新たに発見された化石に、古生物学者らが騒然としている。1億年前の南米パタゴニア地方に生きていたハチの巣の化石だ。ミツバチをはじめ花を訪れる「ハナバチ類」としては最古の証拠だという。論文は1月29日付けで学術誌「PLOS ONE」に発表された。(参考記事:「3億年前の痕跡、最古の飛翔昆虫の化石」)
この巣穴はブドウの房のような形をしており、幼虫が成熟するための小部屋と、それらをつなぐトンネルからなる。現生の昆虫のうち、こうした形の巣穴を作るのはコハナバチ科のハチだけだ。コハナバチ科は世界中に生息し、非常に多くの種がある。一部の現生種は、今回見つかった化石にそっくりな巣穴を地下に作る。
たまたま同じ構造の巣穴を作るまったく別の生物がいたとは考えにくいため、研究者らは、今回の化石の巣を作ったのはコハナバチ科のハチだったと確信している。新発見の巣穴は、1億〜1億500万年前に形成された岩石の中に保存されていた。
これに次いで古いハナバチの巣の化石は9400万〜9700万年前のもので、ハナバチそのものの最古の化石となると、確定しているのはおよそ7200万年前のものである。
ハナバチは、最も重要な花粉媒介者の1つだ。今回の発見は、ハナバチの進化の物語に重要な一節を書き加えるとともに、白亜紀初期にハナバチと初期の顕花植物(花を咲かせる植物)の一部がともに多様化したことを裏付けている。(参考記事:「授粉昆虫、琥珀の中の古代生物」)
「ハチが多様化した時期をさらに絞り込むことができました。巣穴の化石が残っていたことは驚異的としか言いようがありません。私たち古生物学者にとっては宝くじを当てたような幸運です」と、米ニュージャージー工科大学の進化生物学者フィル・バーデン氏は言う。なお、氏は今回の研究には参加していない。(参考記事:「白亜紀の琥珀に、受精中の花を発見」)
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