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2019/03/21
フランス人が日本語を聞くと、自分の国の言葉に結び付けて覚えることもあるようです。

「ありがとう」を、ケーキないし菓子1個を意味する「un gâteau(アン・ガトー)」と言うなど。

日本人の場合でも、「What time is it now ?」をカタカナ発音するより、「掘った芋、触るな!」と言った方が通じると聞いたことがあります。


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その17


ください

この言葉が気に入ってしまった友人がいました。

電車に乗ることが多かったので、アナウンスで繰り返し聞こえてくる言葉を覚えたのでした。「まもなく」とはどんな意味があるのかも聞かれて、気がつきました。

なぜ「kudasaï」が気に入ったのかというと、「ク」をフランス語の「coup(クー)」にして、それに「ダ・サ~イ♪」をつければ、「ちょうだい」となるからなのだそう。

coupには「お酒1杯」の意味もあるのです。

日常会話ではワイン1杯を「un petit coup(アン・プチ・クー)」、「un coup(アン・クー)」と言うことも多いのですが、日本でも「1杯やる」と言いますね。

ワインの国ブルゴーニュでは、「Boire un petit coup(1杯飲む)」という陽気な歌もよく耳にします。1杯やると心地良い、などという歌詞。

アン・プチ・クー、オ・ラ・ラ~♪


Bordas " boire un petit coup " ( c'est agréable...) 1948

それで、「Un petit coup, s'il vous plait(1杯ください)」あるいは「Un petit coup ?(1杯いかが?)」というフランス語を、「(Un petit) coup, dasaï」にして面白がっていたのです。 


ある時、観光列車で少し長い時間をかけて移動することにしたので、駅ビルで日本酒を調達しました。



「クー・ダサ~イ」なら、「獺祭(だっさい)」という名前の日本酒がパーフェクトではないかと思って買いました。プレスチックのお猪口が2つ付いていました。駅ビルだから、そういうのを売っていたのでしょうね。日本人の配慮って素晴らしい!




電車の中でお酒を飲む

フランスにいるときに、ワインを電車の中で飲むことをしたことがありません。日本では、社内販売でお酒を売っているし、駅弁を食べている人たちも多いので、遠慮なくやってしまいました。

フランスの電車の中で、おつまみをかじりながらワインを飲んでいたら、アル中と思われるのではないでしょうか?

クー・ダサ~イを飲むのは愉快で、とても美味しかったです。

瀬戸内海に沿って走る呉線の観光電車に乗ったのですが、海の景色は陸でも見られるというものだったので、少しがっかり。でも、私たちが乗車した日は、水害で一部運行していない地域があったのが全線開通した日だったのでした。

止まる駅ごとに、地元の人たちのお出迎えがあったし、お酒をちょびちょびやったので、長いと思っていた時間もあっという間に過ぎました。





全線開通は水害から復興したシンボルとして、頑張ってきた地元の人たちには格別な思いがあったでしょうね。

フランスの友人たちとの旅行では、福島県を横切ったこともありました。こんな美しい田舎で暮らせたら幸せだろうというようなところに、誰も住んでいないと分かる家々があって、汚染土を入れた黒い袋が山積みにされていて...。心が痛みました。

平成は暗いニュースばかりだったな。新しい元号の時代は明るくなると良いのだけれど...。


空のボトルをどうする?

フランス人、少なくとも私の交友関係では、日本酒は珍しいから飲むけれど、特に好きだと言われたことはありません。大受けしたのは、金箔入りの日本酒だけ。

ひところは、日本からフランスに行くときに日本酒を持って行ったのですが、もうやめました。私が作った和食を食べながら、始めは日本酒を飲むのですが、次に出すときに白ワインにしようかと尋ねると、たいていワインの方が良いと答えられてしまうからです。

でも、日本酒を楽しむには慣れが必要なのかもしれない。今回の旅行では、和食ばかり食べていたので、飲食店では日本酒を飲むことも多かったです。しばらくすると、和食を食べるときの日本酒は美味しいと言われました。


それでも、ワインを飲むことも多かったですね。問題は、日本でフランス・ワインを飲むとお金がかかりすぎること。

それで、チリのシャルドネ種の白ワインを選んでいました。シャルドネはブルゴーニュの白ワインの品種なので、味に馴染みがあるからです。



数日滞在した京都の民宿では、冷蔵庫とダイニングルームがあったので、夕食に出かける前に白ワインを食前酒として飲むのを日課にしていました。私たちが引き上げたあと、宿の奥様はワインボトルがたくさんあるので驚いたのではないかな。捨てるお手間をかけて、すみませんでした!


フランスでは、ワインのボトルを開けて民宿に残すのを楽しんでしまったことがありました。貸別荘型の民宿に1週間滞在した時のことです。



面白いからと、家の入り口の階段にボトルを並べ始めた時の写真です。



1週間したら空き瓶がぎっしり並んだので満足。でも、高齢のマダムにボトルを拾って歩いていただいたら申し訳ないので、出発前にはゴミ箱まで運びました。


日本酒は日本文化に浸透している

友人たちが日本酒の味をどのくらい分かったかは疑問ですが、酒関係の物が飾られているのはとても喜んでいました。

 杉玉杉林

醸造所や酒関係の店に掲げられている杉玉も、大いに気に入られていました。



杉玉は杉の葉で作るのだと説明したのですが、使うのは葉だけなのか、枝なのかと聞かれてしまった。私は知りません。幸いにも、あるところで穂先だけで作っているだろうと見える杉玉があったので、勝手に断定。

杉玉を、どういう風に作るのか調べてみました。葉だけ使うのではなくて、細い枝で中心に入れるボールに引っ掛けていました。質問した人には、この動画を見てもらおうっと。


酒林作り 


酒樽

神社や寺院、その他にも、酒樽が置いてあるのも非常に気に入っていました。酒樽が気になると、信じられないくらい、いたるところにありました!




ミュージアムになっている伏見の酒蔵を見学したとき、上げ底になっている酒樽に友人が注目していました。樽の3分の1くらいしか酒を満たせないようなタイプなのです。「なぜ?」と聞いてくる。私だって知りませんよ。幸いにも説明係らしい男性が回ってきたので、聞いてみました。

祝い事では、ステージに大きな酒樽を置いて鏡開きすると派手で良いので、酒を満たさない酒樽を使うことも多いらしい。なるほど、そうなっていましたか...。満杯に酒を満たしてしまったら、高くつき過ぎてしまうわけだ。

上げ底は日本が誇る文化でしょうね。自分がプレゼントをもらったときには、なんだ上げ底か、と思うけれど、パーティで出てくる酒樽が上げ底というのは見ていても分からないから、良いアイディアです。



14 04 08 ⑯鏡開きの様子 [高野山 トンネル工事] 


フランスはワインを誇っていますが、ここまでの伝統はないですよね。

教会のミサでは、司祭がイエスの血とされるワインを飲むし、ブルゴーニュにはブドウ栽培者の守護聖人のサン・ヴァンサンを祭る祭りがあります。

フランシュ・コンテ地方には、鏡開きのように樽を木槌で叩いて開ける「Percée du vin jaune」という祭りがあります。樽を置く向きが違うだけで、日本の鏡開きにそくり。こちらに写真が入っています

下の動画では、1:25のあたりで樽を開ける場面が出てきます。


La Percée du Vin Jaune

樽を開けることを祭りにする風習は、この地方で生産される「ヴァン・ジョーヌ」というワインで、最低6年はオーク材の樽で寝かせる特殊なワインです。他のワイン産地ではやりません。

ワイン祭りの時には関係者たちが教会で行われるミサに出席したりはしていますが、普段のときに教会の前に酒樽やワインボトルが祭られていることはないですね。


続き:
「おいしい」という言葉 

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ブログ内リンク:
教会でミサを手伝う男の子たちがする悪戯 2018/03/15
不思議なワイン: ヴァン・ジョーヌ 2016/04/28
★ 目次: フランスのアルコール飲料(ワインなど)関係イベント
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
フランス人に日本酒の味が分かるのだろうか? 2015/07/12
★ 目次: フランスの日本食ブーム

外部リンク:
Dassai un grand saké japonais, interview
coupを使う表現が非常に多い



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