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　そんなこんなで、ツボタが俺の新しいルームメイトになった。　俺が大島先輩に電話をかけて勝手に部屋変えすることを陳謝している間、ツボタは部屋の真ん中で突っ立ったまま物珍しそうにきょろきょろしていた。ちなみに先輩には、『道場の師匠から面倒を看るように頼まれている相弟子が寮に入ってきたが、帰国子女で日本に慣れていないので他の寮生に迷惑をかけたくない』という掛け値なしの真実を伝えた。　幸い先輩は『そういう...

　祝祭の夜の仮面舞踏会。オストロゴートと共にやって来たファルシレーナは途中で抜け出し、ゴンドラ乗りの仮装をしてベルフストと悪ふざけに興じます。　オストロゴートは、ファルシレーナと同じ仮装の女性を彼女と思いこみますが、実はそれはカロアンドラでした。　黙って彼と歩いていたカロアンドラですが、オストロゴートがファルシレーナへの愛を口にするのを聞いて我慢が出来なくなり、正体をさらしてしまいます。24. Finale...

　夕方四時ごろ、携帯が鳴った。山城先生からのメールで、もうすぐ寮に着くとのことだった。　あわてて部屋を出て寮の玄関に向かうと先生はもうそこにいて、おばちゃんに挨拶をしていた。先生がメールを打つのはカタツムリの歩みより遅いから、打っているうちに到着してしまったに違いない。　ツボタは先生の後ろで、ふてくされた子供みたいな顔で立っていた。「海外生活が長かったのでいろいろご迷惑をおかけすると思いますが、ど...

　祝祭の夜の仮面舞踏会。仲睦まじくオストロゴートと歩いていたファルシレーナは、一方でベルフストとも時間を過ごす約束をしていました。オストロゴートが離れた隙に、ベルフストと一緒に立ち去ってしまいます。　それを離れた場所から見ていたカロアンドラは、ファルシレーナに成り代わって戻って来たオストロゴートの手を取るのでした……。24. Finale （続き）: Mio caro Adone私の愛するアドニス、　Mio caro Adone,私の美し...

　婚約者がいたオストロゴートをなじり、自分と結婚しろと強要するファルシレーナ。カロアンドラを見捨ててきたことを後ろめたく感じながらもファルシレーナに逆らえないオストロゴート。その裏切りを知って怒るカロアンドラ。ファルシレーナを取り戻したいと思いつつ、簡単に懐柔されてしまうベルフスト。　それぞれの感情が交錯するなか、ヴェネツィアは祝祭の夜を迎えます。華やかな仮面舞踏会に舞台は移ります。24. Finare: Al...

　正月。三が日が終わると俺は実家を出て、さっさと学校の寮に帰ってきた。　母親は不満そうな顔をしていた。だけどわざわざ寮のある高校を選んで進学したのには俺なりの理由があるし、それに今年はちゃんと理由がある。親に対する言いわけとしては弱いが、実態は核ミサイル級に重いという最悪の理由が。　飯を食い終わった後、生徒がまだ少なくて閑散とした食堂でテレビを見ていると、「あ、ねえねえ、高原くん」　寮監のおばちゃ...

　ファルシレーナに連れ出されたオストロゴートは、カロアンドラに嘘をついて置き去りにしたことを気にしている様子。しかし『だったら別れる』と言われ、あわててファルシレーナの言うとおりに結婚すると言いました。しかし……。　待てよ。そいつについて行くな。そいつと行ったなら、お前は絶望しておぼれ死んだ俺を見ることになるぞ、近くの運河でな。　こっそり様子をうかがっていたこの人が出てきました。これまでは我慢してい...

　今回の番外編三部作の最終作になります。　学校に編入することになった和仁。それを迎え入れる役を山城先生から一方的に任された康介の、悪戦苦闘の記録です。かなりコメディ。　ブログオリジナル、全五回の予定です。　お付き合いいただけたら幸いです。...

　衣装代を踏み倒されたことに怒ったクリスタリーナが、カロアンドラにファルシレーナの企みを注進します。　その頃、ファルシレーナとオストロゴートは……。　お祭りに行くにしては哀れっぽい様子ね？　言ってもいいかな……。　あなたの心の中には美しい貴婦人がいるんだってことを？　ファルシレーナの言葉はとがっています。まだ怒ってる。　いや、愛ではないんだ、私が彼女に感じさせられるものは。ただ責任と敬意を欠いていると...

　その本を読んだことはあまり良い結果を生まなかった。「……トモ」　深夜二時に揺り起こされる。あー、僕、明日は学校の用事で早く起きなくちゃいけないんだけどなあ……。　でも、これも自分がしたことの結果だ。責任は取らなきゃいけない、んだろうなあ。　そう思って僕は眠い目をこすり、ベッドの上でのそのそと身を起こす。　隣りではカズが毛布の上にちょこんと座っていた。彼が戻ってきてしばらくしてから、僕たちはまた一緒の...