趣味を選ぶとき、ただ楽しいだけでなく、自分にとって有益かどうかを考えているだろうか? もし考慮していないのであれば、科学の力を借りてほしい。近年、数え切れないほどの研究によって、さまざまな趣味に体や心にいい効果があることが示されている。
2023年9月に医学誌「Nature Medicine」に掲載された論文では、65歳以上の趣味への関わり方と精神的な幸福をテーマにした5つの調査結果がまとめられている。調査を実施した地域は米国、日本、中国および13のヨーロッパの国々で、4〜8年にわたって9万3000人以上が追跡された。いずれの地域でも、趣味を持つ人は趣味を持たない人に比べて、うつ症状が少なく、健康度、幸福度、人生への満足度が高いという結果が出た。
「趣味の効用は、国や文化の違いを超える普遍的なものです」と論文の筆頭著者ヘイ・ワン・マク氏は語る。マク氏自身も読書とパズルが趣味だ。
さまざまな趣味があるなかで、特に健康的なものを挙げている研究もある。ここでは、あなたの余暇を有益なものにする方法をいくつか紹介しよう。
全身を動かす
運動の健康効果は1つの記事にまとめられないほど数多くある。行動を起こそうと努力すれば、その影響は計り知れないものになるだろう。(参考記事:「運動の強さは「会話ができる程度」でいい、脂肪が燃えやすく」)
最古のスポーツの一つであるランニングは、心肺機能を向上させることが知られている。そのほかにも、骨や筋肉が強くなり、体重管理に役立ち、がんのリスクを下げるなど、いくつもの利点がある。
ランニングは子どもや高齢者の認知機能を向上させるという研究結果もある。2023年5月に医学誌「Journal of Affective Disorders」に掲載された研究は、定期的なランニングにはうつ病に対して抗うつ薬に匹敵する効果があると示唆している。
水泳もあらゆる年齢層に適した全身運動だ。ランニングと同様、水泳は心血管系をより健康にし、心臓発作のリスクを減らす。また、肺活量と代謝を改善し、炎症や関節痛を和らげる効果もある。水の中にいると、脳内でセロトニンとドーパミンが分泌され、気分障害の緩和や記憶力の向上につながる可能性がある。
テニスも健康増進に最適なスポーツだ。柔軟性、バランス感覚、体幹の筋力を高めながら、肥満や糖尿病のリスクを減らしてくれる。また、ストレス、不安、抑うつのレベルも低くなる。
おすすめ関連書籍
バビロニアのごちそう・アステカの主食・華麗な宮廷料理──食の歴史をたどる65皿
あの王様や英雄、あるいは名もなき庶民が味わった美味65皿。 再現レシピと食にまつわる楽しいトリビア。
定価:3,960円(税込)
おすすめ関連書籍
知っているようで知らない「ストレス」が、一からわかる。 ストレスへの向き合い方、対処の仕方を学べる!
定価:1,540円(税込)