられる。ただし、この分け方はあくまで至適増殖NaCl濃度基づいたものであり、自然環境中においては海洋細菌淡水系で分離されるなど、数多く例外存在する。 非好塩菌…0-0.2 mol/dm3:ほとんどの土壌細菌該当する低度好塩菌…0.2-0.5 mol/dm3:海洋細菌多く該当する中度好塩菌…0.5-2.5 mol/dm3:様々な含塩試料から分離される細菌該当する高度好塩菌…2.5-5.2 mol/dm3:大半が高度好塩性古細菌占められる(高度好塩古細菌のみを高度好塩菌とすることもある)。 高度好塩菌とされる生物には 古細菌ハロバクテリウム綱古細菌狭義高度好塩菌30属以上が含まれる) Methanohalbium evestigatum(メタン菌一種) "Nanohaloarchaea"(未培養ユリアーキオータ真正細菌Actinopolyspora halophila Ecthiorhodosphira halophila Halobacteroides halobius Salinibacter ruber などがいる。 また、以下の分別法も提唱されている。 嫌塩培地に塩を添加する増殖抑制される。(例:|Escherichia coli名・大、) 耐塩菌…塩による抑制弱く10-20%の塩にも耐える好塩菌…塩を好む、塩の在る方が好きな生理的食塩水程度微量の塩で増殖するが、塩の添加により増殖抑制される。(例:Vibrio parahaemolyticus、和名・腸炎ビブリオ) 高度好塩菌高濃度の塩を好む微量の塩でも増殖するが、10%程度上の存在下で最適に増殖する。(例:Bacillus saliphilus、和名・バシラス属) 嗜塩…塩に依存する微量の塩では増殖せず、少なくとも海水濃度(3-3.5%)以上の塩を要求する。(例:Kushneria indalinina) 極度嗜塩塩中毒、塩耽溺とも。嗜塩中でも特に塩依存度が強く増殖10%程度上の高濃度の塩の添加要求するそれ以下濃度では瞬時死滅するものが多い。(例:Natronobacterium gregoryi)

※この「範疇」の解説は、「好塩菌」の解説の一部です。
「範疇」を含む「好塩菌」の記事については、「好塩菌」の概要を参照ください。

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範疇

出典:『Wiktionary』 (2021/07/26 12:00 UTC 版)

名詞

はんちゅう

  1. (哲学) 最も基本的な、認識論上の概念のこと。人が物事認識したり思考したりする上で、どうしてもそれに依存なければならないような概念。「」、「」、「時間」、「関係」など。
  2. 分類上の特に大きな項目分野。例:「生物学という範疇」。
  3. 任意立てられ分類項目。種類。英語の class相当する。(ほとんど誤用に近い用い方。)

発音(?)

ハ↘ンチュー ハ↗ンチュー

語源

哲学用語 西洋哲学category (en), Catégorie (fr), Kategorie (de)訳語として、幕末から明治にかけての哲学者西周が、『書経』洪範」篇の「天乃ち禹に洪範九疇を錫う」から造語した。[1](「洪範」は天地大法、「疇」は田畑区切るあぜ道、の意)。

古典ギリシア語κατηγορια(カテゴリア)は「告訴」、「断定」の意。)

関連語

翻訳


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