fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

2010年11月

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ユニリーバから投資を引き出した、BOPのビジネスプラン:岡部氏へのインタビュー その2

前回の記事はこちら

■GIFT-YLPヴェトナム・プログラムの概要

fukui:それでは、実際に今回のプログラムではどのようなミッションに取り組まれたのか、教えて頂けますか。

岡部:今回のプログラムの目的はヴェトナムの農村部に手洗い週間を普及させることによって、公衆衛生の改善をはかるというものでした。ヴェトナムの農村部では食事の前や労働の後に石鹸で手を洗うという習慣が十分普及していません。そのことが、病気に感染するリスクを高めたり、下痢などを引き起こす原因となっています。また、手洗い習慣の普及は鳥インフルエンザの感染への予防にも繋がります。

手洗い習慣の普及に関しては、これまでヴェトナムの保健省が中心になって地道に啓蒙活動を続けていましたが、ビジネスを通じてさらに手洗い習慣の普及を促進させる。というのが今回のミッションでした。

fukui:なるほど、ビジネスを通じてヴェトナム農村部に手洗い習慣を広める方法を、GIFT-YLPのタスクフォースが取り組む、というイメージですね。

岡部:そうですね。官公庁向けのコンサルティングに似ているようにも感じますが、実際には官公庁にプレゼンをするわけではなく、問題を分析し、改善策を立案し、その改善策を実行するためにNGOや現地企業を動かすことと、お金を集めることまでしなくちゃいけない。実行まで行う、という意味ではコンサルティング以上にハードと言えるかもしれませんね。

fukui:それを2週間で実行するというのは、大変難しいように感じますが‥。GIFTの本部はどのような事前準備をしてくれていたのでしょうか。

岡部:GIFTはこのプログラムの実行にあたって、何ヶ月も前から今回のプログラムに関係する多くのプレイヤーとコミュニケーションをとり、インタビューの対象やフィールドワークの準備をプログラム期間に凝縮してセッティングしてくれていました。そのため、私たちはビジネスプランの立案に集中して取り組むことができたのです。

GIFTworkbook

※今回、事前配布されたヴェトナム・プログラムのワークブック。(クリックするとダウンロード
これ以外にもそれまで政府やNGOが調査してきた20弱の資料が事前資料として配布されます。


fukui:それは助かりますね。今回のプログラムにはどのようなプレイヤーが関わっていたのでしょうか?
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ユニリーバから投資を引き出した、BOPのビジネスプラン:岡部氏へのインタビュー その1

僕はGIFT-Japanという団体に属して活動しています。
香港に本部があるNPOの日本支部なのですが、この団体が何をしているかというと、

アジアの途上国が抱える様々な問題を、ビジネスを通じて解決する。

ことをミッションとした団体で、途上国の政府やNGO、民間企業を巻き込んで、2週間の研修プログラムを提供しています。研修というと、

所詮お遊びでしょ?


という感想を持つ方もいらっしゃるかと思いますが、GIFTが提供する、GIFT-YLPというプログラムは全てが本気。学ぶ、ビジネスプランを立てるだけではなく、実際に政府やNGO、金融機関から資金提供を受け、持続可能なビジネスを立ち上げることをゴールにしています。

GIFTは、BOP(Base of Pyramid)という言葉が日本に紹介された年、2004年から活動をはじめ、合計17回のGIFT-YLPを実行してきましたが、17回目にして初の投資・事業化案件が生まれたのです!!(ビジネスプランコンテストではないので、本当に現実的に実現可能で収益が見込めるビジネスでないと、誰も投資なんてしないのです。)

投資を決定したのは、ユニ・リーバ。


実際にヴェトナムが抱える公衆衛生の問題を、ビジネスを通じて解決する第一歩が踏み出されたのです。

国籍もバックグラウンドも様々な22人が集まり、リサーチとプランニングをしてきたわけですが、その投資決定に大きな役割を果たした日本人、岡部さんにお時間を頂き、インタビューしてきました。

インタビューがとても感動し、参考になるものだったので、今日はそのレポートをまとめたいと思います。
(※BOPビジネスに関して概要を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。)


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インタビューの前に少し岡部さんのことを紹介しておきます。

もともとは外資系コンサルティング会社のアクセンチュアに勤務。このころ、シカゴで5年、ロスで1年、コンサルティングに従事。その後、アクセンチュアとソフトバンクの合弁会社として設立された、イー・エントリー株式会社の代表取締役に就任。イー・エントリーは海外の技術を国内に輸入・展開する会社で2000年に設立。

本来であれば、僕なんておいそれと口も聞けないようなビジネスの、そして人生の大先輩なんですが、たまたま世界を変えるデザイン展で行われていた新・貿易ゲームのワークショップに参加したときに同じチームになりまして、それ以来気さくにお付き合いして頂いております。(ゲームって、侮れないよ!)

IMG_0239

香港出発前の岡部さん。トレードマークは最高の笑顔!


岡部さんは、アクセンチュア時代にシニア・マネージャークラスのみが参加できるエグゼクティブ向けの研修をシンガポールで受けておられたりするので、GIFT-YLPのプログラムと、コンサルティング会社のプログラムの違いがどこにあるか聞いてみる、というのもひとつの目標にしています。

さて、以下は僕が思いのままきかせてもらったインタビューの抜粋です。

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三国志的人材流動論:その2

三国志三国時代の蜀という国は、初期段階こそ、関羽・張飛・趙雲・諸葛亮と人材が豊富だったけれど、建国を支えた人材が倒れていくに従って、慢性的な人材不足に陥るようになる。蜀の末期を支えた姜維や王平といった将軍たちはもともとは魏の将軍で、しかもさしたる地位を与えられていなかった。蜀で高い地位を与えられてはじめて輝くようになった人材だ。

建国初期の蜀を支えた人材は荊州という、当時の政治の中心地から南に下った地方で得られた。
ここには、多くの知識人が中央の戦乱から逃れてやってきていた。いわゆる清流派と言われる人材達だ。

中央で、曹操が「唯才」というスローガンを掲げて、能力のあるものを抜擢し、それまで大切にされてきた儒学というものを(相対的に)軽んじるようになったため、儒学の思想を大切にし、かつ能力のある人々は、中央を離れ、荊州に集ってきた。

いってみれば、曹操の思想に合わない中央の人が集う場所が荊州になっていたのだ。
劉備はこういった外部環境を利用し、漢朝復興というビジョンと天下三分の計という戦略を掲げ、人材を集め、中央から見れば未開の土地である蜀の地を落とし、建国する。

三国時代と言われるが、その実、呉と蜀を合わせた国力よりも、魏の国力は優っていたという。
広大な中国大陸ではあるが、その実、人が住み、経済を産み出すことが出来るエリアは限られている。
その大半を抑えていたのが魏だ。漢朝末期の人口記録からみれば、魏:呉:蜀の国力比は6:2:1といったところだ。魏から見れば、蜀の国力は時の王朝に背く、一反乱軍に過ぎないものだった。

魏は中央を抑え、能力主義の人材登用制度を整え、人材が集まる構造を創り上げた。
国力では圧倒的な差があったが、呉は揚子江(長江)、蜀は山々の天険に守られ、国力比以上によく国を守った。

しかし、蜀が掲げたビジョンは漢朝復興。漢朝の権威を重んじるものは、時代の流れとともに少なくなっていく。自然、「漢朝復興」の名のもとに集う人士も少なくなっていく。

本来、国力に劣る蜀に残された道は、蜀を建国した勢いを持っての電撃的な進軍だったろう。
漢中を落とし、荊州に残る関羽とともに乾坤一擲、魏を撃つ。その千載一遇のチャンスに劉備(そして、諸葛亮・法正以下幕僚達)は賭けたわけだが、呉の計略により、関羽が拠る荊州は奪われてしまう。義兄弟を殺された怒りに任せ、劉備は戦の矛先を呉に向けるわけだが、、、。続きを読む »
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三国志的人材流動論:その1

東京出張のついでに、久しぶりに後輩と飲んだ。ブログをチェックしてくれていたようで、最近僕が取り組んでいる事業について聞かれたので、簡単に商品の特徴や市場の可能性について話した。

後輩:いや~。なんか、話を聞く前は、fukuiさんが苔とか油を扱っていると聞いて、なんというかfukuiさん流の冗談だとばかり思ってましたけど、思ったより、いや思った以上にスゴい可能性あるじゃないですか!

fukui:(それにしてもこいつは後輩のくせに相変わらず上から目線だな…)まぁ、ITとかと違って余り皆やらない分野だからね。ニッチ市場で差別化された技術があると強いよね。まぁ、ビジネスのセオリーっちゃあセオリーなんだけど。

後輩:確かにそうなんですけど、話を聞く前は、fukuiさんがついに怪しげな商品に手を出してダークサイドに落ちたものだとばかり思ってましたよ!!

fukui:(…先輩に対してもうちょっと言い方はないのかね。コイツは…)

後輩:まぁ、fukuiさんが楽しそうでなによりですよ。ところで、その事業を行っていく上での問題点とか不安点とかってあるんですかね。

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近況報告

随分ブログをサボってしまったのだけれど、最近落ち着いてきたので、気を取りなおしてまた書き始めようと思う。

随分更新していないにも関わらず、今も日に1,000人近くの方が訪れてくださるのは嬉しいやら、申し訳ないやら。人から「ブログ楽しみにしています。」と言われる度に若干ココロを痛めています。

ブログを書けなくなったのは、仕事が忙しいから。というよりも、自分がこれまでインプットしてきた知識や書きたいと思っていたことを半年間であらかた書き尽くしてしまったからだろう。

ブログを書き続けるなかで、どこかしら地に足が付いていない感覚がしてきたのも確かだ。これは、本来書き手以上に読み手が感じることだと思う。

なんというか、急にブレイクした作家や芸能人が自分の本来のポジションやスタンスを見失い、売り出すこと人気とり、テレビ受けを優先して、なんかちょっと違うよね。とファンに言われるような感じだろうか。 ブレイクした作家と比べること自体がおこがましいことだけれども、誰もが程度の差こそあれ、周囲の視線を気にして自分を見失いそうになるってことはあるんじゃないだろうか。

 僕の場合は、問題を挙げ連ねるだけではなくて、自分でも問題解決に取り組んでみろよ。という思いがここ数ヶ月、日増しに強くなっていったわけです。もちろん、書く・情報発信するという行為は間接的には問題解決に寄与しているわけだけれど、もともと僕は、自分でやってみて判断する行動の人。という傾向が強いので、自らが動く時間をより多く取りたいと感じるようになったということだろう。

そういうわけで、ブログの執筆が滞るようになってから、自分は何やってたんだろうと思い出すわけですが、やっぱり自分の強みは「企業向けの研修コンテンツの開発」にあり、自分のやりたいコトは「地元の技術を海外に販売していく」ことにあるわけで、これらの仕事にバランスよく時間を配分し、収益の確保と自己実現、自分自身の新たな強みの獲得を果たして行く必要があるわけです。

そんなわけで、

・8月に商材と方針を決め、
・9月には営業活動に取り組み、
・10月にはJICAが募集していた協力準備調査にプロポーザルを提出し、
・11月(今)は、9~10月に受けた仕事をこなす毎日。

を過ごしてきました。

12月には、ルパン型組織のメンバーとしかけていたBtoCの商品販売サイトが出来上がるので、「地元の技術を販売」するきっかけになるんじゃないかと思ってる。(残念ながら、海外に販売するのはそのもう1ステップあとになりそう。)

JICAのプロポーザルが通れば、来年一気に海外で仕事をする可能性が高まるわけだけれど、僕の周囲も大量に応募してたので、通る可能性が高いとは言い難い。商材やプランには自信があるけれど、これは政治的な要素も絡むだろうから、何ともいえない。もっとも、プロポーザルをつくる中で、様々なメンバーの協力や信頼を得られたわけで、これはひとつの財産になっている。みな、どうなるかもわからない提案に本当に熱心に協力してくれた。

何しろ何かを実現しようと思ったら、それなりに時間が必要で、しかも全力で取組む必要がある。

1回のトライで成功することなんて極稀で、何度も失敗した後に成功する場合が大半で、だからこそ他の1回トライして辞めてしまう大半の人と差別化できるとも言える。

まぁ、そんな風に最近は考えていて、長い目でいろいろなことに取り組もうと思っているわけです。
ブログもこれから改めて思いついたように更新していこうと思いますので、訪れてくださったみなさま、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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