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考えるための書評集

Category書評 性・恋愛・結婚 1/8

さっぱり意味をつかみかねた――『成熟と喪失』 江藤 淳

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成熟と喪失 “母”の崩壊 (講談社文芸文庫)江藤 淳 講談社 1993-10-04by G-Tools 母性社会での成熟や近代化論、あるいは男性原理といった話題あたりを語っているのはわかる。農耕社会での死と再生といったわたしの興味のもっている話題も言及されているのがわかる。 しかしさっぱり意味をつかみかねた。理解に近いところを語られていながら、わたしにはさっぱり明晰さや明確な手ざわりをつかめなかった。 思想であるとか、心理学...

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男らしくあることもひとつの奴隷状態――『日本の男はどこから来て、どこへ行くのか』 村瀬幸浩ほか編

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日本の男はどこから来て、どこへ行くのか―男性セクシュアリティ形成(共同研究) (男性セクシュアリティ形成〈共同研究〉)村瀬幸浩ほか編十月舎 2001-07by G-Tools どうして男について問わなければならないのか疑問に思う方もおられると思う。端的にいえば、「~ねばならない」「~しなければならない」といった自分ではない強制や強迫のなかにおかれるからである。 男であることもひとつの社会の「奴隷状態」なのである。またそ...

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性の抑圧による狂気と倒錯の歴史――『歴史におけるエロス』 G・R・テイラー

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歴史におけるエロスG・R・テイラー 新書館 2008-10-23by G-Tools 「キリスト教が生み出したヨーロッパの性の狂気!」、「岸田唯幻論の原点」、「フーコーの「性の歴史」の登場を用意した古典」とアマゾンでいろいろ謳われているが、「ヨーロッパの性の狂気」がいちばん当っている本だろうね。 中世キリスト教によって生み出された性の禁止によって魔女裁判がヨーロッパじゅうにひろがり、いっぽうではセックスにとり憑かれ、倒錯...

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【18禁】 「変態性欲」と「性欲生活」にのけぞる大正セクシュアリティ

 むかしの性的意識って現代から見れば、こっけいですね。国会図書館の近代デジタルライブラリーでそういう本をながめていたら、こっけいを通り越して、のけぞるタイトルにびっくり。 「変態性欲」とか「性欲生活」という言葉が大正時代に闊歩していて、大マジメに論じられていて、人びとはそのような衝撃的な論述に啓蒙されていたのですね。なにを規制されて、どのような規律がこめられていたのでしょうね。 大正時代の恋愛論ブ...

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羞恥心は西欧近代以前になかったのか―『秘めごとの文化史』 ハンス・ペーター・デュル

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秘めごとの文化史―文明化の過程の神話〈2〉 (叢書・ウニベルシタス)ハンス・ペーター デュル Hans Peter Duerr 法政大学出版局 2006-07by G-Tools 性はなぜ隠すと魅惑的になるのか、羞恥心とはなにかといった問いをもっていたので、このハンス・ペーター・デュルの『文明化の過程の神話』は興味をもっていたのだが、一冊6千円とか9千円もする大部の著作はとても読めないと思っていた。たまたま古本で8百円で見つけたのでゲット。...

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150年前、人前での裸が平気だった日本人―『裸はいつから恥ずかしくなったか』 中野 明

裸はいつから恥ずかしくなったか―日本人の羞恥心 (新潮選書)中野 明 新潮社 2010-05by G-Tools 唖然としたというか、驚嘆というか、思わず唸った一冊だった。 日本人はどうやらわずか150年前、人前で裸をさらすことに羞恥も禁止もなかったようなのだ。こんにちのわたしたちは「そんなバカなこと」と思うだろうし、なかなか信じられないことだろう。 だからこの本では当時、西洋人が混浴や庭先で行水をする日本人に出会って驚い...

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三十代・独身女の尽きせぬ将来への不安

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 女性の未婚率は25歳から29歳で59.9%となっている。30歳~34歳でも33.3%となっている。50歳の未婚率は9.8%だ。80年代ころからどんどんうなぎのぼりで、二十代後半でも6割の女性が未婚になっているのは驚きだ。結婚しない、できない時代になっている。(図録▽未婚率の推移) 男性では25歳から29歳で71.1%、30歳~34歳でも46.5%。50歳で19.4%。男は二十代でほぼ結婚せず、三十代で半分くらい結婚する。五十代でも結婚しない人...

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恋愛本のおすすめ本・名著15冊

 とある雑誌から恋愛本のおすすめ本三冊をセレクトするようにたのまれた。 資料をあつめるためにむかし読んだ本の書評をあらためて読み返した。 どの本をセレクトしようかな。  わたしとしては『この人と結婚していいの?』と『なぜ彼は本気で恋愛してくれないのか』、『恋愛セラピー』をおしたいのだが、わたしに期待されているのは「評論・新書・哲学」のジャンルらしい。どうしよう。 この人と結婚していいの? (新潮文庫)石井...

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『お父さんなんかいなくても、全然大丈夫。』 オープンブックス編集部

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お父さんなんかいなくても、全然大丈夫。―離婚の真実 (オープンブックス)(2010/01)オープンブックス編集部商品詳細を見る これはおそらく離婚をためらっている、もしくは離婚をすこし後悔している母のために編まれた本なのだろう。離婚した子どもたちの心境がそのままつづられている。13人のインタビュー集。 わたしはこういう個人のライフヒストリーというのはどうも忘れる。哲学や社会学みたいな要約や抽象的な言葉しか頭に残...

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『私という病』 中村うさぎ

私という病(新潮文庫)posted with amazlet at 15.02.16新潮社 (2014-11-07)売り上げランキング: 2,392Amazon.co.jpで詳細を見る私という病 (新潮文庫)中村うさぎ  作家中村うさぎがなぜデリヘル譲になったかという話だが、男性諸氏が期待する風俗ルポタージュを満足させる内容ではまったくなくて、またそこまでして世間に名を売りたいのかという不審を払拭する本であり、この本はだれに読まれるべき本であるかというと、「女で...

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