5月の始め、付き合いでコンピューターアニメの「カンフーパンダ4」を映画館に観に行った。平日なので広い部屋に観客は10 人以下だった。
機内で観る映画とは対照的なシチュエーションだ。
もちろんこのシリーズの前作も観ていないし、噂を聞いたことすらなかった。
それでも、古代中国をイメージした町、山や海などの壮大さや、いろいろな戦いのシーンは息をのむほどの迫力だった。
以前、コンピューターアニメの制作過程についてのドキュメンタリーを少し見てなるほどと感心したことがあるけれど、ディティールに至るまで完璧な出来で、アニメの先入観を完全に覆された。
主人公のパンダのポーは憎めないキャラだがある意味ステレオタイプだし、メギツネのJENや悪役のカメレオンが、どちらも「不幸な子供時代」のトラウマのもとでいわば悪に魂を売る形で力をつけていくという文脈もなんだかなあ、と思う。
子供時代に「愛されな」かったので、サバイバルのツールとして「悪」を選ぶということが一種の免罪になっているとでもいうのだろうか。
まあそれでも、結局は友情や信頼が勝つので、子供連れが観に来ても、敵と戦う暴力シーンにだけ興奮するのではないかと心配する必要はなさそうだ。
性別やら服装やら、ポリコレの検閲をうまくかわせそうな設定も今風だなあと思う。
私がジャッキー・チェンの香港カンフー映画の酔拳や蛇拳を観たのは博士課程を終えるための一時帰国中の日本だった。格闘映画など好みでないのに、コメディ風でジャッキー・チェンの軽さが気に入ったのをよく覚えている。
カンフー・パンダをそれなりに観ることができたのは、ジャッキー・チェンによる「洗礼」を受けていたからかも。