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考えるための書評集

Category書評 マンガ論、サブカル論 1/3

敗北感――『時間SFの文法』 浅見 克彦

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時間SFの文法: 決定論/時間線の分岐/因果ループposted with amazlet at 19.01.10浅見 克彦 青弓社 Amazon.co.jpで詳細を見る 頭がパンクする本だった。いくつものタイムトラベル物語が並列的にならべられて、あらすじをつかむだけで精いっぱいで、要約や思考につかうリソースはもうないと敗北感を感じた。 こういう物語のあらすじを同時に頭に入れておくことがかなり苦手な私は、あらすじ羅列的な記憶はどうやって維持できるんだ...

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おもしろくなかった――『「面白さ」の研究』 都留泰作

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の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか (角川新書)都留 泰作 KADOKAWA/角川書店 2015-05-10by G-Tools 大ヒット作、『スターウォーズ』、『となりのトトロ』、『千と千尋の神隠し』、『ワンピース』、『踊る大捜査線』などのエンタメのおもしろさ、ヒットの理由などをさぐった書だが、文量もおおく、解釈もたいしておもしろみのあるものではなかった。ちょっと苦痛の部類に入る本かもしれない。 著者は文化人類学者であ...

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大人になるためになぜ異類の夫は殺されるのか――『人身御供論』 大塚 英志

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人身御供論―通過儀礼としての殺人 (角川文庫)大塚 英志 角川書店 2002-07by G-Tools かなりおもしろかった。生け贄にささげられる娘が異類の夫をなぜ殺すのかという民話の謎が、サブカルを題材に読み解かれてゆく各章はとてもスリリング。 2002年に文庫化されてもう絶版なのだけどね。こういう民俗学とサブカルを結ぶ評論は民俗学に興味がある人はおもしろいのだろうけど、サブカルだけの興味の人は手にとりにくいのかもね。 ...

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読みたいマンガはあるかな―『サラリーマン漫画の戦後史』 真実 一郎

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サラリーマン漫画の戦後史 (新書y)真実 一郎 洋泉社 2010-08-06by G-Tools なかなかおもしろかった。興味のひかれた何冊かを読んでみたいと思った。 ただ通史としてタテにつながっていたストーリ-がさいごの章で、拡散されて焦点がむすびにくく、カタログ本のような体裁になっていたのでなんだか方向性が見えなくなった。まあ、現在になればなるほど、通史としての物語に収めにくくなるのはわかるけど。 この本では源氏鶏太の...

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ざっと概括史のようなものですね―『ふしぎなふしぎな子どもの物語』 ひこ・田中

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ふしぎなふしぎな子どもの物語 なぜ成長を描かなくなったのか? (光文社新書)ひこ・田中 光文社 2011-08-17by G-Tools ネットのほかの書評にもいわれているとおり、サブタイトルの「なぜ成長を描かなくなったのか」という問いはほとんど問われない。テレビヒーローやアニメ、マンガの概括史のようなもので、分析や解釈だけを読みたい向きにはちょっといらない部分が多い。 けっきょくなにをいいたかったのかとなるけど、子ども...

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ユング派の解釈とは―『おとぎ話の心理学』 M-L.フォン・フランツ

おとぎ話の心理学 (1979年) (ユング心理学選書〈1〉)M-L.フォン・フランツ創元社 1979-12by G-Tools おとぎ話の心理的解釈についてはまえにまとめて読んだことがある。おとぎ話というのはたいてい言葉で意味がわからないのだが、解釈を言葉で知ることの驚きと喜びはけっこう大きいものである。 ほかのドラマや映画にも適用できるようになる。だけどすっかり自分のものになるにはそうとうの修行が必要なようである。ということで...

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『大人になれないまま成熟するために』 金原 瑞人

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大人になれないまま成熟するために―前略。「ぼく」としか言えないオジさんたちへ (新書y)金原 瑞人 洋泉社 2004-10by G-Tools ブックオフの百円本で買ったからか、ほとんど読む価値のない本に思えた。読んだ本はたいてい赤線を引くのだが、この本は引く価値もないと思った。 なんらかの問題意識もあったのだろうが、どーでもいい。感想も書く必要もないと思うのだけど、マイナスの意味でのこしておこう。 50年代のアメリカ文化...

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スゴイ物語読解力―『ゼロ年代の想像力』 宇野常寛

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ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1)宇野常寛 早川書房 2011-09-09by G-Tools わたしは物語の読解能力がないから、著者の読解能力に驚かされるばかりだった。「この物語はこういうことをいっていたのか」、「この物語はこう読むのか」と驚嘆しきりだった。明快な物語読解や図式的な通史を与えてもらって、目からうろこの批評であった。もう手放しにひれ伏すしかないな。。という感想。 あえて批評的なことをいうとすると...

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『マンガに教わる仕事学』 梅崎 修

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マンガに教わる仕事学 (ちくま新書)(2006/03)梅崎 修商品詳細を見る マンガを評論した本は好きだが、残念ながらこの本はほとんど読むべきものがなかった。たんなるエッセイ、四方山話。なにかの鋭い論評があるわけでもない。紹介本に徹しているわけでもないから、よけいに中途半端。ちくま新書のレベルを期待したら裏切られる。まあ、わたしがすぐれた本を書けるわけでもないのでこれ以上の批判は慎もう。 マンガで仕事や職業に...

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『お母さんという女』 益田 ミリ

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お母さんという女 (知恵の森文庫)(2004/12/08)益田 ミリ商品詳細を見る 益田ミリは謙虚で朴訥とした絵柄がいい。ほっとする。脱力系というのか。押しや強引さ、欲望といったものが排除された謙虚さを味わえる。わざとヘタウマと雑な絵も味わいを増す。ほこっとしたいときには絵をながめているだけで安らげて、癒される。これはいいな。 著作を見ているとゆるゆる系やダメ系も多いが、イラチ系もちょっと混ざっていて、自分のその...

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