社会科学

『宇宙・動物・資本主義 ――稲葉振一郎対話集』

久しぶりに稲葉振一郎を読んだ気がする。宇宙倫理学関係は2010年代後半にちょいちょい読んでいたし、ブログとかSNSとかは見ているので、全くの久しぶりというわけでもないのだけど 対談集なので、気楽な感じで読んだが内容は濃いし、タイトルが象徴的だが、…

『Newton2023年8月号』『日経サイエンス2023年8月号』

Newton2023年8月号 建築の未来 進化するリニア 意識の謎はどこまで解けたか 日経サイエンス2023年8月号 フロントランナー挑む:AIが仮説,ロボが実験 サイエンスの営み変える:高橋恒一 ChatGPTが映し出すヒトの知性 数の感覚 生まれつきか学習か J. ベック…

千々和泰明『戦後日本の安全保障』

サブタイトルは、「日米同盟、憲法9条からNSCまで」 防衛政策史研究者による本で、タイトル通り、戦後日本の安全保障政策の歴史を論じた本である。 小林義久『国連安保理とウクライナ侵攻』 - logical cypher scape2を調べていたら、関連する本として出てき…

Regula Valérie Burri and Joseph Dumit "Social studies of scientific imaging and visualization"

STSにおける、科学の視覚的表象研究についての総説論文みたいな奴 http://www.kana-science.sakura.ne.jp/scientific-illustration/studies.html で紹介されていたので読んでみた。 科学哲学には一応慣れ親しんでいるつもりだが、STS読むのはこれが初めてだ…

日経サイエンス・Newton2022年7月号

日経サイエンス SCOPE ITで目の不自由な人をナビゲート ADVANCES 細菌のエピジェネティクス From nature ダイジェスト 巨大ウイルスがゆるがす生物と無生物の境界 中島林彦 協力:村田和義 試験管で再現したRNA生命体の進化 中島林彦 協力:市橋伯一 メディア…

倉田剛「社会存在論の「統一理論」について」「いかにして社会種の実在性は擁護されうるのか」

倉田剛による下記の2つの論文が、グァラに触れているので、フランチェスコ・グアラ『制度とは何か』(瀧澤 弘和 監訳・水野 孝之 訳) - logical cypher scape2を読んだついでに、これらの論文も読んでみた 倉田剛「社会存在論の「統一理論」について」 htt…

フランチェスコ・グアラ『制度とは何か』(瀧澤 弘和 監訳・水野 孝之 訳)

社会科学の哲学の立場から書かれた制度論 経済学的な制度理解と哲学的な制度理解とを架橋するための議論が展開されている。 二部構成となっており、前半では、制度についての均衡説と制度についてのルール説を統合した統一理論「均衡としてのルール」説を展…

『日経サイエンス2019年12月号』

NewsScan●海外ウォッチ 卓上の重力波検出器 あなたも感じる「数学の美」 特集:真実と嘘と不確実性 物理学 物理学におけるリアリティー G.マッサー 数学 数学は発明か発見か K. ヒューストン=エドワーズ 神経科学 脳が「現実」を作り出す A. K. セス ネット…

日経サイエンス2019年9月号

特集:恐竜 その姿と動き 実物化石が語る新たな恐竜像 内村直之/古田 彩 恐竜たちの走りを再考する 出村政彬/古田 彩 協力:宇佐見義之/平山 廉/ 久保 泰 トリケラトプスの本当の歩き方 古田 彩 協力:藤原慎一 デング熱ワクチンの混迷 抗体依存性感染増…

瀧澤弘和『現代経済学』(一部)

サブタイトルが「ゲーム理論・行動経済学・制度論」で、様々なサブジャンルに多様化した現代の経済学についての入門書となっている というわけで、個人的には、制度論に興味があったので、制度論の章だけとりあえず読もうかなーと思ったら、結構それ以外も面…

弥永真生・宍戸常寿編『ロボット・AIと法』

ロボット・AIに関連する法学諸分野の論点を解説している本 編者によれば、ロボット・AIを糸口にした法学入門としても読むことができることが企図されており、実際、法律門外漢の自分にとっては、そのように読むことができた。 法律の専門家たちによって…

堀田義太郎「差別の規範理論―差別の悪の根拠に関する検討―」『社会と倫理 第29号 2014年』

『差別はいつ悪質になるのか』(http://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-60354-9.html)という書名を見かけて検索していたら、翻訳者の1人による2014年の論文がヒットしたので、読んでみた。 http://rci.nanzan-u.ac.jp/ISE/ja/publication/se29/29-08hot…

『日経サイエンス2017年5月号』

NEWS SCAN 冥王星のクジラ模様の謎を解く ジュラ紀のタコ化石 メイク・アース・グレート・アゲン From nature ダイジェスト 第8大陸「ジーランディア」を探る 特集:スターショット計画 亜光速でアルファ・ケンタウリへ A. フィンクベイナー 日本の宇宙ヨッ…

「ロボット法研究会」設立記念シンポジウム

5月21日に、情報ネットワーク法学会の特別講演会として開かれたシンポジウム 場所は慶應の三田キャンパス 時間は10時〜18時だったけど、自分は13時過ぎ〜17時くらいまでいたので、そのあたりのレポ 主に、パネル1の「ドローンは日本で飛躍できるか?」につい…

『日経サイエンス2016年2月号』

ツイートでわかる所得区分 覆る定説 ピラミッドを築いた人々 Z. ゾーリッチ 心を持つロボット P. ファン 地球の情報容量 C. A. ヒダルゴ テストで学ぶ A. M. ポール 読んだ奴だけ ツイートでわかる所得区分 自分の所得について直接話すということは普通ない…

坂井豊貴『多数決を疑う――社会的選択理論とは何か』

多人数の意見を集約するルールとして、多数決があるが、それ以外にも方法があって、どの方法がいいのかをどういう基準で考えるか、というのが社会的選択理論である、という本。 多数決以外にどういう方法があるかというと、例えば、1位に3点、2位に2点、1位…

『日経サイエンス2015年5月号』

特集「超ハビタブル惑星」 「生命の理想郷スーパーアース」 「有力候補を探せ 系外惑星の空を見る」 「沈没船のお宝を探せ 海洋考古学の新時代」 「透明化が社会に強いる進化」 大型実験施設関係 とりあえず読んだ記事のメモ 特集「超ハビタブル惑星」 「生…

松尾匡『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼』

左派のための経済政策入門、とでも言うべきか 全くそうだよなあという感じであり、政策としてはそう考えればいいのか、という感じ 第1章 三十年続いた、経済政策の大誤解 第2章 ソ連がシステム崩壊が教えてくれること 第3章 一般的ルールか、さじ加減の判断…

『日経サイエンス2014年1月号』

特集:量子世界の弱値 「光子の裁判」再び 波乃光子は本当に無罪か 細谷曉夫 量子テレポーテーションと時間の矢 井元信之 光子は未来を知っている 語り:Y. アハラノフ/聞き手:古田 彩 「光子の裁判」というのは朝永振一郎が、ダブルスリット実験について…

小島寛之『数学的推論が世界を変える―金融・ゲーム・コンピューター』

小島寛之が、様相論理について書いている本が出たと聞いたので読んでみた。 ゲーム理論と可能世界意味論を組み合わせて共有知識を定式化し、共有知識によって通貨攻撃を説明するというもの。 様相論理といっても、必然性や可能性の話ではなく、その応用編(…

『日経サイエンス2013年3月号』

特集:量子ゲーム理論 政治家に見る反科学主義 自閉症と理系思考 特集に、量子ゲーム理論という怪しげな言葉が踊っていたのでw 思わずチラ見 特集:量子ゲーム理論 何となく分かったような分からないような まあそれは量子うんちゃらというものに必ずつきも…

あんまりちゃんと感想メモ書けてなかったけど、読んだ本の記録2(『フィクションの哲学』『現代の金融入門』『憂鬱と官能を教えた学校』『セカイ系とは何か』)

清塚邦彦『フィクションの哲学』 色々な意味で勉強になった。 何というか、文章の書き方レベルから。 想像って結局何なの、とか、西村清和から来るであろう反論をどうかわすの、とかが気になった。 あと、やはりウォルトンは面白そうだなあとか。 虚構記号と…

イアン・ハッキング『偶然を飼いならす』

ハッキング二冊目。 統計にまつわる科学史。 面白い章も色々あったのだけど、一方で統計がよく分かっていないとよく分からない部分も多かった。統計について解説してくれるかと思ったら、統計や確率の概念についての説明はほとんどなくて、統計や確率といっ…

稲葉振一郎『社会学入門』

あとがきによると、稲葉振一郎の勤める社会学部1年生向けの授業を元にしたとのことで、元々一般教養科目としての性質があったようで、「社会学」入門であると同時に一般教養である。 一般教養であるって、よくわからない言い方になってしまったw 全部で1…

稲葉振一郎『増補 経済学という教養』

貨幣的ケインジアンの立場に立って、日本の左翼のとるべき(?)経済政策について勉強する本。 『「公共性」論』と同じく、ブックガイドともなっており、稲葉流に論点がまとめられていて勉強のためになる。 日本の「構造改革主義」と「新自由主義」ないし「…

『思想地図Vol.2』

ざーっと読んだ。 以下、何を読んだかのメモ。 ゲームプレイ・ワーキング 鈴木健 事例紹介として面白かった。 対抗的創造主義を生きよ! 橋本努 最初の方を読んだだけ。あまりよく分からなかった。 民主主義のための福祉 田村哲樹 熟議的民主主義の条件として…

ローレンス・レッシグ『CODE』

『CODE』というと、人の振る舞いを規定する4つ――法、市場、規範、アーキテクチャを示したことで有名だけど、この本にとって、そのことはわりと前提みたいなもので、主題はもうちょっと踏み込んだところにある。 それは、この4つの中でも、法とアーキテクチ…

池田信夫『ハイエク知識社会の自由主義』

ハイエクについて何かいい入門書はないかなあ、と思っていた今日この頃、ふと本屋で見つけた一冊。 ハイエクも池田信夫も、名前は知っているけど、どういう人かいまいちよく知らなかったので読んでみた。 僕がハイエクの名前を知ったのは、東浩紀が紀伊国屋…

稲葉振一郎『「公共性」論』

ハーバーマス、アレント、アガンベンあたりを中心にした、人文系啓蒙の書。 まず第一には、とにかく色々なものが紹介されている、入門書として読むことができる。 あまりにも多岐にわたっているため、説明不足となっていたりする部分もないわけではないが、…

InterCommunicationVol.56(購入後)

貨幣・法人・バザール(岩井克人・安冨歩・鈴木健・東浩紀) 貨幣論とか経済学とかよく分からないので、「へぇそうなんだ」と楽しみました。 でも、難しい、よくわからないことが多い……。 岩井「貨幣論」 本人による「貨幣論」要約! まず、「価値形態論」と…