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受験数学かずスクール
京大理学部で数学をやったわんこらが中学生や高校生、受験生に数学の公式や問題を解説します。

極板間引力の求め方とよくある勘違い
極板間引力は甘くて切ないな。

極板間引力は甘くて切ないな。

そういえば極板間引力は甘くて切ないな。


ええからはよ説明しろ!


今日は極板間引力について説明します。

これはよく混乱するからな。


例えばこんな場合を考えてみましょう。

面積Sの十分広い導体極板があってQの電荷が与えられてるとします。

100211p1.jpg

これは上面と下面に一様にQ/2ずつ分布するはずです。

上面と下面の電界をEとするとガウスの定理から
2SE=Q/ε_0⇔E=Q/(2Sε_0)

でこれは電荷密度は上面と下面もσ=Q/2Sだから
E=σ/ε_0
で確かに
(平板導体表面の電界の大きさ)=(導体表面の電界の面密度)/ε_0
を満たしています。

次に同じ形の導体極板を持ってきて-Qの電荷が与えられてるとします。

100211p2.jpg

すると電荷Qが与えられた方は片方の面に電荷Qが集まります。
電荷-Qの方は片方の面に電荷-Qが集まります。

だから電荷が無い側の電界は0で,電荷がある側の電界をE'とすると
ガウスの定理より電荷Qの極板をちょうど囲む閉曲面で

SR'+S・0=Q/ε_0
よって
E'=Q/Sε_0

これも内側の電荷密度はσ=Q/Sだから
E'=σ/ε_0
で確かに
(平板導体表面の電界の大きさ)=(導体表面の電界の面密度)/ε_0
を満たしています。

だから極板間引力Fは
F=QE'

ところが本に載ってる公式はF=QE'/2でした。

どういうこっちゃ、どういうこっちゃ、どういうこっちゃ

100211p3.jpg

どうらっしゃーい。

どういう意味やねん!


これは電界がよくわかってないねんな。


電界とは、ある点において,1[C]あたりに働く静電気力をその点の電界と言うねん。

だからE'は極板二つで作り出した電界であって、ここに別の電荷を持ってきたらその電界の影響を受けるって話やねん。

極板は電界を作り出してる側やから、E'の影響を全部は受けてないねん。

例えば電荷eの点は電界を作りだしてるけど、自分の電界の影響なんか受けずに動かせるやんな。


いや、ガウスの定理から極板一つでE'を作り出してたやん。

そう思うかもしれん。

そこで説明するとガウスの定理って言うのは一つの極板をちょうど囲む閉曲面をとって、「外側の電荷による電界を重ね合わせても」成り立ってると言うものやねんな。

だからガウスの定理から出たE'は外側の極板の電界との重ね合わせやねん。

例えば電荷Qを囲む球面を貫く電気力線の総本数は

100211p4.jpg

外に電荷-Qのものがあっても、何もなくても一緒やねん。


外に電荷-Qがあると-Qのある方側が密度が濃くなってて反対側が薄くなってます。
だから密度は変わるねん。

でも総本数は同じやねん。


だからガウスの定理から極板一つをちょうど囲む閉曲面を考えてE'が求まったとしても、
それは外側の電荷の影響で密度が変わったから外側の電荷の電界の影響も入ってるねん。



じゃあどう考えたらええのか。

それは導体を考えてるからちょっとややこしいだけやねん。

100211p5.jpg

こういう合計の電荷がQの粒子が一様に平面上に並んだものを考える。

するとこれが作る電界Eはガウスの定理からE=Q/(2S)なはずや。
(E=E'/2)

この電界のとこに合計の電荷が-Qの粒子が一様に平面上に並んだものをもってくる。

すると受ける力Fは

F=QE=QE'/2

これで極板間引力が出てくるねん。


だから電荷があって、別の電荷が持ってくる問題として考えたら当たり前の話やねんな。
100211p6.jpg

それで導体内は導体の性質から等電位つまり電界は0になるように電荷が動いて分布しだすねん。
どっち側に分布しようが一つの極板が作る電界は変わらへんとこに注意したってくれ。

内側にQ,-Qが一様に集まったら導体内は

E-E=0

ってちょうど0になるから内側にQ,-Qが一様に分布するわけやねんな。

それで二つの極板の間の電界はE+E=2E=E'が働いてるって話やねん。

こうやって「重ね合わせ」で考えれば勘違いは起こりにくいです。


極板間引力の公式のQE/2のEやコンデンサーの電界Eは極板二つで作ってる重ねあわされた電界のことです。
そこに注意したってください。

高校物理




テーマ:物理学 - ジャンル:学校・教育

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万有引力の位置エネルギーの計算の仕方と何故基準点を無限遠にとるか
万有引力の位置エネルギー(ポテンシャルエネルギー)は何故、無限遠に座標をとるのか説明をします。


みんなが物理が好きなのはわかります。
オレも物理が好きでした。

物理を愛してました。



でも位置エネルギーとなると、なんかよく頭がこんがらがって一日中悩んで何も勉強できなかった日々が続きました。

と言うことで、同じような思いをして欲しくないと言うことで説明してみます。


まず、普通の重力の位置エネルギーを例にして考えてみます。

090201_p1.jpg

質量mの物体があって、重力加速度をgとします。

まずは物体の図を書いて、正確に座標と力を書き込みます。

座標xはどっちでも大丈夫ですが、普通は鉛直上向きを正にとります。

すると、物体には『鉛直下向き』にmgの『大きさ』で力がかかっています。
だから向きまで考慮すると物体には-mgの力がかかってると言うことになります。

この物体を座標の正方向に持ち上げるにはその符号が反対の力が必要です。
その持ち上げる力をF(x)とすると

F(x)=-(-mg)
=mg

です。
そしてこの物体を力F(x)で基準点x=h0としてh0からhまで移動させる時の仕事が位置エネルギーUで

U=∫(h0,h)F(x)dx
=∫(h0,h)mgdx
=mg(h-h0)

になります。


そして普通、h0を0にとると

U=mgh

となって扱いが楽になります。




これと同じように万有引力でもやります。

090201_p2.jpg

質量Mの物体と質量mの物体があって重力定数をGとします。

質量mの方の位置エネルギーを求めることを考えます、

同じように物体の図を書いて、正確に座標と力を書き込みます。

座標xは普通は質量Mの中心を0として外向きに正にとります。


すると、xの位置にある物体には『マイナス方向』にGMm/x^2の『大きさ』で力がかかっています。
だから向きまで考慮すると物体には-GMm/x^2の力がかかってると言うことになります。

この物体を座標の正方向に移動させるにはその符号が反対の力が必要です。
その力をF(x)とすると

F(x)=-(-GMn/x^2)
=GMm/x^2

です。
そしてこの物体を力F(x)で基準点x=r0としてr0からrまで物体に働きかけた仕事が位置エネルギーUで

U=∫(r0,r)F(x)dx
=∫(r0,r)GMm/x^2dx
=-[GMm/x](r0,r)
=-GMm/r+GMm/r0

になります。


そして基準点はr0ですが、GMm/r0が0になるようにとれば便利なんですがそうするには、r0を無限に大きくすれば0になります。

数学3風に言うとr→∞の極限を考えます。
その前にさっきの積分が数学3ですが。

U=lim(r→∞)(-GMm/r+GMm/r0)
=-GMn/r

でこれで扱いが楽になります。


無限遠に基準点を取るとって説明されてるのがわかりにくいですが、物理的な意味と言うより自分で設定した座標で無限遠の点を考えるとって言う意味です。

物理的に無限遠の点があるのかどうかはわかりませんし、r0はどこにとって計算しても同じだから∞にすると便利なだけなので位置エネルギーの計算には物理的な意味の無限遠の点は関係ありません。

高校物理




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衝突後物体が一体となると、何故運動量は保存量されて運動エネルギーは保存されないか?
弾丸を物体に撃ち、衝突後一体となった時は、運動量は保存されるのに運動エネルギーは何故保存されないんですか?


確かに運動量は保存されますが、運動エネルギーは保存しません。

弾丸の質量をm、衝突前の速度をv
物体の質量をM、衝突前の速度をV

衝突後の弾丸と物体の速度をUとすると運動量保存則から

mv+MV=(M+m)Uより

U=(mv+MV)/(M+m)

で別に計算しなくても重心の速度vg=(mv+MV)/(M+m)に一致してるはずだからわかりますが、運動エネルギーは

衝突前:1/2mv^2+1/2MV^2

衝突後:1/2(M+m)U^2=1/2(mv+MV)^2/(M+m)

で衝突後では衝突前より運動エネルギーは

1/2mv^2+1/2MV^2 - 1/2(mv+MV)^2/(M+m)
=Mm(v-V)^2/2(M+m)

だけ減っています。
これは重心の観測者から見れば弾丸の速度はv-vg=M(v-V)/(M+m)、物体はV-v=m(V-v)/(M+m)で衝突後の運動エネルギーは0だから、衝突前の運動エネルギー

1/2m(v-vg)^2 + 1/2M(V-vg)^2=Mm(v-V)^2/2(M+m)

に一致してます。


衝突の問題は重心で考えさせられることが多いので慣れていてください。



それで、この減った分は物体に弾丸が埋まるさいに音が鳴ったり熱の発生にエネルギーが変化しています。

どういう時に運動エネルギーが保存されるのかと言うと完全弾性衝突、つまりはね返り係数が1の時です。

この問題では衝突後の相対速度が0なのではね返り係数は0です。

本来、2つの物体の衝突の問題は衝突後の二つの速度を求めなければならないので式が二つ必要でそれが運動量保存則とはね返り係数なわけですが、このように合体する問題でははね返り係数が0って言う条件が衝突後の物体二つの速度が同じと言うことに使われています。
衝突後の物体の速度がそれぞれ同じなら相対速度が0ではね返り係数は0ってことになります。


おまけに運動量が保存されるのは、弾丸と物体の間のお互いに及ぼす力、つまり内力が作用反作用の法則で打ち消しあうからです。

何故そのような力の関係が運動量の話になるかと言うと、それは物理の話と言うより運動方程式と作用反作用の法則による数学的な式の変換の話で
弾丸が物体から受ける力をf(t)とすると、作用反作用の法則から
物体が弾性から受ける力は-f(t)で運動方程式は

弾丸:mdv/dt=f(t)
物体:MdV/dt=-f(t)

でf(t)はわけのわからない時間tの関数ですが、この二式を足すと

d(mv+MV)/dt=0

になります。

これはmv+MVは時間で微分すると0、つまりmv+MVは時間tによらず一定の値をとるってことです。
これが運動量保存則です。

高校物理




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Author:わんこら
京都大学理学部で数学と物理を勉強し、数学を専攻しました。
東京で数学と物理の講師やってます

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