連立漸化式と整数問題…東大2008年度文系第4問 |
年越しそばと数学は関係あるようでふるびた包丁をそぎ落とし。
どういう意味やねん。
と言うことで、東大文系2008年度の第4問をやりたい思います。
[問題]
pを自然数とする。次の関係式で定められる数列{a_n},{b_n}を考える。
a_1=p,b_1=p+1
a_(n+1)=a_n + pb_n (n=1,2,3,…)
b_(n+1)=pa_n + (p+1)b_n (n=1,2,3,…)
(1)n=1,2,3,…に対し、次の2つの数がともにp^3で割り切れることを示せ。
a_n - n(n-1)p^2/2 - np,
b_n - n(n-1)p^2 - np - 1
(2)pを3以上の奇数とする。このとき、a_nはp^2で割り切れるが、p^3では割り切れないことを示せ。
[解答と解説]
これは連立漸化式です。
連立漸化式とこれば文系の癖に行列をマニアックなまでに勉強してる人は行列で解いてまう強者もいるかもしれません。
そこまでしなくても、
a_(n+1)=a_n + pb_n
から
b_n=-1/p・a_(n+1) + 1/p・a_n
と言うようにb_nについて解いてb_(n+1)=pa_n + (p+1)b_nに代入して
a_(n+2)-(p+2)a_(n+1)+(-p^2+p+1)a_n=0
と隣接三項間漸化式になって特性方程式は
x^2-(p+2)x+(-p^2+p+1)=0
でこれを解いて
x=(p+2±√5)/2
だから
a_n=A{(p+2+√5)/2}^(n-1)+B{(p+2-√5)/2}^(n-1)
と置けてn=1とn=2と代入して…とやると
確かに解けるとは思いますが、計算がしんどくてわけわからんことになりかねないです。
東大や京大は文系でも数学3Cまで勉強して欲しいって言うのはあるらしいですが、そもそも東大では特に博学な知識を問うことはほとんどありません。
漸化式を解くのではなく漸化式のまま扱って証明したことはたぶん一回くらいあると思います。
こういう複雑な計算になりそうな漸化式ではその方法が上手くいきそうです。
思い浮かぶのは数学的帰納法です。
漸化式があるので非常に数学的帰納法に使いやすいです。
ただ注意して欲しいのは次の2つの数が『ともに』p^3で割り切れることを示せって所で、二つの数を同時にp^3で割れると成立を仮定しないと解けません。
この二つのn=k+1の時の式からこの二つの数のn=kの時の形を作り出していくわけですが、ややこしい式変形になれてる人はいいですがちょっと式がややこしいので
A_n=a_n - n(n-1)p^2/2 - np,
B_n=b_n - n(n-1)p^2 - np - 1
と置いて
a_n=A_n + n(n-1)p^2/2 + np
b_n=B_n + n(n-1)p^2 + np + 1
を代入していった方が機械的にA_nやB_nで表せて仮定が使えるので楽でミスが減ると思います。
A_n=a_n - n(n-1)p^2/2 - np,
B_n=b_n - n(n-1)p^2 - np - 1
と置いて数学的帰納法により
「A_n,B_nがともにp^3で割り切れる」…(*)
ことを示す。
(i)n=1の時
A_n=0,B_n=0で0はp^3で割り切れるから(と言うより0以外のどんな整数でも割り切れますが)(*)成立
(ii)n=kの時、(*)成立を仮定すると
A_(k+1)=a_(k+1) - (k+1)kp^2/2 - (k+1)p
a_(k+1)には漸化式a_(k+1)=a_k + pb_kでa_kとb_kにします。
A_(k+1)=a_k + pb_k - (k+1)kp^2/2 - (k+1)p
で
a_k=A_k + k(k-1)p^2/2 + kp
b_k=B_k + k(k-1)p^2 + kp + 1
を代入してA_kとB_kで表すと
A_(k+1)=A_k+B_k+k(k-1)p^3
これで帰納法の仮定からA_k+B_kがp^3で割り切れてk(k-1)p^3もp^3で割り切れるからA_(k+1)もp^3で割り切れます。
同じように
B_(k+1)=b_(k+1) - (k+1)kp^2 - (k+1)p - 1
=pa_k + (p+1)b_k - (k+1)kp^2 - (k+1)p -1
=pA_k+(p+1)B_k+3k(k-1)p^3/2
よってn=k+1の時も(*)成立。
(i)(ii)よりすべての自然数に対して(*)成立。
(2)は(1)を使おうと思うその精神があれば簡単だと思います。
普通(2)のために(1)があるはずなので大丈夫だとは思いますが。
(1)からmを整数として
a_p - p(p-1)p^2/2 - p^2 = mp^3(写真の置き方はnの時にmにしてるからまずかった…)
と置けて、
a_p = mp^3 + p(p-1)p^2/2 + p^2
pは3以上の奇数だからp=2q+1(qは自然数)と置けて
a_p = mp^3 + pqp^2 + p^2
=p^3(m+q)+p^2
でa_pはp^2で割り切れますが、p^3で割るとp^2余ることがわかります。
高校数学の入試問題などの解説
東京大学の入試の数学の過去問の解説
整数問題の解法の解説と問題演習
テーマ:算数・数学の学習 - ジャンル:学校・教育
|
▲ページトップへ
ベクトルの問題、センター試験2008年度数学2Bの第4問 |
歯車が狂った僕…
またおっさんがなんか言うてるな。
センター試験2008年度数学2の第4問ベクトルの問題です。
[問題]
四面体OABCにおいて、OA=OB=BC=√2,OC=CA=AB=√3である。
a→=OA→,b→=OB→,c→=OC→とおく。
(1)|a→-b→|^2=(ア)であり、a→・b→=(イ)/(ウ)である。
また,b→・c→=(エ)/(オ),c→・a→=(カ)である。
(2)直線AB上の点PをCP→・a→=0であるようにとると
CP→=(キ)/(ク)a→+(ケ)/(コ)b→-c→
となり、点Pは線分ABを1:(サ)/(シ)に内分する。
また、CP→・b→=(ス)
であり、|CP→|=(√(セソ))/(タ)である。
CP→は三角形(チ)の各辺と垂直であるから、直線CPは三角形(チ)を含む平面に垂直である。ただし、(チ)については、当てはまるものを、次の(0)~(3)のうちから一つ選べ。
(0)ABC (1)OBC (2)OAC (3)OAB
三角形(チ)の面積は(√(ツテ))/(ト)であるから、四面体OABCの体積は(ナ)/(ニヌ)である。
[解答と解説]
(1)まずはベクトルの始点をあわせる基本的な変形が身体にしみついてるかどうかです。
理屈の前に
AB→=OB→-OA→
と言うように、後ろから前をひく!です。
反対に
OB→-OA→=AB→
後ろから前に合体させる!です。
九九みたいに暗記して何も考えずに出来るようになってください。
a→-b→=OA→-OB→
だから後ろから前に合体させて
OA→-OB→=BA→
で
|a→-b→|^2=|BA→|^2
=AB^2
=3
次は内積ですが、内積を長さで表す方法って言うやり方を覚えて下さい。
△OABにおいて
OA→・OB→
=1/2・{|OA→|^2+|OB→|^2-|OB→-OA→|^2}
=1/2・{|OA→|^2+|OB→|^2-|AB→|^2}
いきなりこれを使ったほうが早いことがよくあります。
ほとんど余弦定理と同じですが。
後は
OA→・OB→
=1/2・{|OB→+OA→|^2-|OA→|^2-|OB→|^2}
=1/4・{|OB→+OA→|^2-|OA→-OB→|^2}
とかありますが、これは|OB→+OA→|がわかってる時ですね。
a→・b→=1/2・{|OA→|^2+|OB→|^2-|AB→|^2}
=1/2・{2+2-3}
=1/2
b→・c→=1/2・{|OB→|^2+|OC→|^2-|BC→|^2}
=1/2・{2+3-2}
=3/2
c→・a→=1/2・{|OC→|^2+|OA→|^2-|CA→|^2}
=1/2・{3+2-3}
=1
(2)直線AB上の点Pと言う文章がありますが点Pは線分ABを1:(サ)/(シ)に内分するとあるのでそれを1:kとおくと内分点の公式から
OP→=(ka→+b→)/(1+k)
と表せます。
だから
CP→=OP→-OC→
=(ka→+b→)/(1+k)-c→
=k/(1+k)a→ + 1/(1+k)b→ - c→
で
CP→・a→=0に代入して
k/(1+k)|a→|^2 + 1/(1+k)(b→・a→) - (c→・a→)=0
⇔
2k/(1+k) + 1/{2(1+k)} - 1=0
⇔k=1/2
で
CP→=k/(1+k)a→ + 1/(1+k)b→ - c→に代入して
CP→=1/3a→ + 2/3b→ - c→
で点Pは線分ABを1:1/2に内分する
また
CP→・b→=1/3(a→・b→) + 2/3|b→|^2 - (c→・b→)
=1/6 + 4/3 - 3/2
=0
で|CP→|ですが長さはベクトルでは√(内積の二乗)のことなので
|CP→|^2=CP→・(1/3a→ + 2/3b→ - c→)
=-CP→・c→
=-(1/3a→ + 2/3b→ - c→)・c→
=-1/3(a→・c→) - 2/3(b→・c→) + |c→|^2
=-1/3-1+3
=5/3
だから
|CP→|=√(5/3)
=(√15)/3
CP→・a→=0とCP→・b→=0は
CP→・OA→=0とCP→・OB→=0ですがこれから
CP→は三角形OABの各辺と垂直です。
ABはどうなのか?ってちょっと思いますがそもそも△OABを含む平面上のベクトルはOA→とOB→であらわされるので
(→AB=→OB-→OA)
CP→との内積は0でちゃんと垂直です。
△OABの面積は
(OA・OBsin∠AOB)/2=(|a→||b→|√(1-(cos∠AOB)^2))/2
=√(|a→|^2|b→|^2-(|a→||b→|cos∠AOB)^2)/2
=√(|a→|^2|b→|^2-(a→・b→)^2)/2
=(√(2・2-1/4))/2
=(√15)/4
四面体OABCの体積は
1/3・△OAB・CP=5/12
センターは前の問題が誘導になってることに注意してください。
そうすれば△OABとCPを求めさせされて、垂直であることからこれで体積が求まるとピンときます。
センター試験の過去問の解説
テーマ:算数・数学の学習 - ジャンル:学校・教育
|
▲ページトップへ
平面図形の問題、東京大学文系2008年度第3問 |
ワリカンで数学の問題集買ったら後からややこしいことになるな。
と言うことで東大文系の2008年度第三問いきます。
[問題]
座標平面上の3点A(1,0),B(-1,0),C(0,-1)に対し
∠APC=∠BPC
をみたす点Pの軌跡を求めよ。
ただしP≠A,B,Cとする。
[解答と解説]
この問題は中学生的にもやれるし、数式にとらわれてぶーわーわけわからん式になるとこは中学生的な幾何で考えてから式を立てる上手くいくことがありますが、たぶんこの問題は計算ばりばりでやった方が簡単なのはではないかと思います。
まず∠APC=∠BPCの条件は時計回りと反時計回りどっちを考えるかで180°以下か180°以上になりますが180°以下だけ考えても大丈夫です。
だからcos∠APC=cos∠BPC
だけ考えればオッケーです。
その辺は特に断らなくても大丈夫だと思います。
P(x,y)と置いて(x,y)≠(1,0),(-1,0),(0,-1)
cos∠APC=cos∠BPC
は余弦定理か
cosθ=(→a・→b)/(|→a||→b|)
と言うようにベクトルの内積が使えます。
どっちがいいかはわかりませんが、座標を置いたのでベクトルでやります。
→PA=(1-x,-y)
→PB=(-1-x,-1)
→PC=(-x,-1-y)
で
cos∠APC=cos∠BPC
⇔
(→PA・→PC)/(|→PA||→PC|)=(→PB・→PC)/(|→PB||→PC|)
|→PC|が両辺共通だから払えて
→PA・→PC=x^2-x+y^2+y
→PB・→PC=x^2+x+y^2+y
|→PA|=√((1-x)^2+y^2)
|→PB|=√((1+x)^2+y^2)
だから
(x^2-x+y^2+y)/√((1-x)^2+y^2)=(x^2+x+y^2+y)/√((1+x)^2+y^2)
これは√があるから2乗しなければなりません。
しかしこういう無理方程式で注意して欲しいのが
a=b
⇒
a^2=b^2
ですが
a^2=b^2
⇒
a=b
は成り立たないことです。
a^2=b^2でab≧0(←つまりaとbが同符号)
ならa=bと同値になります。
例えば
√(2x^2-1)=x
なら
両辺2乗して
2x^2-1=x^2
で
x^2=1だからx=±1としたら間違いです。
左辺の√(2x^2-1)にx=-1を代入したら1ですが
右辺はx=-1なので矛盾します。
だから
√(2x^2-1)=x
⇔
2x^2-1=x^2,x≧0
無理方程式は√は0以上なのでこういう右辺のxがx≧0とかを忘れないでください。
だから
(x^2-x+y^2+y)/√((1-x)^2+y^2)=(x^2+x+y^2+y)/√((1+x)^2+y^2)
⇔
(x^2-x+y^2+y)^2/((1-x)^2+y^2)=(x^2+x+y^2+y)^2/((1+x)^2+y^2),(x^2-x+y^2+y)(x^2+x+y^2+y)≧0
です。
まずは
(x^2-x+y^2+y)^2/((1-x)^2+y^2)=(x^2+x+y^2+y)^2/((1+x)^2+y^2)
を整理したいですが、これはむやみぶーわー展開しないでください。
こういうややこしい式は大きな塊で見ると実はそんなにややこしい式ではありません。
A=x^2+y^2+y
Bx^2+y^2+1
とおけば
(A-x)^2/(B-2x)=(A+x)^2/(B+2x)
になります。
これなら簡単ですね。
これを整理すると
x{A(A-B)+x^2}=0
でAとBを元に戻して整理して
xy(x^2+y^2-1)=0
です。
この式だけでは、軌跡は
x=0のy軸
y=0のx軸
x^2+y^2=1の単位円
になります。
これに(x^2-x+y^2+y)(x^2+x+y^2+y)≧0の範囲になるものを選びます。
これはたぶん数学2とかでよくやったと思いますが、それぞれ円の式なので
((x-1/2)^2+(y+1/2)^2-1/2)((x+1/2)^2+(y+1/2)^2-1/2)≧0
これは
二つの円
(x-1/2)^2+(y+1/2)^2=1/2と
(x+1/2)^2+(y+1/2)^2=1/2
の両方の円の内側か、両方の円の外側をあらわしていて境界を含みます。
最後に作図します。
(x,y)≠(1,0),(-1,0),(0,-1)を忘れないでください。
作図してみると
y=0(x<-1,1<x)
x=0(y≠-1)
x^2+y^2=1(y>0)
です。
ちょっと軌跡がx軸やy軸とかぶるので作図が書きにくいですが。
こうやって一応、使う知識としてはそれぞれ簡単ですがしかし実際解くのは難しいという東大らしい問題でした。
いくら文科一類は理系より数学出来るけど行く人がいるとは言え文系でこれやからな。
高校数学の入試問題などの解説
東京大学の入試の数学の過去問の解説
テーマ:算数・数学の学習 - ジャンル:学校・教育
|
▲ページトップへ
|
プロフィール |
Author:わんこら
京都大学理学部で数学と物理を勉強し、数学を専攻しました。 東京で数学と物理の講師やってます
わんこら日記で日記とか勉強の仕方とか書いています
わんこらチャンネル チャンネル登録お願いします
わんこら式数学の勉強法
→メール 迷惑メールにされる危険性があるので出来るだけ kazuyuki_ht○guitar.ocn.ne.jp (○を@にしてください)に送ってください 勉強とかでどんな悩み持ってるかなど色々と教えてくれると嬉しいです。 わんこら式のやり方についてのメールはわんこら式診断プログラムを参考にしてください
詳しいプロフィール
人気blogランキングへ
相互リンクも募集してます。
何かあれば kazuschool_ht★yahoo.co.jp かメールフォームからメールください。 (★を@にしてください)
|
お勧めの参考書、ノート |
数学でお勧めのノートは KOKUYOの無地 → 理由
センター試験は過去問が大切
チャートが終わったらお勧め
大学への数学1対1シリーズ
数学1
数学A
数学2
数学B
数学3
数学C
|
|
|