世界はロックに充ちている(追悼:D・ボウイ)。
世界の音楽シーンに多大な影響と輝かしい足跡を残して来たロック・シンガーで俳優のデビッド・ボウイさん(69)が10日、がんとの闘病の末その生涯を閉じた。音楽関係のみならず各界から彼の死について惜別の言葉が続々と届いている。
1970年代初頭に登場したグラムロックは、当時のミュージシャンや若者に絶大な影響を与え、ひとつのロックスタイルを確率したと言えるだろう。その中心的人物こそがデビッド・ボウイであった。
私自身は彼の登場以前にT・レックスのマーク・ボランに傾倒していたため、『ゲット・イット・オン』をレコードの針が擦り切れるほど聴き込んでいた。D・ボウイの曲を初めて聴いたのは、1973年6枚目のアルバムからシングルカットされた『ジーン・ジニー』だったと記憶している。
現代のように便利な映像媒体がなくアナログの時代であったから、音楽の情報は『ミュージック・ライフ』などの音楽専門雑誌が中心だった。その奇抜な衣装やメイク、ヘアースタイルは彼が創り出すソウルフルな音楽と相まって聴く者の心を鷲掴みにした。
彼の名を決定的なものにしたのは言わずと知れた『レッツ・ダンス』であるが、俳優としての才能を見せつけた作品、大島渚監督の映画『戦場のメリー・クリスマス』ではないだろうか。大島監督が彼を主役に抜擢したのは勿論、彼が出演していた『エレファントマン』などを見て、その演技力に惚れ込んだからであるが、『戦メリ』に登場する役者はビートたけしを始め、坂本龍一、内田祐也、内藤剛志、ジョニー大倉、室田日出夫、三上寛など強烈な個性派揃いであり、その誰もが主役級である。
その豪華極まる出演者の中で最も存在感を醸し出していたのがD・ボウイだった。長寿世界の中で69歳という年齢は、やはり早すぎる死として悔やまれてならない。世界の至るところでテロや戦争が起こり不安定な現代の今だからこそ『武器を楽器に変えて平和を訴えろ!』と彼がそう語りかけて来るような気がしてならない。
最後にファンのひとりとして、デビッド・ボウイさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます(合掌)。
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