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■BOPビジネスの特徴とは何か
fukui:ここまでの話を伺っていると、腕利きの商社マンやコンサルタントが新興国や途上国で新たなビジネスを仕掛ける流れと、BOPビジネスは本質的にそんなに変わらないように感じますが、岡部さんが感じられた「BOPビジネス」ならではの特徴とはどのようなものでしょうか。
岡部:NGOなども含めたいろいろな組織や団体と進めていく必要があるという点が、BOPビジネスのひとつの特徴と言えるのではないかと思います。今回のプログラムでも、WaterSHEDやWSP、Women's Unionといった企業以外の組織・団体と協力しなければ、プロジェクトは前に進みませんでした。
わかりやすい例として、Women's Unionにディストリビューションをお願いしたことが挙げられます。日本であれば、何かプロダクトをつくってそれを販売しようとしたときには、西友などの大手の小売りチェーンに声をかけます。しかし、今回プログラムが行われたヴェトナムの農村部には大手のディストリビューターが存在しませんでした。
ディストリビューターの候補として、中小の卸売業者や小売店にインタビューは行いましたが、インフォーマルな形式が多く、とてもじゃないけれどちゃんと管理できないと感じました。そこで実際に今回販売をお願いしたのは、Women's Unionという現地に圧倒的な影響力を持っている女性コミュニティです。
BOPビジネスを展開するには現地に入り込んでいるNGOや、現地コミュニティと協働しなければならない。という話を聞きますが、こういうことなのか。と腹落ちしました。
fukui:「企業」という形でビジネスパートナーが存在しない場合も多いので、現地に存在する様々な組織や団体と協力してプロジェクトを進めなければならない、ということですね。彼らとの協働で気をつけなければならないことはどのような点でしょうか。
岡部:NGOや現地コミュニティは独自の価値観や行動規範をもって行動しています。ですから、その価値観を理解して話を進める必要があると思います。例えば今回参加したNGOであれば、「公平性」と「1年で成果を出す」という視点。Women's Unionに対しては、彼女たちの生活に具体的なメリットがあるスキームを組むことが重要だったと思います。
しかし、これがなかなか難しい。
fukui:どういった点が難しいのでしょうか。
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