金利の低下と債券価格の上昇について

秋の夜長ですね。ちょっと長めの記事です。

以前の記事で「金利が低下すると、債券価格が上がるのはなぜか」と書きました。この表現はあまり良くなかったです。

今回は、金利と債券価格について


因果関係ではなく


金利と債券価格の関係は、一般的にはあまり理解されていないようです。

金利が低下すると、債券価格が上がる。

これは「風が吹くと → 桶屋が儲かる」のような因果関係で考えない方がいいです。

国債のように信用リスクがなく、クーポンと償還元本が決まっている固定利付債の場合、

1. 金利が低下すると
2. 何らかのメカニズムが働いて
3. 債券価格が上がる

という3ステップのメカニズムではないからです。

1. 金利の低下と債券価格の上昇は同じこと

こうワンステップで考えるのが正しいです。


考え方


1年間の投資で考えましょう。2年とか10年とかの多期間は面倒なので。

1年後に105万円(クーポンで5万円、償還元本で100万円)を受け取れる国債があります。1年後、その国債を財務省の理財局に持ち込めば、債券と引き換えに105万円の現金がもらえます。

比喩的な表現です。(^^)

さて、私はその債券を持っているのですが・・・

急にお金が必要になって、いますぐ現金化したいのです。

償還まで1年あるので財務省に持ち込んでも換金してくれません。では、どうしたらいいか・・・

誰かに買ってもらえばいい。ですね。


いくらで買います?


1年後に105万円を受け取れる国債です。必ず受け取れます。

いくらで買ってくれます?

98万円で買えば → 利回りは7.1%です。(105/98-1)
100万円で買えば → 利回りは5.0%です。(105/100-1)
102万円で買えば → 利回りは2.9%です。(105/102-1)

ね。

将来に受け取れる額が決まっているのだから、価格と利回りは一対一で決まります。


数学的に


将来の受取額=CF
利回り(金利)=r
債券の価格=P

1年の単期間で考えていますので、関係性は単純に

r = CF / P

となります。

で、CFは不変です。

分母のPが大きくなると、自動的にrは小さくなりますよね。


価格決定メカニズム


先ほどの105万円を受け取れる債券。

私はひろく、知人を頼って売るとします。たくさんの人が購入の対象者です。

105万円の債券を売り出すと・・・

他の投資商品の利回りとの比較で、いまなら104万円(0.96%の利回り)で買ってくれるかもしれません。親戚のおじいちゃん、おばあちゃんは預金をたくさん持っているので、0.96%の利回りで買ってくれるでしょう。

もっと低い利回り(高い値段)で買ってくれるかもしれません。


金利上昇のためには


ところで、親戚のおじいちゃん、おばあちゃんは比喩です。いまの日本経済はシニア層が多く、貯蓄余剰なので債券を買ってくれる人がたくさんいると言いたかったのです。

さて、状況を変えてみましょう。

私の知人が住宅ローンを抱えているとします。そうすると「お金は住宅ローンの返済に必要なので債券を買えないよ」と断られるかもしれません。

別の友人は事業をやっていて、「いま事業が順調でね、資金はそっちに使っちゃったんだ。ゴメンね」と断られるかもしれません。

住宅投資が活発なのと、設備投資などのビジネスが活発な状況です。

そういう時に債券を買ってもらおうとすると、104万円(0.96%の利回り)では無理でしょう。

値段を下げて(利回りを高くして)買ってもらうしかないですね。


まとめ、のようなもの


債券は、価格で利回りが決定されます。

逆に言うと、利回りを決めると値段も決まります。

で、お金が余り気味の世の中なら高い値段、低い利回りで買ってもらえます。一方、お金を借りたい、使いたい人が多い世の中なら、安い値段、高い利回りでの取引になります。

あ、

債券の需給はかなり単純化してお話ししています。


おまけ、のようなもの


1. 将来のキャッシュフローはどうか
2. いくらの利回りを期待するか
3. いくらの値段を付けるか

債券は1が確定しているので、2が決まれば3が自動的に決まります。

で、株式は1が確定的には読めないので・・・

話がもう少し複雑になります。

それはまたいつか書こうと思います。

では、よい週末を!

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