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【  2015年03月  】 

8話 カボチャの馬車がやってくる -3-

謎の王子先輩

2015.03.31 (Tue)

 それからのことは、もう。思い出すだけで頭がクラクラするというか。 超満員のすし詰め列車で一時間。当然のように、東京に着いた時には王子先輩の機嫌は最悪。私の傍に立っていた人を、「コイツ痴漢です」と言って駅員さんに突きだしていたし。いやあ、ただ混んでいて私に当たっちゃっただけだと思うけど? そのまま、地下鉄に乗り換えて十五分。長い階段をのぼって地上へ。 大通りを少し歩いたところにある、シャッターのし...

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8話 カボチャの馬車がやってくる -2-

謎の王子先輩

2015.03.30 (Mon)

「昨晩一時過ぎに、坪田から俺に電話があってね」 委員長は説明した。「もう寝ていたし、不快だし、時間が時間だから放置しておいたんだけど、あの人、延々と鳴らし続けてねえ」 わあ。やりそう。「こちらも無視し続けていたんだけど」 メンタル強いな、委員長。「一時間を超えたところで、さすがに鬱陶しくなって携帯を手に取り」 一時間って! すごい攻防だな!「電源を落とした」 最終的に切ったんですか! むしろもっと...

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8話 カボチャの馬車がやってくる -1-

謎の王子先輩

2015.03.30 (Mon)

 翌朝。 今日は絶対忙しいので、八時前には大学に入らなくては。実行委員長とか、真面目だから七時過ぎには出てきて仕事してる可能性もある。早く支度しなくちゃ……って。 朝イチでLINEをチェックすると、実行委員長から着信してる。「メール見てね(絵文字)」+「スタンプ」 着信時間、午前五時五十一分。 委員長。そんな時間から、何やってんの?  確認すると。「今日のシフト」 というメールが来ている。 内容は……...

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7話 長いサヨナラ -7- 

謎の王子先輩

2015.03.29 (Sun)

 何とか王子先輩を引き止め、片付けを手伝わせようとしたものの。 結局、三十分も経たないうちに逃走されてしまった。「王子先輩のバカあ! ドヘタレえ! 帰って来てくださいよお!」 窓から顔を出し、逃げ出す先輩の背中に罵声を浴びせる私。 先輩はくるりと振り返り、私に向かって実にいい笑顔で手を振った。「じゃサヨナラ、クズひま。僕がいなくても元気でね!」 そのままサッと暗闇に消える。 あのドヘタレ男があ! ...

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7話 長いサヨナラ -6- 

謎の王子先輩

2015.03.29 (Sun)

「じゃ。帰るから」 荷物を持った王子先輩は、玄関で振り返って言った。 大きめのバッグを持っていたのだけれど、それでも入りきらなかったので、うちにあった紙袋を二つ貸した。 今日、先輩がバイクで来なかったのは何かの天啓に違いない。「明日は頑張って、僕の言った通りにステップを間違えないでね」「ハイハイ」 もう何度も聞いた、そのセリフ。まったく意味不明なままだけど。 すると。王子先輩は急に私の方に手を伸ば...

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7話 長いサヨナラ -5- 

謎の王子先輩

2015.03.28 (Sat)

 およそ一時間後。家中を引っくり返して見付けだした王子先輩の私物は、想像以上の量に!「山積みなんですけど……」 冷たい目で先輩を見る私。どれだけ物を持ち込んでるんだ! あと、飲みかけのペットボトルが何本もあるのとかは、どうにかしてほしい。 そして、ロクに食べないくせになぜお菓子やおにぎりを買ってくる? 犯人を糾弾しようと後ろを向くと、いないし! どこ行ったのよ、と思っていると、私の寝室の方から怒りな...

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7話 長いサヨナラ -4- 

謎の王子先輩

2015.03.27 (Fri)

 その後。シャワーに行って帰ってきた王子先輩は、置きっぱなしにしていた自分のバスグッズや、歯ブラシやタオルなどを手に持っていた。「アラ? それ、どうなさるんですか?」「どうって。持って帰るんだよ。学祭は明日なんだから、特訓は今日でオシマイ。もう、こんなボロアパートに来ることもないからさ」 そう言って、先輩は手に持ったものや着替えを、持ってきた大きめのカバンに押し込んだ。「え?」 きょとんとする私。...

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7話 長いサヨナラ -3- 

謎の王子先輩

2015.03.26 (Thu)

「ダメだ、そんなの。一曲でいい、何が何でもダンスをしろよ」「そんなこと言われても。パートナーもいませんし」「知るか! 探せって言ったろ!」 お怒りになる王子先輩。「そうだ。どうしてもいなかったら、ホラ、高原とかさ。絶対パートナーいなくてあぶれてるから」「坊ちゃん先輩? 有り得ませんよー」 私は笑った。また、王子先輩は有り得ないことを。「だいたい、坊ちゃん先輩も実行委員ですよ」 あの面倒見の良さを発...

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7話 長いサヨナラ -2- 

謎の王子先輩

2015.03.26 (Thu)

「大体、そんなこと言うんなら。相手は確保してあるんだろうな?」 根回ししたんだな? とキレイな顔で凄みをきかせて確認してくる王子先輩。確保って。刑事ドラマで犯人つかまえてるんじゃないんだけど。「あのですね。この一ヶ月の私に、そんな時間があったと思うんですか?」 聞き返す私。「毎日毎日、ほとんど全ての日、講義が終わるとすぐに王子先輩に拉致られてダンスの特訓。そんなヒマなかったですよ!」「何だと」 唖...

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7話 長いサヨナラ -1- 

謎の王子先輩

2015.03.25 (Wed)

 深夜のアパート。その静まり返った夜気に、男女の抑えた喘ぎ声がかすかに響く。「そう……。もう少し……もう少し頑張って……」「ダメ……。あっ……イタイ……」「ガマンして。あと少し、あと少しだから」「ウッ……イタイ……イタイです……」「ちゃんと僕の言うことを聞いて? お前はいつも反抗的なんだよ……。もう少し……。ホラ、これで……」 二人とも息が荒く、声は途切れがちになる。  大変いかがわしいことをしているかのようだが、別にそ...

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プロフィール

椿

Author:椿
好きな小説を書き散らかしている女です。現在、サリエリ音楽にずっぽりハマっています。よろしかったらお付き合いくださいませ。また、拙著「最強船長と最高に愉快な仲間たち」が講談社レジェンドノベルス様より発売しております。そちらもよろしくお願いいたします。

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