ジョージ・ソロスは、株式を売って金の現物と金鉱株にシフトしました。
メディアは、これを「ソロスの弱気」と書いていますが、投資家たちは「世界の市場が劇的に変化する前触れ」と捉えています。
(この記事はメルマガ第161号のダイジェストです。全文はメルマガでお読ください)
その金曜日(開けて24日)に何が起こるのか
・・・「23日の運命の投票日」が近づくにつれて、投資会社、ヘッジファンド、英国の中央銀行それぞれの思惑が錯綜する中、メディアを巻き込んでの虚々実々の駆け引きが展開されています。そう、あの英国王室も加わって・・・
政治的に、どこからも影響も受けない“独立系”を謳う英国のオンライン・ニュース「インディペンデント」が調査会社ORBに依頼した世論調査によると、6月11日現在では、離脱支持が55%と残留支持の45%を10ポイント上回り、英国の世論がEU離脱の方向へと動いたことが伝えられています。
一方、キャメロン率いる保守党に限って言えば、保守党に投票した人のうち62%が離脱を支持する一方で、残留支持は、わずか38%でした。
・・・インディペンデントが世論調査の結果を伝えた6月11日の翌日、米国フロリダで49人が死亡するという最悪の無差別銃撃事件が起こりました。
それを受けてなのか、6月13日、英国で最も高い購読者数を誇るタブロイド紙のサン(Sun)が、英国のEU離脱支持を表明しました。
一方で、英国紙大手のガーディアンは、14日、市場調査会社のTNSによるインターネット調査で、EU離脱支持が47%、残留支持40%と、その差が縮まっていることを報じています。ロイターも同様です。
興味深いのは、Nasdaqが「ブルームバーグは、その“噂”を確認している」としてこの結果に懐疑的です。
Nasdaqは、「この調査結果を真っ先に報じたのはロイターだが、TNSのウェブサイトには現時点で何も報告されていない。これはニュースによる世論操作である」と断じています。
おそらく投票日前日には、ほぼ50対50に近づくだろう
さて、ブルームバーグですが、刻一刻と移り変わる英国民の世論調査の結果を発表しています。
EU離脱指標(Brexit Watch Indicators)なる専用ページを設けて、日に何回か残留支持派(Remain)と離脱派(Leave)のスコアを更新しているのです。
これは、昨日16日のスコアのキャプチャーですが、現在は残留派が42%まで伸ばしてきました。
この結果を見る限り、デイビッド・キャメロンのEU離脱派に対する説得は、徐々に功を奏し始めているようです。
しかし、市場はその不透明性を反映して、ポンドはこの2ヵ月でもっとも下落してしまいました。
6月7日から13日にかけて2,497人の成人を対象に実施されたTNSのインターネット世論調査の結果は、47%が「EU離脱」、40%が「EU残留」でした。
一足先に、ICM、YouGov Plc、ORBの各調査会社が、13日の月曜日に電話調査とインターネット調査の結果を発表しましたが、それは1%から7%の間で、いずれも「EU離脱派」がリードしているというものでした。
・・・現地時間で16日午後1時、労働党の女性下院議員ジョー・コックスが路上で男に銃で撃たれ死亡したのです。コックス議員は、住民にEU残留を呼びかける集会などを行っていました。
・・・英国民の労働党に対する批判的な見方は、今回のEU離脱問題に端を発したものではありません。それは、前政権のときに増幅されました。
下の動画(画像をクリック)は、2010年に欧米メディアで、これでもか、というくらい反復して放送された映像です。
日本でも、不自然にも繰り返しテレビで放送されたものです。
なだめるように優越的な態度で手前の高齢の女性に対しているのは、キャメロンの前の英国首相、労働党党首ゴードン・ブラウンです。
女性は、通称“ダフィーおばあちゃん”。
彼女は、ブラウン首相(当時)が公用車でやってくるのを待ち構えていて、あることを直訴したのです。
「(東欧からの移民たちは)働けるのに働かないで、生活保護を当てにしている。真面目なイギリス人は不況で働きたくてもなかなか職に就けないというのに、おかしくないですか?」と。
ブラウン首相率いる労働党が、東欧からの移民に対して手厚い生活保護政策を取っていることを直接、批判したのです。
この後、ブラウン前首相は、再び公用車に乗って颯爽と立ち去るのですが、そのとき、胸に着けたままにしていたピンマイクが、彼のあるツブヤキを拾ってしまったのです。
「移民嫌い、外国人嫌いのあの偏屈な女性には困ったものだ」・・・
この一件で、俄然、デービッド・キャメロンの保守党が有利に。
しかし、控えていた2010年の総選挙では、36年ぶりに全党過半数割れという事態に。
キャメロンは、自由民主党のグレッグと妥協点を探しつつも連立を組み、なんとか政権の座に就いたのです。
キャメロンもジョンソンも弁証法の駒である
・・・ボリス・ジョンソンは、キャメロンと同じ保守党で、次期・保守党の党首と目されている政治家です。人気が高いことから、キャメロンの次の英国首相との呼び声も高い人物です。
しかし、ジョンソンは、キャメロンとは正反対でEU離脱を掲げています。
ジョンソンは、EUの将来については悲観的見方を取っており、「EUはヒトラーと同じ末路たどる運命」と歯に衣を着せぬ口上で英国民の心をつかんでいます。離脱すれば、一時的な経済的混迷は避けられないだろうが、その代わり、力強い英国を取り戻すことができる!と意気軒高です。
・・・なぜ、固い絆で縛られているボリス・ジョンソンとデイビッド・キャメロンは、同じ保守党の政治家でありながら、EU離脱(ブレグジット:Brexit)については正反対の立場を取っているのでしょう。
・・・結局は、ボリス・ジョンソンとデイビッド・キャメロンも、弁証法の「駒」として使われているに過ぎないのです。つまり、両者は同じ方向を目指しているということです。
ロンドン・シティーとメディアは、おしとやかにEU残留キャンペーンを展開し出した
表面的には内憂外患に苦しんでいるキャメロンですが、しかし、ここにきて、強力な応援団が現れました。それは、ロンドン・シティーを根城にする投資会社と銀行です。
・・・シティーは、どちらかというと、EU離脱問題については距離を置いてきました。
ただし、今まで沈黙を守って来た銀行の中でも、JPモルガン・チェースだけは、早い段階からEU離脱による経済への悪影響を指摘してきました。
・・・EU当局者は、英国のEU離脱を想定していないかのように、一切のロードマップを作成していないと言っています。
もちろん、これは事前に情報がリークすることによる風評被害を防ぐためであって、それなりの態勢をととのえているはずです。
・・・一方で、こうした巨大金融機関にありがちな“お役所的答弁”に縛られていない投資会社の見方は、もっと単刀直入です。
米投資会社ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラックCEOは、14日の投資家向けのウェブ放送で、「『残留派』が勝利すると確信している」と発言。
英国やアイルランドの大手ブックメーカー(賭け屋)などの大半の予想オッズは、キャメロン英首相が60%以上の確率でEU離脱を回避できる見通しを紹介しています。
確率は五分五分。投資家に直接、呼びかけるインターネット放送で、その見立てと反対の結果が出た場合は、こうした投資会社は批難の集中砲火を浴びせられるでしょう。
ちなみに、JPモルガン・チェースは、創業者のジョージ・ピーボディがロンドン在住中、ロスチャイルド家から資金的援助を受けて成長の礎を築いたアメリカ最大の資産を有する銀行です。
また、国営の中央銀行であるイングランド銀行も、歴史的にロスチャイルドと深いかかわりを持っている銀行で、JPモルガンとも不即不離の関係を保っています。
戦争を支持するカンタベリー大主教
・・・残り数日の間に劇的な出来事が起こるかもしれません。そうだとすれば、それが英国をEUにとどまらせる決定打になるはずです。
ロンドン・シティーの金融界が急に口を開き出したのは、90回目の誕生日を迎えた英国女王・エリザベス2世を祝賀する会がバッキンガム宮殿で催されて以来のことです。
・・・英国の主流メディアが、こぞって、この画像と映像を流したのは、キャメロンのやることに対して、英国王室とローマ・カトリックの流れを汲む英国正教会が「お墨付き」を与えたということを、ロンドン・シティーやウォール街の人々に知らせるためです。
・・・そのカンタベリー大主教のウェルビーは、4日前にEU残留支持を表明しました。
信じられないことに、ジャスティン・ウェルビー・カンタベリー“大主教”は、去年の11月、シリアでの武力行使を支持する声明を出したのです。
英国正教会は宗教組織というより、形を変えた政治組織と言う方が的を得ているでしょう。
ちなみに、このウェルビー大主教の実の父親は、フリーメーソンの高位階であったチャーチル首相の秘書を務めていた人物であることがDNA鑑定によって明らかとなっています。
安全資産の金(ゴールド)に避難する資金
・・・今のところ離脱派が依然として優勢であることには変わりがないものの、市場は敏感に反応しています。
英ポンド安が進んでいるところを見ると、明らかに英国のEU離脱は英国売りにつながり、市場の大きな下落要因になることは明らかなようです。
通貨安、株安と金(ゴールド)や銀(シルバー)とは一般に逆相関の関係にあるので、文字どおり、ポンド建て金(ゴールド)価格は、6月13日には1トロイオンスあたり909ポンドまで上げ、13年9月の水準まで上昇しています。
さらに6月15日には、ポンド建て金(ゴールド)価格は過去3年間で最高値を付けています。
6月16日の早朝3時に発表されたFOMCの政策金利でも、市場が予想していたとおり「金利据え置き」。失望感が広がり5月の米・雇用統計の悪化が一気に響いて、ドル建て金(ゴールド)価格も、1トロイオンス当たり1300ドルを抜いてきました。
すでに、各国の市場には、その反応が現れています。
ドイツ国債10年物も初のマイナス金利になりました。
(ブルームバーグ 6月14日)
米・欧・ドイツ・スイスの各中央銀行から数十億ドルもの融資を受けていたドイツのメガバンク、ドイツ銀行は、期限が来ても利払いができず、いよいよデリバティブ破綻が秒読みとなってきました。
スイス・チューリッヒに本社を置く世界最大規模の金融コングロマリット、クレディ―・スイスも、もはや危険水域に差し掛かっています。
欧州市場の冷え込みを織り込んで、中国のコモディティー市場が壊滅的な打撃を受けています。
日本の新発10年国債の利回りも16日にはマイナス0.200と、過去最低。(長期金利推移グラフ)
すでに日本、欧州とも長期金利はマイナスですが、その幅を拡大し続けています。
日経平均株価は、16日の終値でマイナス485円の大暴落。日銀の追加緩和見送りで日経平均15500円割れ。
今日17日も下げた分を取り戻すほどのリバウンドはなく、明らかに日本の株式市場は下降トレンドに入りました。円も急伸して、一時103円台に突入
米プライベートエクイティ大手のブラックストーンは、「EU離脱の影響の半分は織り込み済み」としながら、なお23日の結果については予測不可能とし、「ポートフォリオを低リスク資産に重点を置く方向に傾けた」とコメント。
・・・フィスコ・リサーチは、EU離脱リスクの高まりを背景に、「リスクヘッジとしての金が買いだ」とのレポートを出しています。
英国王室がどんなシグナルを発するか、固唾を飲んで待ち構える投資家たち
・・・ウォールストリート・ジャーナルが、「弱気のジョージ・ソロスがやっと腰を上げた」というタイトルの記事を掲載しています。(原文のすべてを読むためにはウォールストリート・ジャーナルに会員登録する必要があります)
しばらくの間、トレードから遠ざかっていたソロスが、やっと動き出したと思ったら、株式市場からソロリソロリと撤退して金の現物と金鉱株にしぼって資金を移しているというのです。
このソロスの動きは、世界中で資金の流れに重要なシフトが起こっていることを示唆しています。
・・・ウォールストリート・ジャーナルが「弱気になったソロス」と書いているのは、どんなときでも株式市場に挑もうとする挑戦的な相場師ソロスの姿は影を潜めてしまったと言っているのです。
それは正しい表現でしょうか?
失敗しない投資家は、相場が長期間、下落すると予想した場合、いち早く資金を市場から引き上げて、資金の避難先として金(ゴールド)の現物買いに走るからです。弱気になったのではなく、しぶといのです。
グローバリズムによって英国の労働市場が崩壊する
マーケット・ウォッチは、6月9日、立て続けに2本の記事をアップしました。
それは、「ファンド・マネージャーは、中央銀行が次のリーマンショックを引き起こす瞬間を恐怖している」という記事と、「伝説の投資家ソロスは、再びトレードに戻って難局に備えている」という記事です。
・・・
ソロスが、こうした大きな戦略転換を図ったのはインフレを懸念しているからでしょうか。それは、各国の通貨の購買力が減価されることを意味します。
通常、株価とインフレは連動するので、あえて冒険せずとも、いわゆるディフェンシブ銘柄を保有していればインフレに対するリスクをヘッジしたことと同じ効果が出るはずです。
ソロスは、それにも見向きもしなくなったということは、残すところ「市場の崩壊」ということになるのです。
・・・しかし、ソロスが心配しているもう一つの大きなことはシリアを始めとする中東からの難民流入でなく、グローバリズムによってEU地域内で人と労働力の移動がさらに活発になり、英国民の職が奪われることによって経済が停滞すると同時に暴動が起こるリスクが高まることです。
ソロスはEUの崩壊よりアメリカの経済崩壊を危惧している
・・・もちろん、弱気の展望をする投資家はソロスだけではありません。
事実、ゴールドマン・サックスはかなりナーバスになっており、「市場にとって不利になる重大なリスクが存在している」と警告しています。
ゴールドマン・サックスが顧客へ通達する注意書きでは、株式投資のストラティジストで、クリスチャンでもあるミューラー・グリスマン(Mueller- Glissmann)が、「市場が下落する重大なリスクがある」とするゴールドマン・サックスの分析を代表して注意喚起しています。
すべての経済指標は世界経済がリセッションに向かっていることを示しています。
・・・ジョージ・ソロスが「弱気になっている」のは、英国のEU離脱によるEUの崩壊懸念が原因というより、アメリカの経済崩壊が目前に迫っていることに対する備えと見る方が正確です。
投資家は、ソロスが株式市場から資金を引き上げて金の現物を買っているという事実は、「おそらく彼が、英国がEUを離脱すると考えているのだろう」と結論付けたいようです。
どうやら、欧米のメディアは、アメリカの経済崩壊に投資家の目を向けさせたくないようです。
老いてなお賭事に抜け目のない男は、英国のEU離脱問題にタイミングを合わせて、上手に株式市場から身を引き始めています。
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