2021/03/28
最終回24話「涙の別れさやか先生」再レビュー 後編 脚本 溝田佳奈氏、監督 江崎実生氏
査問委員会の会場を出るさやか、学園長、鳩山、生徒たちの前に立ちふさがる克代、山形、国枝、そして手下たち。一瞬睨み合った後、突然襲い掛かってくる手下たち。
善戦する鳩山やひみこたちを助けながら戦う友竹、雄二とのコンビプレイで蹴りを入れる一郎。
今回、手下より生徒の方が多いので、一方的にやられている感じではありません。
ただ、丸腰ゆえ次第に追い詰められていく鳩山や生徒たち。飛んでくるヌンチャクと共にワルキューレさやかが登場です。「黒い天使」と呟く鳩山、さやかを見つめる学園長。
次々に手下を倒していくさやか、少し戸惑った様な視線で見つめる学園長。1話や22話でもワルキューレさやかの活躍は見てた筈なんですが・・。
手下が倒れ込んできた際に、鉄パイプを思わず受け取ってしまう山形。
「やるのよ。学園長になりたくないの。」と克代から促され、そのまま掛け声をあげながら鉄パイプを持ち、学園長に突っ込む山形。ここで暴れた所で、山形に学園長の目は無いと思うのですが、やはりかなり自棄になっていたのだと理解しておきます。学園長を守り、あっさりと山形の鉄パイプを弾き飛ばすさやか。
更に山形に向かっていこうとするさやかの腕を押さえ、「行けません。暴力からは何も生まれては来ませんよ。」と諭す学園長。
その言葉に学園長を見つめる山形。目を潤ませながら構えていたヌンチャクをおろすさやか。
「許して下さい。」と土下座する山形、国枝も「すいませんでした」と同じく土下座する。
「いつか分かってくださる日がくると思っていました。」と返す学園長に「それでは、我々の悪事を何もかも承知で」という山形に頷く学園長。許しを請い再び土下座する山形と国枝。
二人を見つめるさやか、鳩山。そして山形達の肩に手を置き、「これからもこの学園の為に宜しくお願いしますね。」と声を掛ける学園長に思わず泣き出しながら「はい」としか言えない二人。学園長は人格者すぎます。もしかすると若い時の理想に燃えた山形がダークサイドに堕ちたきっかけとかを知っていたのかもという妄想まで湧いてきます。
そのまま去ろうとする克代を囲む生徒たち。「よくも学園長のせいにしてくれたね。全部あんたの逆恨みじゃないか。」、「そうだよ。謝れ」と謝罪を求めての大合唱になる生徒たちに、「許してやってください。克代がこうなったのも私にも責任がある。」と生徒たちに土下座する平。
「お父さん・・」と平を見つめる克代。平「克代。皆さんに謝りなさい。克代。」と最後は語気を強めていうも、そのままその場を去る克代。ここまでねじれてしまった克代にとって改心することは自分の人生を否定する様で難しいのだと思います。
その場を立ち去ろうとするさやかに「待ってくれ。」と足止めし「君はもしかして・」と聞く鳩山。そのまま去ろうとするさやかに、更に「俺は君を・・」と声を掛ける。
その言葉に振り向き、目を潤ませ去っていくさやか、さやかの後姿をじっと見つめる鳩山。
その夜、自室でワルキューレの衣装一式とヌンチャクを見て、何かを決意するさやか。俯瞰ショットが印象的に使われてます。
職員室で教師たちを前に「今回の事件では、本当に皆さんにご迷惑をかけてしまいました。生徒たちに心配をかけ、平さんにも哀しく辛い思いをさせて・・」と説明する学園長。
強く首を振る平、頭を垂れている山形、国枝。職員室の前でしっかり聞き耳を立てているミカ。
「それもこれも皆、私の不徳の至り。この責任を取らせて頂きます。私はこの学園長の職をおろさせて頂きます。」と語る学園長を見つめるさやか。
鳩山「何をおっしゃるんですか?学園長」、「そうですとも。学園長あっての鴻南学園じゃありませんか。」とすっかり改心した山形に、共に頷く国枝。ひみこ「学園長のいらっしゃらない学園で働く気はございません。」森永「辞めないでください。」、相変わらず顔芸の激しい松平。
学園長「みなさん・・」、「学園長がお辞めになるときは、さやか先生が後任になられるときでしょ。学園長。」という山形。
「いいえ、学園長先生にはいつまでも鴻南学園の生徒たちの母でいて頂きたいと思います。でなければ、私、安心して高松に帰れませんもの。」と返すさやか。
その言葉を受け「春休みに帰るくらいで大げさすぎますよ」という国枝に「いいえ。私、お別れするつもりなんです。この学園と。」と返し、騒然とする教師達、さやかを見つめる鳩山。
やり取りを聞いていたミカ、驚いて後ずさり、教室へと走っていく。
「それはどういうことですか?さやかさん。」と問う学園長に、「私、高松に戻って、もう一度自分の生き方を見つめ直してみたいんです。これでよかったのかどうか。そこから新しい自分が生まれてくるような気がするんです。勝手なこと言ってすいません。私のわがまま許してください。」とさやかが返しているタイミングで駆け込んでくる生徒たち。
ミカ「やだよ。そんなの」、京子「そんなの、やだよ」、良太「そうだよ。勝手すぎるよ。」、優子「私たちのせいなの?先生。」、友竹「だったら、謝る。俺もう二度とケンカしねえから。誓うよ。」、力子「私もツッパリやめる。真面目になるから」と口々にさやかを引き留める。
生徒たちの想いを受け、それまで気丈に振舞っていたさやかも、「みんな」と思わず涙ぐむ。友竹が「おい、みんなも謝れよ。」というと、口々にさやかに謝罪する。
さやか「違うの。謝らなければいけないのは私の方なの。」、洋子「どうして?」、さやか「私、みんなを教えていく資格が無いの。」孝介「なんで?先生の資格なら」、みゆき「ちゃんとあるじゃない。」、洋子「どうして?」と口々に問う。
「先生の資格の事じゃないの。真っ先にあなたたちに教えなければならないことを、人間として一番大切な戒めを私は破ってきたの。」と説明するさやかに、まだ納得できない生徒達に「それはね。どんなことがあっても、人を傷つけちゃいけないってこと。言葉でも態度でももちろん力でもね。」と重ねる。そんなさやかを頼もし気に見つめる学園長。
「先生は誰かを傷つけてきたの?」とみゆきに問われ、さやか「多くの人たちをね。だから故郷の山に帰って、もう一度一から勉強し直したいの。」
雄二「もう帰ってこないの?」、「ううん。勉強が終わったら帰ってくる。みんなの前に胸を張って出られるようになったら、必ず帰ってくる。白い天使になってね。」最後の一言を口にした瞬間、鳩山に目線を送るさやか。さやかを見つめ返す鳩山。
「本当ですね?信じてもいいんですね。」という一郎に、「約束する。」と返すさやか。
一郎「だったらみんな、パーッと派手に先生を送り出そうぜ!俺たちから先生への卒業祝いだよ!」、「おー」と拳を上げる生徒たち。
さやか「ありがとう。みんなどうもありがとう」といいながらも涙がとまらない。涙をこらえながら「ありがとう」ともう一度いうさやか。
仮装パーティーの会場には「祝10人目」のくす玉や理科室のガイコツも飾ってあり、スタッフさんの愛を感じます。皆が踊っている中、ジェイソンスタイルの男が入ってくる。
孝介「何だ鳩山先生か」と言われ、「悪かったな。一体誰を待ってたんだ。」と返す鳩山。貴婦人スタイルの洋子が「さやか先生」と答えると、「私を待ってるのは誰でしょうかーって。」と松平が笑っていると、突然音楽が止まる。
騒いでいる生徒たちの前に突然スポットライトが当たり、クラッカーを鳴らすと、そこに仮面をつけたワルキューレさやかが現れ一瞬静かになる面々。仮面を取り、ポニーテールを外す。それを見て「さやか先生」と呟くミカ達。髪型が変われば気づかれてたみたいですが、公式設定もそれで良いのでしょうか?そして仮面をかぶったままじっと見つめる鳩山。
さやか「これがもう一人の私。みんなに隠してた私の正体。ごめんなさい。」最後にどうしてもみんなに謝りたかったの。」
ミカ「今まで私たち守ってくれてたの、さやか先生だったんだ。御礼いうのはこっちの方だよね。ありがとう先生」と、口々に「ありがとう」と生徒たち。そしてミカの「踊ろう」という言葉とともに、みなの踊りが再開される。すごくあっさりしてます。そしてSHOW-YAの「2000マイルの恋」をバックに踊る面々。喧騒の中、二人の間だけが時が止まったようになっており、じっと見つめあう鳩山とさやか。
音楽が終わったところで、入ってくるシスター姿の野々山学園長「たった今、瀬下克代さんから多額の寄付が届きました。」、喜ぶ一同。平も皆に頭を下げる。
「この学園はもう大丈夫です。もう一つ皆さんにお知らせがあります。山形先生と国枝先生の推薦によって、鴻南学園の園長に雨宮ひみこ先生。教頭に森永先生にお願いします。」と説明し「みんなあなたの帰りを待っていますからね。」と語り掛ける学園長に頷くさやか。
生徒達がさやかを送り出す様に、「いい日旅立ち」を歌い始める。しばらく学園長、鳩山と見つめあいながら会場を出ていくさやか。
さやかを追って会場を出る鳩山。廊下に元の姿に戻ったさやかがいる。ワルキューレさやかの衣装を鳩山に差し出しながら「もう二度とこの姿にはなりません。」と誓うさやか。
一式を受け取りながら、「やっぱり君だったんだな。」と問う鳩山に、「ごめんなさい。今まで黙ってて」と詫びるさやか。
鳩山「俺が恋をしてた黒い天使、それが君だと分かった時が別れなのか・・」、さやか「私も別れたくない。でも、あなたにふさわしいさやかに生まれ変わるまで」
鳩山「俺は君を愛してる。」、さやか「私もあなたを愛しています。」、鳩山「待ってるよ。」、その鳩山を見つめ返すさやか。
そこにいい日旅立ちの2番の歌詞を歌いながら、廊下に出て、二人を囲む様にして歌う面々。邪魔をしに来ている様にも見えますが、ここは生徒達との別れでもある訳で、必要なシーンと思います。そのままなごりを惜しむ様に後ずさりをするさやか。
さやか「きっと戻ってきます。いつか。きっとこの学園に」と心で呟き、歩き出すさやか。
小倉さんのナレーション「その日が一日も早く来ることを願って、待っていますよ。さやか先生。」ここでおわりの文字が出ます。
最後は非常に駆け足で終わってしまっているのが残念ですが、鴻南学園から去ったさやかが戻ってきたのか、鳩山との恋の行方はどうなっていくのか、色々想像したくなるラストという事で、理解しておきたいと思います。
一方で22話までワルキューレさやかの活躍を全く咎めなかった学園長が、突然非暴力に目覚めたのはワルキューレさやかを利用するだけ利用したようにも思え、その点は何度見直しても納得感が薄いです。百合子さんと一条寺家との関係はどのように設定されていたのか、メインライターの溝田佳奈さんにお聞きできる機会があれば嬉しいです。
半年の放映期間のドラマに3年半blogを続けてても、まだ語れるというのは自分でもなかなかの状況ではあると思いますが、まだまだ語れそうなので、現時点ではここまでにさせて頂きます。
それではこの辺りでドラマ縛りとしては、今クール最後のM君の謎かけで締めさせて頂きます。
さやかのさよならパーティーと掛けて
悲しみにくれる告別式の後と解く
その心は
カソウしました
自分の周りでも最近でも近親者を亡くした人もいらっしゃるので、少し難しい作品な気がしますが、あくまでも謎かけという事でご容赦ください。
それでは半年間の再レビューにお付き合い頂きましてありがとうございました。とりあえずは、放送日程に合わせて無事に完走できて良かったです。来週は完走に因みマラソンについて、M君に23話を題材に特別編として代筆してもらう予定ですので、よろしくお願いいたします。
引き続き、奥田圭子さんや、「こんな学園みたことない!」につき、できる限り続けていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。