fc2ブログ

更新履歴

さわりを読む▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので、久しぶりのご訪問の方はこちらで未読・既読のご確認ができます

日付別の更新チェックはカレンダーの日付をクリック ▼

【  2015年12月  】 

2 見えないシルシ ~忍 ‐5‐ 

エピローグ

2015.12.31 (Thu)

 その後、花瓶を持ったお姉ちゃんが病室に入ってきた。元の場所に花を置き、にっこりと微笑みかける。「話、出来た?」 忍は黙ってうなずいた。「そう。楽しかった?」 忍はもう一度、うなずいた。「良かった」 とお姉ちゃんは言って。「まあ、今回は仕方ないわね。アンタが怪我した時は、アイツにいろいろ助けられたから。でも、これでチャラよ」 とか、ぶつぶつ呟いた。忍には、よく意味が分からない。 それから、お姉ちゃ...

PageTop▲

2 見えないシルシ ~忍 ‐4‐ 

エピローグ

2015.12.31 (Thu)

「先生」 不機嫌そうに眉間にしわを寄せている先生の、眼鏡の向こうの瞳を見る。 いつもいつも怒っていたり、不機嫌だったり、とても怖い顔をしていたりするのに。 不思議だ。諦めそうになる忍を支えてくれて、励ましてくれて、世の中には温かな物があるのだって教えてくれるのはいつだって十津見先生だ。 だから。「ありがとうございます」 忍は深く、頭を下げた。 先生はびっくりした表情になる。「何がだ」 それを説明す...

PageTop▲

2 見えないシルシ ~忍 ‐3‐ 

エピローグ

2015.12.30 (Wed)

 忍は恥ずかしくなってしまった。本当に先生の言うとおりだ。 あんなに心配してもらって、何度も忠告されたのに。「ごめんなさい」 小さな声で言った。「でも、あの時は。ああしなかったら間に合わなくて」「そうだな」 先生は不愛想にうなずいた。「君がひとりで保健室に行かなかったら、きっと間に合わなかったのだろう。その行動で雪ノ下千草は助かった。そう北堀は言っていた」 それを聞いて忍はホッとする。 だとしたら...

PageTop▲

2 見えないシルシ ~忍 ‐2‐ 

エピローグ

2015.12.30 (Wed)

 四日目に一般病棟に移る許可が出た。看護師さんたちが髪を洗ってくれて、かわいく編みこみをしてくれた。 体につながっている線は点滴二本だけになり、トイレも自分で行っていいことになった。 お礼を言って外科病棟に移った。 しばらくは個室で、落ち着いたら大部屋に移ることになっている。 それまでは警察の事情聴取も、家族以外のお見舞いも遠慮してもらうから安心して、とパパとママに言われた。 それは確かに安心だっ...

PageTop▲

2 見えないシルシ ~忍 ‐1‐ 

エピローグ

2015.12.29 (Tue)

 ゆっくりと目を覚ますと、知らない場所だった。 白い壁、白い天井、白いベッドカバー。ベッドの位置は高そうだ。枕元には機械があるらしく、定期的に電子音が聞こえてくる。「目が覚めました? ここがどこだか分かりますか?」 見えない位置にいる人から、声をかけられた。「病院、ですか?」 と尋ねる。何だかぼーっとしている。「お名前と、年は?」「雪ノ下忍、十三歳です」「どうしてここにいるか分かりますか?」 忍は...

PageTop▲

1 事件その後 ~千草

エピローグ

2015.12.29 (Tue)

 翌日には忍は意識を回復したが、四日間ほどHCUに留め置かれた。 父がラオスから駆けつけてきたのは二日目だった。HCUは家族だけ、短時間しか面会が出来ないところだが、青い顔をした忍は、話しかけると笑顔を見せしっかりと受け答えした。「バカ」 事件の後、初めて会った時に私はそんなことしか言えなくて。 妹の手を握って、ただ泣いてしまった。忍はそれを握り返して。「ごめんね、お姉ちゃん」 と優しく言った。 ...

PageTop▲

13 終わりの言葉 ~千草 -2- 

第3部 対決

2015.12.28 (Mon)

 私は。自分が朝倉真綾を疑うに至った経緯を説明し、どうしても自分でそれを確かめたいと思った、と話した。 告発するには、証拠がなかったせいもあるのだが。 唯一の証拠であるあのバッグは、私が自分の手で彼女に渡してしまっていたのだから。別の証拠が、私には必要だったのだ。 だから。 深森博士(私は、彼女と深森博士を別の人格のように語ることには、まだ今一つ納得がいかないのだけれど)が推測したように、私は彼女...

PageTop▲

13 終わりの言葉 ~千草 -1- 

第3部 対決

2015.12.28 (Mon)

 朝倉真綾が床に座り込み、忍が血だまりの中に倒れるまで。私は、何も出来なかった。 今、見たものは何? 二人は何を話していたの? どうして、忍が人形を壊しただけで、あの女はあんな風にくたくたと。 まるで魂が抜けてしまったようにぐったりとして、動かなくなってしまったのか。 私には、理解できない。 でも。「……忍」 私は妹に近寄って。倒れた忍を抱き起す。 妹は。赤い服を着ているように、体中真っ赤だった。 ...

PageTop▲

断章 妖精 -4- 

第3部 対決

2015.12.28 (Mon)

 終わる。終わる。世界が終わる。 僕たちと、彼女の間の秘密の園が。 美しく仄暗く、幸せだった秘密の刻が。 幼い子供の夢のように。 残酷で歓びに満ちた日々。 でも、今は。 俺も/わしも/あたしも/私も/ みんな去り。 僕だけがただ独り。。 砂漠のような淋しい世界に。 途方に暮れて、立っている。...

PageTop▲

12 断罪の刻 ~忍 -3- 

第3部 対決

2015.12.27 (Sun)

「マジョスターまで殺すなんて。何でよ。何で、ただの人間にそんなことが出来るのよ」「あなたたちは、自分で思っているほど強い存在じゃないのよ」 忍は静かに言った。「もういいかな? さよなら」 手を伸ばす。人形は悲鳴を上げた。「何でよ。何でいつもこうなのよ。何でいつも、私ばっかり。何で、何で、何で何で何で何で何で!」 声はそこで途絶えた。忍は人形を奪い取り、同じように破壊した。「もう、止めなさい」 そこ...

PageTop▲

前月     2015年12月       翌月

Menu

カテゴリ

プロフィール

椿

Author:椿
好きな小説を書き散らかしている女です。現在、サリエリ音楽にずっぽりハマっています。よろしかったらお付き合いくださいませ。また、拙著「最強船長と最高に愉快な仲間たち」が講談社レジェンドノベルス様より発売しております。そちらもよろしくお願いいたします。

カウンター

最新記事

月別アーカイブ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR