fc2ブログ

更新履歴

さわりを読む▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので、久しぶりのご訪問の方はこちらで未読・既読のご確認ができます

日付別の更新チェックはカレンダーの日付をクリック ▼

2016 081234567891011121314151617181920212223242526272829302016 10

【  2016年09月  】 

電源 -8-

小説のようなそうでないような

2016.09.30 (Fri)

 目覚めたのは二時間くらい後だった。今度は妹が来ていた。「あー……忙しいのにごめんね、心配させて」 声をかけた自分に妹は、「お母さんに会った?」 とたずねた。 私は苦笑する。「いやアンタ……。そりゃ、死んでたらしいけど……開口一番にそれを言うか」「だってほら。そういう時、よく言うじゃない?」「臨死体験とか?」「それそれ」 私は笑った。この妹は、もう。 そして記憶をたどった。「……会ってないよ」「会ってない...

PageTop▲

電源 -7-

小説のようなそうでないような

2016.09.29 (Thu)

 ……ゆっくりと。じんわりと。 一度落ちたパソコンが再起動を始めるように。 真っ暗な中、少しずつ意識が戻ってくる。 目を開けると、知らない景色だった。 ベッドに横たわっていた。周りにはたくさんの医療機器。シーツからは病院のにおい。 腕には点滴のラインがつながっている。「目が覚めましたか?」 白衣の人に聞かれた。ベッドが高い位置にあるのが分かった。相手の 腹あたりか、もう少し上だ。「……はい」 私は返事...

PageTop▲

電源 -6-

小説のようなそうでないような

2016.09.28 (Wed)

 救急車に乗る。 子供たちを家に置き去りに出来ないので、夫は子供を連れて後から来ることになった。 すぐに発車しないのは、病院と連絡を取っているのだろう。前日に受診した近所の病院にお願いしたいと希望を伝えてあった。 きっとそれは、そんなに長い時間ではなかったのだろう。だが担架の上で横になったままだと、とても長く感じる。永久に発車しないのではないかとさえ思えてくる。 救急車が来れば、楽になると思ってい...

PageTop▲

電源 -5-

小説のようなそうでないような

2016.09.27 (Tue)

 翌朝、目を覚ますと七時少し前だった。普段は六時前に起きるが、まだ不調が残っているようだ。 今日は仕事は緩めにやって、残業はせずに帰ろうと思った。 キッチンに立つ。長女に弁当を作らなくては。 元気が出なくて置いてあった椅子に腰を下ろし数分休む。時間もあまりない、早く作業にかからなくては。子供たちはまだ眠っているようだ。声をかけて起こさなくては。 気合いを入れて立ち上がろうとして、 その場に崩れ落ち...

PageTop▲

電源 -4-

小説のようなそうでないような

2016.09.26 (Mon)

 一時間ほどの演奏を聴き終えた後も、動悸はおさまっていなかった。 夫に具合が悪いと訴え、帰りはゆっくり歩いて帰るからと子供たちを頼んだ。 五歳と三歳の子供たちがずっと先を歩いていく後ろを、亀のような歩みでのろのろと歩いた。 家に帰っても動悸はおさまらず、胸の重苦しさも完全に去ったわけではなかった。その日は安静にして、夕食も出前を取った。 翌日もあまり変わらない状況だった。週明けの月曜日は職場に電話...

PageTop▲

電源 -3-

小説のようなそうでないような

2016.09.25 (Sun)

 説明書を一応読んでみた。 副作用には不正出血、乳房の腫れ・痛み、頭痛、吐き気……。 0.1パーセント未満で血栓症。まあ重篤な副作用はないと思う。今まで薬の副作用があったことはないし、くじ運は悪い方だ。この0.1パーセントとかに当たるなら宝くじも当たると思う。 まあ、何かあったら少しのことでも次の受診日に聞いてみよう、と思った。 忙しさはあまり変わらないまま、日々は過ぎていく。気のせいかもしれないが、その...

PageTop▲

電源 -2-

小説のようなそうでないような

2016.09.24 (Sat)

 長くはもたないと思っていた。 長男を産んでからいっそう忙しくなった。不況で人減らしが進み、課内の人数ははじめて配属されたときの四分の三になっている。なのに全体の仕事量は増え続けている。 家では料理と洗濯、学校や保育園関係の提出物をさばくので精一杯になった。掃除をする暇がない。 夫に頼んでみたが、難しいとの返事だった。 日を重ねるごとに、家の中が散らかって足の踏み場もなくなっていく。 体を何度か壊...

PageTop▲

電源 -1-

小説のようなそうでないような

2016.09.23 (Fri)

 長くはもたないと思っていた。 夫婦二人で仕事を続けるつもりで結婚した。お互いの勤務地が離れていたので、新居はどちらの職場からも電車を使って一時間と少し。それぞれの実家からも車で一時間以上。 夫も自分も、それぞれの親にうるさく嘴を入れられたくないと思っていたから、『仕事の都合』はいい言い訳だった。 それでも結婚してしばらくは、月一回はそれぞれの両親が顔を見せろと言ってきて、出かけてばかりいる羽目に...

PageTop▲

電源・ご案内

小説のようなそうでないような

2016.09.22 (Thu)

 小説なんだか物語なんだか、それとも単なる回想なんだか。よく分からないシリーズ(?)第2弾です。 何と言うかこれは、電源が落ちた時の話。ただそれだけ。 7回~10回を予定しております。途中、仕事のため休止を入れるかもしれません。 よろしかったらお付き合いください。...

PageTop▲

このキャラなら何と言う? 『夢の向こう~』よりアイマグとリャン

企画と遊び

2016.09.21 (Wed)

 さて、この企画もいいかげん終わりにいたしましょう。 最後は存在を忘れかけていたアイマグ(笑) と、初めから取り上げるつもりだったリャンで。 アイマグはシュラハの親族で元婚約者で魔術の師匠、リャンは本編終了後のチュウリィとシュラハの家主です。 ……番外編にしか出てこないリャンに対し、アイマグは本編でも結構大事な役どころなのにこの仕打ち(^-^; いや、何かメインどころとしてパッと頭に思い浮かばなくて。(...

PageTop▲

前月     2016年09月       翌月

Menu

カテゴリ

プロフィール

椿

Author:椿
好きな小説を書き散らかしている女です。現在、サリエリ音楽にずっぽりハマっています。よろしかったらお付き合いくださいませ。また、拙著「最強船長と最高に愉快な仲間たち」が講談社レジェンドノベルス様より発売しております。そちらもよろしくお願いいたします。

カウンター

最新記事

月別アーカイブ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR