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2005/08/21
数年前に田舎に別荘を買った友達が、夏休みを利用してその家を修復しているので見に行きました。

400年前に建てられた農家。

このくらい古くても立派な民家はたくさんあるのですが、彼らが買ったのは廃墟でした!



家の壁が残っているだけ。電気も水道もない。庭も雑草がぼうぼう。

屋根はあったのですが、老朽化しているので、家を購入して真っ先にふきかえました。

それから、下水道がないところなので、義務付けられている自家下水処理施設もつくりました。

修復を始めてから数年たちますが、廃墟の様相は変わっていません。

財産があれば、一年か二年で修復してしまえます。でも彼には、お金がない! 業者に頼まなければならない最低限を任せて、あとは自分でコツコツと修復しています。

そもそも、こんな廃墟の修復を全部業者にさせたら、1億円くらいかかるのではないでしょうか?


◆気が遠くなるような修復作業...

修復工事はボツボツという感じで続いています。ご主人は1年の3分の1が休暇という職業ですが、それでも工事は進みません。

古い石造りの家を修復するのには原始的な作業が必要なのです。

見ていると気が遠くなります! 私がこんなことに取りかかったら、途中で泣き出してしまうと思う...。

石壁に取り付けられたコンセント

例えば、右の写真は、壁にコンセントを取り付けたところ。

何でもないように見えるでしょうが、壁は石だということを思い出してください。

石を外して電線を通し、それから外側から電線が見えないように石やセメントで隠しているのです。

コンセントがついている石壁は内壁なので薄いとしても、厚さが40センチくらいはあるはず。それに電線を通しています。

外から電線を引くのにも、家の壁は1メートルもあります。

電線、水道、暖房の給水管、電話線...、みんな壁を通さなければならないのです。

2年前に行ったときには、屋根のふき替えと、下水処理施設をつくる工事が終わったところだったのですが、今回は、水道、電気が通っていました。

部屋の仕切りもいくらかできていました。

でも、まだまだ住める状態になるのはほど遠い...。

あと20年たっても、修理が完了しないことは確実だと思います。

こういう人たち、フランスには数え切れないほどいます。

友達のようなケースは、日本だったらニュースになってしまうでしょうけれど、余りにもありふれたことなので騒がれることはありません。

歴史的に価値がある広大な城とか修道院の廃墟を修復するような話しならニュースにもなりますが。

なぜフランス人たちは、ここまで努力して廃墟まで修復しようとするのか?...


◆ クイズ

また、これは何でしょう?クイズを出してしまいます。

下の写真は、ここで紹介した400年前に建てられた農家を、玄関の方から見たものです。

右のオレンジの丸い枠に入っている部分は何でしょう?

左の下の四角いのが家の入り口なのですが、その右にX字形のものがあります。

それを拡大して、オレンジの枠で囲ってみました。

このX字形のものは、何のためにあるのでしょう? それが、今回のクイズです。

フランスの田舎にある古い家では、時々見かけます。日本人を案内していたときに、「あれは何ですか?」と聞かれたことがあるので、問題にしてみました。

でも、これもすぐに解答が出てしまうだろうな...。


【追記】

クイズは正解がでています。コメントをご覧ください。

この日記を書いたのを忘れていて、ずっと後になって、これが何であるかをクイズにしていました:
クイズ: このS字マークは何でしょう? 2009/06/17

こんなに修復工事が多い家なので、住めるようになるのだろうかと友人仲間で心配していたのですが、10年余りたった今、セントラルヒーティングの工事はまだなものの、かなり快適に住める家になってきています。

ブログ内リンク:
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カテゴリー: 建築物 | Comment (9) | Top
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コメント
この記事へのコメント
Re:フランス人の古い家を修復する情熱(08/21)
またまたこんにちは! 私もフランスの古い家が大好きです。新しい家も魅力的ですが、古い家(maison de campagne)はやはり趣ありますものね。ある程度の年数を経ると新築は外壁を塗り直す必要がありますが、古い家はいつまでも外壁美しいですよね~。



・・・という訳で、こちらのクイズの答えは→外壁に生じたヒビがそれ以上に広がらないようにストップさせる為の金具・・・でどうでしょうかっ。
2005/08/20 | URL | 紅茶風味  [ 編集 ]
わたしも!
紅茶風味さんが正解っぽい気がしていますが、私はひび隠し?よく障子に貼ってある(ふ、古い)かな、なんて思いました。

400年前の農家を修復なんてなんだか日本では考えられないことです。

フランス人はかなり気が長いですね(感心。。)

2005/08/22 | URL | フランス大好き  [ 編集 ]
はじめまして。
はじめまして。



私もフランスの田舎が大好きなのでいつもたのしく拝見させて戴いています。



しかも、

シャトーホテルより、田舎の代々続いている、

家族が大切にしてきた手入れされた家や家具を実際に見ることが出来るシャンブル・ドットがお好きなところなど

とても共感しています。



さて、問題の答えですが



家を建てる時の梁と柱などを固定するもの、ではないですか?



実は私もフランス旅行をしたときに不思議に思って、知り合いのフランス人に同じ質問をした事がありまして。。。



でも、正解が上述のとおりだったか、今ひとつ不安(汗)。



正解をぜひ知りたいです。









2005/08/22 | URL | ごろごろみゃお  [ 編集 ]
はじめまして
ブルゴーニュに行ったことは無いのですが、フランスの田舎は大好きなので立ち寄らせて頂きました。



私は今は日本在住ですが、先日近くの海辺の町で100坪の土地に建つボロボロの昔の農家が二千万円ちょっとで売りに出ていました。

主人(イギリス人)と半分本気、半分冗談で、「買おうか~?」なんて言っていたのですが、そうこうしているうちにすぐ売れてしまいました。

後で聞いたらやはり地域の外国人が買われたそうです。

ヨーロッパでも古い家を買って、コツコツと修理しながら暮らしている人達を何人も見ました。

大変でしょうけれど、私もいつかやってみたい。

お友達が羨ましいです。

でも20年っていうことは、老後の余暇のために買ったのですか??

それともとても若い方なのかな?
2005/08/23 | URL | trifle67  [ 編集 ]
クイズの解答
クイズを考えてくださって、どうもありがとうございます。旅行をしているので、解答を出すのが遅くなってしまってご免なさい。



答えは、積み重ねている石がゆがんでしまったのを補強するために打ち込んだ鉄の杭です。コブのように石が飛び出してくると、そこから崩れていく危険があるからです。写真に見えるようなもの(S字形の方が多いような気がしますが)を外側と、家の中側に付けて、壁を締め付けています。たぶん、ひと昔前までの修復の仕方ではないでしょうか。
2005/08/26 | URL | Bourgognissimo  [ 編集 ]
【Re】紅茶風味さんへ
<外壁に生じたヒビがそれ以上に広がらないようにストップさせる為の金具



→ 余りヒビが大きいと、このような杭でくい止められるのかどうか分かりませんが、ご正解を出してくださったと言って良いと思います。おめでとうございます♪ ヒビの補強には、セメントで抑えていたり、その部分の石を組み直したりしているのも見たことがあります。



石壁の修復では、石のつなぎ目に入れてある土を削ってセメントを埋め込まなければならないし、外に出ている石も磨かないと汚くなるので、新築の家の壁を塗る方が楽だと思うのですが・・・。



この友達の家も、今はやりの石が見える壁にしたいと言っていたので、それが大変な作業だろうと思いました。外壁はしっくいを落とさなければならない。家の中は、石がすべてみえる形でした。こんな作業は素人でもできるので、友達がやるはず。でも大変な表面積なので、その作業を思い浮かべたら気が遠くなりました。
2005/08/26 | URL | Bourgognissimo  [ 編集 ]
【Re】フランス大好きさんへ
<はひび隠し?よく障子に貼ってある(ふ、古い)かな、なんて思いました。



→ 障子の穴ふさぎ、日本の美ですよね。石壁の場合は、石が落っこちて穴があいたら(そういうこともある)、石を埋め込むしかないと思います。そうしないと、崩れてきてしまいますから。



原始的な作業で修復するのを見ていると、本当に「気が長い」と思ってしまいます。
2005/08/26 | URL | Bourgognissimo  [ 編集 ]
【Re】ごろごろみゃおさんへ
やはり気になってご質問されましたか。私も聞いて、フランス人から、ここに書いた答えをもらいました。



<梁と柱などを固定するもの

→ 昔の家では、フランスでも、梁と柱を固定させるには木の杭が使われています。梁を壁に固定するには、石に埋め込み、下からも支えています。これがあぶなくなると、内側から支えていますね。
2005/08/26 | URL | Bourgognissimo  [ 編集 ]
【Re】trifle67さんへ
日本の古い建物も、外国人は買いたいと思うでしょうね。ボロボロで、100坪しかなくても、2千万円もするのですか・・・。

私も修復してみたいとは思いますが、色々な人から大変な話しを聞いていると、家の修復のために自由時間をささげる勇気はないな・・・と思ってしまいます。財産があって、業者に指図するだけで良いなら楽しいと思うけれど。話しを聞くなかで、まず第一の難関は、どうしても頼まなければならない電気や水道関係の職人さんを田舎では確保しにくいという問題からスタートしています。家全体の修復を業者任せにするのなら大きな仕事になるので、すぐにやってくれるけれど、小さな作業を頼むと後回しにされてしまって工事が進まないのだそうです。



この家は、ご主人の生まれ故郷にあります。退職したら田舎に戻って住みたいのだそうです。でも、奥さんはパリの人なので都会の方が好きなようです。この夏休みも、ご主人だけが来て、一人で工事をしていました。家が完成しても、奥さんがこんな辺鄙な所に住むことを承諾するのかな?・・・ 結局は別荘で終わるのではないか?・・・、などと、よけいな心配もしています。
2005/08/26 | URL | Bourgognissimo  [ 編集 ]
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