外に出ればセミがミンミンと無く声が聞こえる夏休みにも入り、すっかり夏休みに入りそうになりました。
今日は京大文系の2007年の問題です。
[問題]
nを1以上の整数とするとき、次の2つの命題はそれぞれ正しいか。
正しいときは証明し、正しくないときはその理由を述べよ。
命題p:あるnに対して√nと√(n+1)は共に有理数である。
命題q:すべてのnに対して、√(n+1) - √nは無理数である。
[解答・解説]
命題pからいきましょう。
まず自然数nに対して√nが有理数ってことは√nは整数のはずです。
当たり前ですが一応示したほうがいいかもしれません。
ただ案外気づかずに有理数のままやってしまうもんやと思うから、計算がぶーわーなった子がたくさん出たかもしれません。
√nが有理数とすると互いに素な自然数iとjを使って√n=i/jとあらわせてnj^2=i^2でiとjは互いに素だからj=1とか√2が有理数である証明みたいにしてもいいかもしれませんが、
nが平方数でなかったら√nは無理数はたぶん自明だから、
nが平方数なら√nは整数
nが平方数でないなら√nは無理数
で
√nが有理数⇔√nが整数
としてもいいかもしれません。
どこまで自明とするかがちょっと悩むとこです。
と言うことは、√nと√(n+1)は共に有理数ってことは√nと√(n+1)は共に整数ってことです。
整数なら差が1以上です。
整数問題ってこういう当たり前のことをよく使います。
4-3=1、5-3=2
とか言うように異なる整数で大きいほうから小さいほうを引くと、そら差は1以上になります。
ところが、さすがに√nと√(n+1)が差が1以上あるとは思えません。
そこをついていきます。
式にすれば
√(n+1)-√n
が1未満であれば、pは正しくないことが証明されます。
中学では分母を有理化しろって教えられました。
高校では分子を有理化しろって教えられます。
たぶん。
有理化と言っても
(√x-√y)(√x+√y)=x-y
を使います。
これは文系の問題ですが、理系の人なら数学IIIの極限求めるのにもよくつかったと思います。
さっそく分子を有理化してみましょう。
√(n+1)-√n=(√(n+1)-√n)(√(n+1)+√n)/(√(n+1)+√n)=1/(√(n+1)+√n)<1
(nは自然数より)
で1未満であることがわかりました。
よって√nと√(n+1)を共に有理数とすると√nと√(n+1)は共に整数であるが
0<√(n+1)-√n<1
より矛盾。
したがって命題pは正しくない。
次に命題qですが、恐らくこれは正しいと感覚的に思えます。
出題者の意図としてpの方は結構当たり前なのでpはqを示すためにあると考えて良さそうです。
pを使う形にもっていくには、背理法を使って
あるnに対して、√(n+1) - √nは有理数である
として矛盾を示すことを考えます。
さっきもやりましたが、もう有理数と言えば
互いに素な整数iとjを用いてi/jと表せる
を反射的に思い浮かべるようにしてください。
そらこれで解けない問題もあるかもしれませんが、かなりの割合で解けます。
「有理数と言えば
互いに素な整数iとjを用いてi/jと表せる」
これさえあれば株の取引も出来ます。
と言うことで、√(n+1) - √nが有理数とすると互いに素な整数iとjを用いて
√(n+1) - √n=i/j(i≠0、j≠0)…①
そこで、また分子は有理化します。
1/(√(n+1)+√n)=i/j
⇔
√(n+1)+√n=j/i…②
①と②から
√(n+1)=1/2(i/j+j/i)
√n=1/2(j/i-i/j)
となって、√(n+1)と√nはともに有理数となります。
しかし、これはさっき正しくないことを証明したから矛盾してます。
よって命題qは正しいことが証明されました。
時間が余った時は、ノートの下に図を描く練習でもしときましょう。
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