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【  2014年10月  】 

魔術師 チュウリィ・11 戦士の装束 -1-

夢の向こうの私とあなた・本編

2014.10.31 (Fri)

 風に舞う火の粉の下。 僕は合格を確信していた。 一夜明けた朝。僕は宿屋の寝台の中でその時の気持ちを思い返す。 昨日、二次試験会場で僕とシュラハが共同で行った術はとてもうまくいき。そこにいた人間は誰もが見惚れ、目を奪われていた。 最後に僕の鳳凰が大きく羽ばたいて飛び去った時には、女官どもに囲まれた肥った男が立ちあがって「もう一度! もう一度!」と叫んだほどだからな。 僕は悠然としてシュラハを振り返...

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女子高生 玄倉新・11 花火の夢 -3-

夢の向こうの私とあなた・本編

2014.10.30 (Thu)

 あ、師匠は補助者としてシュラハの術を手伝ってくれたの。一人だけ、術の補助をする人を使ってもいい、って規定があったので。何があるか分からないから、シュラハは師匠に一緒に来てもらった。 もちろん、代わりに師匠が出題を解いてしまったら困るから、係の魔術師の人に術をかけられて、自分では体もロクに動かせないような状態にさせられてしまうのだけれど。 今思うと、師匠はよくそんな役を引き受けてくれたなあ。弟子の...

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女子高生 玄倉新・11 花火の夢 -2-

夢の向こうの私とあなた・本編

2014.10.30 (Thu)

 私は絵は上手っていうほどではないけれど、下手でもない。シュラハが作った花火は、伝統的なものだからパターンというものがあって、それを再現するだけだから、説明する絵を描くのに彼女もそんなに苦労はしていなかった。 それでも、花火は移り変わるから、五、六枚は絵を描いたと思う。 私もそれを思い出しながら、一枚一枚絵を仕上げていって。 初めは、炎の草原。一面に炎を燃やし、草原を表わす。 でも、その炎には仕掛...

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女子高生 玄倉新・11 花火の夢 -1-

夢の向こうの私とあなた・本編

2014.10.29 (Wed)

 白白、赤赤、赤、白、白、青。 私は、持ってきたスケッチブックに絵を描いていく。 今朝見た夢の絵。いつもの、シュラハとチュウリィの夢。 今日も、夢の中では二人はいつも通り仲良く。 現実では、病院に来てみれば桐野くんは背中を向けたきりで話もしてくれなかったけど。 でもまあ、面会禁止(桐野くん発令)が解除されただけでもマシだし。 シュラハはいいよね、今日もチュウリィに抱きついたりしてたし。 何でそうい...

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魔術師 チュウリィ・10 協力 -2-

夢の向こうの私とあなた・本編

2014.10.28 (Tue)

「ここでお前さんを失格にしとくのも一興だが。まあ、お前みたいなヤツはどうせ受からないだろうから、特別に見逃してやるよ。兄弟の誼で教えておいてやるが、同じような出来の回答なら、早く準備が出来たヤツの方がいい評価が受けられるぜ。じゃあ、ガンバレ九弟殿」 そう言って、ヤツは後ろ手に手を振りとっととどこかへ消えてしまった。 僕は歯噛みする。 悔しいが、アイツの言うとおりだ。今回の出題がバカバカしいのは確か...

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魔術師 チュウリィ・10 協力 -1-

夢の向こうの私とあなた・本編

2014.10.27 (Mon)

 受験者たちがそれぞれ散らばり出す。用意の出来た受験者から、主催側に申し出て術を披露しろとのことなので、それぞれ準備に向かっているのだ。 僕はその人波の中、チーリンをつかまえて声をかけた。「なんだ? まさか、もう用意が出来たのか? そりゃあすごい。じゃあ、早速披露してもらおうか」 片眉を上げて言うチーリン。ああ、コイツのこの性格、ホント苛々する。「そんなわけないだろ、バカ」 僕は言った。「何なんだ...

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女子高生 玄倉新・10 不安 -2-

夢の向こうの私とあなた・本編

2014.10.26 (Sun)

「桐野くんは、私のこと抱きたいの?」 言った。言ってしまった。 顔がどうしようもなく赤くなる。ものすごく大胆なことを言ってしまった。「桐野くんがそうしたいなら、私」 うわ。何を言っている、私。 桐野くんの表情が変わった。 見下した、嗤うような歪んだ表情から。純粋な怒りの表情に。「何ソレ。何言ってるの玄倉」 怒りを押さえつけているような低い声。「そんなこと、僕が思うわけないだろ。こっちはケガで入院し...

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女子高生 玄倉新・10 不安 -1-

夢の向こうの私とあなた・本編

2014.10.26 (Sun)

  面会時間終了間際。 私は、病院の廊下をそっと盗み見る。腕の中には、桐野くんのパジャマ。一度、寮に帰ってアイロンをかけてきた。 これを手渡して。ひとこと、あやまりたい。 そうだ、ガンバレ私。まずは、あやまることから始めないと。 私は桐野くんに面会拒否されていて、看護師さんたちもそれを承知しているから。人目につかないように行動しなくてはいけない。 制服から私服に着替えてきたから、少しは目立たないか...

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魔術師 チュウリィ・9 二次試験 -3-

夢の向こうの私とあなた・本編

2014.10.25 (Sat)

 振り返ると、チーリンが相変わらずのつまらなそうな顔で、警笛を持って立っている。「えー、受験者の皆さんは、こちらにお集まりいただくよう。長官より、今日の試験課題の発表があります」 もう始まるのか。 僕の記憶では、シュラハが最後の受験者で、受験番号が七百三十一番。一次試験の時には、それだけの人数がいたのだ。 けれど、今この荒れ地に集まっている人間は五十人余り。あの一次試験で、大半の人間が振り落とされ...

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魔術師 チュウリィ・9 二次試験 -2-

夢の向こうの私とあなた・本編

2014.10.25 (Sat)

 けれど、気になる。シュラハがわざわざ補助者を連れて来るなんて、コイツはいったいシュラハの何なんだ。 だけど、この会場でそんなことを聞くわけにもいかないし。 その男は、僕のことが見えているのか見えていないのか、無表情に立っているだけだ。 シュラハの兄か何かかもしれない。そんなことは一言も聞いたことがないけれど。 イヤ、そんなこともこんなことも、僕は何も彼女から聞きだせないでいるんだ。 彼女は本当に...

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椿

Author:椿
好きな小説を書き散らかしている女です。現在、サリエリ音楽にずっぽりハマっています。よろしかったらお付き合いくださいませ。また、拙著「最強船長と最高に愉快な仲間たち」が講談社レジェンドノベルス様より発売しております。そちらもよろしくお願いいたします。

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