2021/01/31
16話 「㊙カンニング作戦教えます」 再レビュー 脚本 溝田佳奈氏、監督 江崎実生氏
「来年の新入学生応募がゼロになるかもしれない鴻南学園、全校生徒の平均偏差値によっては学校閉鎖に追い込まれるかもしれない瀬戸際、今日はその予習テスト」という事で、状況が説明される中、テスト監督をしながら、おじいさまに「可愛い生徒たちに囲まれて」と手紙を書いているさやか。
そこに紙飛行機が飛んできて、驚くさやか。顔を上げると、皆が答案用紙を飛行機にして飛ばしており、そこに入ってきたひみこ先生に怒られ、頭を下げるさやかでオープニングです。
CM明け 自分の音楽のテストをボイコットされたと苦情を言うひみこ、更に今回の模試の結果次第では学校の存続にかかわるとまくし立て、更に音楽の授業をもっと増やすこと検討してほしいといわれ、それはあんまりというさやかに、教頭も同感と珍しく意見の合う二人。
代替案として、国枝から2年A組だけもう一回テストを行うというのはどうでしょう?と提案され、断ろうとするさやかに、「向上心が無ければ成績なんか上がりっこない。貴重な資源の無駄遣い。こうなるのがオチ」と紙飛行機を作って飛ばす教頭。
紙飛行機を受け取り、それじゃ2年A組は見捨てられたも同然と憤るさやかに、他の教科も似たり寄ったりで救いようが無いと教頭から畳みかけられる。
鳩山が小声で挑発に乗らないよう落ち着かせようとするも、音楽だけでなく全教科の再テストを行ってくださいと返し、あまつさえ2年A組がクズの集まりでは無いという事を自分が責任を持って証明すると大見得を切ってしまう。
ナレーションの小倉さんからも「大丈夫?」と心配されてしまいますが、確かに少し無謀です。
こう言ってしまった以上、もう後には引けないと、生徒からしたら「知らんがな」とでも言いたくなる説明するさやか。
あげくに再テストの成績が悪かった場合、春休みを補修時授業に充てなければならない、更にこの模試の結果如何で、新入生が入ってこず、そうするとこの学校はつぶれてしまうという説明をするさやかですが、今一、説明の因果関係が分かりづらいです。
みんなやる気になればできるので、2年A組の本当の実力を見せるよう、鼓舞するさやかですが、「やる気だけでできれば苦労はしません」と返すミカ。
雄二から「肝心の頭がパープリンなんじゃないでしょうか?」と言われ、「あんたはピーマンでしょ」とここは前回レビューでも書きましたが、完全に死語選手権です。
先生期待しているからとクラスでは語り掛けた後、廊下で「とはいってみたものの、私、心配で」と鳩山に語るさやか。
「あれだけの啖呵を切ったんだから、結果が悪ければ当然、君の責任になる」と鳩山に返されるが、「あの子たちはちゃんとやります。心配なのは当日の監督官にとばっちりがありそうで。あいにく松平先生しか暇な方がいらっしゃらなくて」というさやかに松平の顔芸を浮かべ、不安になるのも無理ないわなという鳩山に、「でしょ」とさやか。
松平、下の名前は実朝だそうです。どこかの3代将軍みたいな名前です。
青葉コンサルタントの事務所で、再テストをスキャンダルに仕組みたいという相談を受ける青葉。それを聞いていた日吉は「全員、白紙答案にして、落第させて学校を潰す」というアイデアを出すも「学校を潰してどうするんだ!」と日吉を怒鳴り、電話口の教頭も思わず受話器から耳を離す。そもそも中学生なので、落第は無いと思います。
「学園長を追い出す、学園を奪い取る!これだよ」という青葉に、「私が学園長になる。これですね」と返す教頭に、「学園長になる前に・・」と言いながら、「全員にカンニングをやらせ、テストのクライマックスに全カンニングをばらす。そこで学園長の責任追及」と思いつく。
教頭は「全カンニング、全バラシ、了解」と電話を切り、「全ストよりいいじゃない」と呟く。このセリフから、時系列が前回、今回で繋がっている事確認できます。
トイレを出た所で、浩司を更衣室に呼び込む教頭。何の用?と冷たく返す浩司におじとおいの間柄で、何の用はないだろうと語り掛ける。
短いセリフにちゃんと設定のリマインドがあるのが素晴らしいです。浩司君と猫撫で声で再テストと聞いて、大騒ぎになってるんだろうねと語り掛ける教頭に警戒を強める浩司。更に「パソコンが欲しいとお母さんから聞いてる。おじさんがプレゼントしてやろうじゃないか」と言われ、「みんな裏切るのはもう嫌だ」と察しのいい浩司。
手段を変え、「自分の胸三寸で来年の受験が決まる。中学浪人になったら、お母さん泣き叫んで自殺してしまうかも」と自分の妹(姉)の命を持ち出して、酷い脅しをする教頭。
「自殺」と聞き、少し焦る浩司に、「みんなにカンニングを薦めろ」と指示する教頭。こういう畳みかけは流石です。
2年A組の教室、友竹を囲み、相談する面々の中、「ここはカンニングしかないです」と提案する浩司。バレたら補修確実と懸念を示す孝介に、クラス団結してやればと浩司。
派閥抜きで?と言う力子に、「どこかの国の政治家もいざとなればみんな仲良し」と当時はどんな情勢だったのか考えさせる言葉に対し、「世渡り上手でなければ生きてはいけないか」と友竹、それに対し、「理想が無ければ生きてる資格が無い」と角川映画のコピーの様な事を言い、拒否する洋子達。
「残りはみんな協力体制、みんなで合格点を取り、教頭の狸オヤジに一泡吹かそうという友竹、更にミカの家と孝介の家に分かれて対策会議をという指示をした後、裏切りは許さない。チクった奴は容赦なく制裁を加える」と付け加える友竹。完全にリーダーとなってます。
炉ばた亭、ドアの開く音に「まだ準備中」と告げるみゆき、浩司を見て「浩司君、もしかしてミカちゃんの」と気づき、ミカに来訪を告げる。みゆきちゃんは残念ながら、今回が最後です。
なかなかいい作戦思いつかないといいながら、みゆきが計算に使っている電卓を見て、「これで明日の数学バッチリ」というミカに「イヤホーン作戦というのもあるけど」と告げる浩司。
「イヤ?、なにそれ?」と、いくら何でも昭和末期の女子もイヤホンは分かると思いますが、どこぞのおばあちゃんの様なリアクションのミカ、浩司に皆に説明する様、求める。
孝介の部屋で打ち合わせしている男子たち、担当が松平から相当無茶やってもいけるという友竹に、広太郎が天井にカンニングペーパーを貼っておくという案を提案して、全員が天井見てたらいくら松平でもバレると却下される。
ほかに俊介が鏡を使ったらという案を出したりもする中、孝介が強力な通信回答グループがバックについているという「液晶テレビ作戦」を提案して、乗り気になる一同だが、友竹は浩司に「最近暗い。このカンニング大作戦は前向きに明るく取り組んで欲しい」と熱意が先走る中小企業の社長の様なコメントをする友竹。
因みにこの「通信回答グループ」という言葉、令和の世に至るまで聞いたことないですし、脚本にもないんですが、どんな存在なのでしょう?
経堂のさやかの部屋の前に浩司が訪ねてきているのをみつけ、部屋に上がる様に進めるさやか。
明日のテスト中止してください!と言う浩司に対し、理由を聞くさやかに、大変なことになるからと去っていく。浩司が鳩山より先にさやかの部屋に入ることなかったことは良かったです。
炉ばた亭で鳩山に浩司の事を相談するさやかに、浩司が誰かに操られていると思うが、浩司を使ってまで君を追い詰めようとは性質が悪すぎると話す鳩山に、浩司が思い詰めていて心配と返すさやか。それに対し、浩司や松平先生や学園長の心配ばかりせず、自分の心配したらと鳩山。
何か起こりそうな気がするというさやかに、起こってから考える、ただし浩司は要注意というアドバイスし、頷くさやか。鳩山のスタンスは一貫してます。
太助に呼ばれて顔を出すミカだが、さやか達の顔を見てそそくさと部屋に戻り戸惑う二人。何かをずっと探す太助に何を探してるのと聞くと、電卓の電池が切れそうと太助。フラグですね。
翌日、学校で国枝と教頭に「ここまでくると、幾ら泣いて頼まれても中止という訳には行きませんよ」と脅されるが、「泣くのは教頭先生の方。生徒たちの実力にうれし泣きなさいますわよ」と強気なコメントを返し、出ていこうとするところに松平先生が死にそうと駆け込んでくるひみこ先生。ここでCMです。
CM明け 激しい顔芸でロッカーのの下から助け出されている松平先生を横目に、泣きながらロッカーに仕込んだテグスを回収する浩司の行動を目撃し、戸惑う健一。
職員室に戻り、松平先生が足を骨折でテストの監督が無理という事で、さやかが担当する様、教頭から指示され、2年C組の授業があると一度は断るも、2年A組がクズでない事を責任を持って証明すると断言したのだから、試験はやってもらうという教頭。そのやりとりを聞き、落胆する浩司の姿を再び確認する健一。
浩司に案内させ、段取り良くトイレで配線をセットする日吉達。
「中止できない」と哀願する浩司にここまで来て何言ってると冷たく返し、カンニングのクライマックスに教頭がやってきてすべてを暴くという段取りを説明する日吉。ここでも健一が聞いてます。初めて大活躍な気がします。
トイレの中で、ビデオカメラや、模試の解答集を準備する青葉の手下たちですが、非常に段取りいいので、もう少し正業に就いた方がいいのではと考えてしまいます。
2年A組の教室 監督官がさやかになった事で、カンニングが難しくなったのではとざわつく面々。浩司と健一が入ってきた所で、テスト用紙を配り始めるさやか。
数学のテスト 電卓を使おうとするも電池切れで対応できないミカ。友竹は問題を手首に付けたマイクで問題を読みあげると、内容に基づき、参考書を見ながら、解答をビデオカメラで映し、発信された内容を手元の液晶テレビで見ながら解答する友竹。
一郎はイヤホンで無線で発信された答えを聞いている。
改めて見てこの設備有れば、何とかテレワークできそうなので、33年前では超ハイテクです。さやかは状況に気づくも、このカンニングよりまだ何か起こると一旦静観する。
健一が浩司のやりとりについてクラス内に手紙を回し始める。その手紙を見た友竹、液晶テレビも回していく。ミカも手紙を見て電卓を手放す。窓側に座っている力子が回ってきた液晶テレビを窓から外に捨てる。当時、このシーンはなんてもったいないことをと思った記憶ありますね。
この光景に「何かが始まったぞ」と注視するさやか。一方、通信が途切れて焦る日吉達。
教室では友竹が、答案できたと言い、浩司を連れて出ていき、健一や孝介たちも次々と出ていく。「みんな。どうしたの?」と聞きながら、これだなと判断するさやか。
学園長室で、私の留守中に許可もなく再テストとはどういうことですか?と教頭に質問する学園長。一条寺先生がどうしてもと押し切られたという説明をする教頭に、「何を考えてるのかしら?あの子」と思わず表現が先走ってます。
時計を見てそろそろのタイミングと見回りに向かう教頭だが、廊下で友竹達が浩司を連れていくのを見つけ、焦り、慌てて自分のクビも危ないと青葉コンサルタントに電話する。
最初は冷たく突き放そうとするも、教頭から青葉コンサルタントの事もバレると開き直って助っ人をよこすように脅され、「どうして、どうして、どうして」と動転する青葉。
一時間目のテストが終り、次は英語のテストなので、遅れないように教室に戻るように言って、部屋を出ていくさやか、生徒たちを探して校舎の中を走り回る。
そのころ、友竹が屋上で浩司をボコボコにしており、その様子を物陰から見る教頭。そこに走りこんでくるさやか、友竹達を止めに掛かり、説明を求める。
先生には関係ないという友竹に、「二人とも私のクラスの大事な生徒、関係ないとは何よ。今日は大事なテストの日、このままではまた皆にクズのレッテルが貼られる」と返すさやか。
友竹は「どうせ俺たちはクズ」と降りていこうとするが、さやかは「いつもそうやって逃げてばかりいたんじゃいつまでたっても認めてもらえない。一度でいいからまともにぶつかってみなさい」と説得をするも、尚も去っていこうとする友竹に、「意気地なし。あなたそれでも2年A組のボスなの!」と畳みかけるさやか。
友竹はさやかの襟首をつかむが、じっと見据えるさやかを殴ることができず、「何も分かっちゃいないくせに」と友竹に言われ、「何の事?」と返すさやか。
そこに割り込んでくる青葉コンサルタントの面々、浩司を連れて行こうとするも、友竹が浩司を庇って逃がし、その間にさやかが屋上から浩司を連れ出し、それを見届けた教頭も屋上を去る。
階段で浩司の怪我の手当てをするさやかに、「友竹が怒るの当たり前なんです。」と話し出す浩司。カンニングの事?と聞かれ、さやかが知ってた事に驚く浩司。
更に「カンニングの最中にバラして学園長の責任を追及することも?と聞かれ、「だいたいね」と答えるさやか。ここ、ほぼ分かってなかった気がするんですけど・・。ともかくも、後の事は先生に任せて、浩司をテストに早く戻るように指示するさやか。その間に丸腰の友竹達は、青葉の手下たちにボコボコにされてしまう。
さやかが戦う間に逃げ出す生徒達。ワルキューレさやか目撃したのは初めてですが、特にコメント無い生徒達です。あれだけボコられてもすぐ試験参加できるのはやはり若さですね。(違)
今回はテストに戻らないといけない為、早々に敵を倒します。敢えて必殺風に言うと「私は忙しいの!はやいとこ成仏してね!」という感じで、変身パンクと共に去っていくさやか。
急いで教室に戻ると、学園長がさやかの代わりに監督官をしており、大変なクラスをお任せしてしまってと詫びるも、「ちっとも。どこが大変なんですか?」と返す学園長。
おとなしく試験を受けている生徒たちを見て、私の時は大騒ぎする癖に!ずるいんだから。と顔をしかめるさやか。こういう表情も・・(以下略)
それから1週間後、数学の授業の途中で「テストOK、補習は中止」と報告に来るさやか。歓喜する生徒たちを怒る鳩山、しまったという表情のさやか。
「マジでテストやるのはだせえけど、やるときはやるぜ!」と友竹の叫びと共に、教科書を放り投げる生徒達。小倉さん「やっぱりちっとも変っていませんね。2年A組は。いやー少しずつ変わっているのかなあ。これでも」というナレーションで締めくくられ、今回は終わりです。
個人的には受験前日の試験ネタという事であまり乗らなかった記憶ありますが、一方でCMはきちんと録画の一時停止しているので熱心に見てた事は間違いないです。
ただ、今回の話、青葉達の作戦は一応わかるのですが、生徒達は数学では間違いなくカンニングしてましたし、さやかも生徒を信用しているのだかどうだかも分かりにくいので、色々難がある気がします。この辺りも語りだすと止まらないので、この辺りで強引にM君の謎かけで締めさせて頂きます。
音楽テスト中の2年A組の生徒達と掛けて
柔道が得意な里親と解く
その心は
ヨウシを投げ飛ばしました
冒頭の紙飛行機をイメージ頂ければと思います。それでは次回もよろしくお願いします。