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受験数学かずスクール
京大理学部で数学をやったわんこらが中学生や高校生、受験生に数学の公式や問題を解説します。

ベクトルの領域の問題、京都大学2006年度理系前期第5問の解説
もう今日は数学でお手てがビクビクや。


京都大学2006年理系前期第5問の解説です。

[問題]
△ABCに対し、辺AB上に点Pを、辺BC上に点Qを、辺CA上に点Rを、頂点とは異なるようにとる。
この3点がそれぞれの辺上を動くとき、この3点を頂点とする三角形の重心はどのような範囲を動くか図示せよ。



[解答と解説]
おそらく、どんな図になるかは結構わかると思います。
ただそれをどうやって説明して数学的に示すかが難しいところです。

京大はこういう類の問題もよく出てるような気がします。

090630_m1.jpg

ベクトルの解法パターンに則って、始点をAに揃えてAB→,AC→で点をどんどん条件を数式化していってみよか。

辺AB上に点Pを、辺BC上に点Qを、辺CA上に点Rって条件から

AP→=sAB→,AQ→=(1-t)AB→+tAC→,AR→=uAC→
(0<s<1,0<t<1,0<u<1)
とおけて

△PQRの重心をXとしておくと

AX→=(AP→+AQ→+AR→)/3
=AB→/3+sAB→/3+uAC→/3+tBC→/3

となりました。

本来よくやる解法パターンはAB→,AC→だけで表すけど、この問題はs,t,uを動かさなあかんからs,t,uについて整理してるとこに注意したってくれ。

これで何となくはわかると思いますが、どう数学的に説明していくか?です。

そこでこういうベクトルの軌跡の問題でよくやりますが、AB→/3のようなのを辺ABを1:2に内分する点をDとして
AB→/3=AD→
ってベクトルが表す点に名前をつけることです。

これでかなり説明しやすくなります。
キーとなる点はs,t,uが0か1になるような端の点で

(s,t,u)=(0,0,0),(0,0,1),(0,1,0),(0,1,1),(1,0,0),(1,0,1),(1,1,0),(1,1,1)
でのXの位置を考えると
辺ABを1:2,2:1に内分する点をD,E
辺BCを1:2,2:1に内分する点をF,H
辺CAを1:2,2:1に内分する点をI,J
△ABCの重心をG

のこれらの7つの点で尽くされます。

こうやって点に名前をつけて置くとかなりすっきり説明しやすくなります。

090630_m2.jpg

わかりやすいようにベクトルであらわしておいて
AD→=AB→/3、AE→=2AB→/3,AF→=(2AB→+AC→)/3,
AH→=(AB→+2AC→)/3,AI→=2AC→/3,AJ→=AC→/3,
AG→=(AB→+AC→)/3で

AX→=AD→+sAB→/3+uAC→/3+tBC→/3

これで点DからsAB→/3+uAC→/3+tBC→/3を加えて点の動く領域を考えたええわけや。

ただ変数が3つなのは困るから、まずは
sAB→/3+uAC→/3
を考えるねん。
これは0<s<1,0<t<1で動かすと平行四辺形やったわけや。

だからAY→=AD→+sAB→/3+uAC→/3と置くとYが動くのは平行四辺形DEFGの内部って言えるねん。

まあ本当はこのAY→=AB→/3+sAB→/3+uAC→/3の動きを考えた結果、
AB→/3,2AB→/3,2AB→/3+AC→,(AB→/3+AC→)/3
の点が説明するのに必要になってE,F,Gって名前をつけると言う思考やねんけどな。

実際の思考と解答が反対になってしまったのは、解答をきれいに書かなあかんって言うのもあって、こんなことなってしまってるねん。

Yが動くのは平行四辺形DEFGの内部で
AX→=AY→+tBC→/3
やから、後は平行四辺形DEFGをBC→/3平行移動させた時に通る領域を考えたらよくなりますよね。

うんうん。

それは端の点を考えたらいいから
AD→+BC→/3,AE→+BC→/3,AF→+BC→/3,AG→+BC→/3
となる点やねんけど、これがAJ→,AG→,AH→,AI→
になってるわけや。

だからこれも本当は、
AD→+BC→/3,AE→+BC→/3,AF→+BC→/3,AG→+BC→/3
の点が説明するのに必要やからJ,G,H,Iって名前をつけるって言う思考をしてるわけやねんな。
まあGはすでに名前つけてるけど。

090630_m3.jpg

図示すると平行四辺形DEFGを→BC/3平行移動させて通った領域は六角形DEFHIJの内部になるねん。

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素数の問題、京都大学2006年度理系前期第4問の解説
ちょっとポスター貼ってきて。

そしたら、京都大学2006年度前期理系の第4問の解説をしよか。


[問題]
090628_m8.jpg

2以上の自然数nに対し、nとn^2+2がともに素数になるのはn=3の場合に限ることを示せ。


[解答と解説]
さすが、京大。
めっちゃええ問題だすな。

数学に必要とされる思考を身につけてるかどうかはっきり分かれるようになってる問題です。

ただしそれは先天的なセンスではなくてこういう考え方をするって言うパターンを覚えてるかどうかやから、出来なかった人は何も気にせずに覚えてください。


こういう問題が出ると、n=1,2,3,4,…

って代入していってみるのがコツです。
まあnが素数の時だけを入れてもええねんけどな。

090628_m9.jpg

すると
n=2の時はn^2+2=6
n=3の時はn^2+2=11
n=4の時はn^2+2=18
n=5の時はn^2+2=27
n=6の時はn^2+2=38
n=7の時はn^2+2=51
n=8の時はn^2+2=66
n=9の時はn^2+2=83


なんか妙に3の倍数になるものが多いような気がするな。

n=2の時はn^2+2=6
n=4の時はn^2+2=18
n=5の時はn^2+2=27
n=7の時はn^2+2=51
n=8の時はn^2+2=66

と言うより、nが3の倍数じゃない時n^2+2は3の倍数ちゃうんかこれって予想が立つわけや。

じゃあnが3の倍数の時は…ってよう考えたら、nが3の倍数の時点でnが素数なのはn=3の時だけやからn=3の時にn^2+2=11で両方素数になってるとわかります。

こうやってnに具体的に値を入れていって予想をたてて、それを証明するのがコツやねん。
京大ではこの手の問題が多くて、この解き方を覚えておけばばっちり京大対策になると思います。

解答はほぼこの予想の通りで

090628_m10.jpg

(i)nが3の倍数の時
nが素数になるのはn=3の場合だけで、この時n^2+2=11でこれは素数。

(ii)nが3の倍数でない時
nは2以上やから
n=3m±1(mは自然数)
とおけます。

3を法とした合同式を使ってええねんけど、大した計算違うから別にこれでええんちゃうかな。

n^2+2=(3m±1)^2+2
=9m^2±6m+3
=3(3m^2±2m+1)
(複号同順)

で(m^2±2m+1)が2以上であれば3(m^2±2m+1)が素数でないと言えるから

3m^2±2m+1=m(3m±2)+1≧2
(m=1の時が最小)

でn^2+2は素数でないと言えました。

(i)(ii)からnとn^2+2が両方素数なるのはn=3の場合だけって言えました。

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原点対称な関数の積分の問題、京都大学2006年度理系第3問文系第4問の文理共通の解説
うんこする前に解説しとこか。

京都大学2006年度前期の理系第3問文系第4問の文理共通問題の解説です

[問題]
090628_m4.jpg

関数y=f(x)のグラフは、座標平面で原点に関して点対称である。さらにこのグラフのx≦0の部分は、軸がy軸に平行で、点(-1/2,1/4)を頂点とし、原点を通る放物線と一致している。このときx=-1におけるこの関数の接線とこの関数のグラフによって囲まれる図形の面積を求めよ。



[解答と解説]
全然難しくはないですが、一つ言うなら原点対称がちょっと珍しいぐらいやと思う。
後はもう積分の問題によくあるパターンやな。

090628_m5.jpg

関数はx≦0の部分は、軸がy軸に平行で、点(-1/2,1/4)を頂点とし、原点を通る放物線と一致していると言うことで

軸がy軸に平行で、点(-1/2,1/4)を頂点とする放物線から

f(x)=a(x+1/2)^2+1/4(a≠0)

とおけます。これが原点を通から

0=a/4+1/4⇔a=-1

ってaの値が求まります。


これでx≦0の部分は

f(x)=-(x+1/2)^2+1/4
=-x^2-x

って求まりました。

x≧0の部分はこれを原点について対称移動したグラフなわけやから
xを-xへ、yを-yへ置き換えたらよくて

f(x)=(-(-x)^2-(-x))
=x^2-x

と求まります。

090628_m6.jpg

x=-1における接線を求めなあかんから、x≦0の部分を微分して

f'(x)=-2x-1
やからx=-1における接線は

y=f'(-1)(x+1)+f(0)
=x+1

積分するためにf(x)のx≧0の部分との交点を求めておいて

x+1=x^2-x

x^2-2x-1=0

x≧0からx=1+√2

090628_m7.jpg

グラフを書いて後は積分をするだけや。

∫(-1,0)(x+1-f(x))dx+∫(0,1+√2)(x+1-f(x))dx

=∫(-1,0)(x+1)^2dx+∫(0,1+√2)(-x^2+2x+1)dx

で、なんやかんやで

2+(4√2)/3

になります。

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