先日、東京で仕事をしているときに訪問させて頂いた会社で、立て続けに似たような話を聞いた。
曰く、
「いまの状態は社員にとって決していい状態ではない。みな、疲弊している。」
というものだ。
お伺いした会社の経営者はいずれも素晴らしい人格者の方々だ。
だからこそ社員の幸せを願っているのだけれど、業績が伸びていく中で、社員がギリギリの状態で働いている。目に見えない疲労や、ストレスが溜まっている。どうにかしたい、という悩みをポツリポツリとお話された。
僕が切れ味するどいコンサルタントであれば何らかの答えを示せるのかもしれないけれど、
その時の僕に出来ることは共感を示すことだけだった。
何故、業績は上がっているのに、社員のストレスは増え続けてしまうのだろう。
給料をあげても、待遇をよくしても、社員の心に溜まった澱のようなものがなくならないのは何故だろう。
どうすれば社員の心に溜まった澱のようなものをなくし、
仕事や人生に全力投球することが楽しくなるのだろう?
結局のところ、個々人によって結論は変わってくる。
(素敵な家庭を持った30代と、野心に満ちた20代では解決策も違うだろう)
だから、必要なのは、組織と個人の対話だ。
個人の価値観をしっかりと理解し、個人の価値観や目標を満たす未来を描く必要がある。
個人と組織の価値観や目標が一緒であれば問題はない。
しかし、大体の場合、社員の心に澱が溜まっている状態というのは、組織の価値観や目標のもと、
個人に犠牲を強いている部分が少なからずある。
だからこそ、組織と個人の対話に関しては、聞き役の人間性が求められる(技術だけではない)。
まず第一段階では、しっかりと話を聞くこと、
次に必要なことは、解決策をともに考え、よりよい未来を描くこと、
そして最後に必要になることは、解決策を実行するために、自ら動くことだ。
言葉でいうのは簡単だけれど、実際に実行するとなると、とんでもなく難しい。
制度の壁があったり、他の関係者と利益相反を起こしたりする。
最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと
という本がある。カリスマ的な人材開発、組織開発のコンサルタントである、マーカスバッキンガムが書いたこの書籍の中では、組織の中でのリーダーの役割、マネジャーの役割がこの上なく簡潔に示されている。
という本がある。カリスマ的な人材開発、組織開発のコンサルタントである、マーカスバッキンガムが書いたこの書籍の中では、組織の中でのリーダーの役割、マネジャーの役割がこの上なく簡潔に示されている。
この本の中で、優れたリーダーとは、
「よりよい未来を描き、一致団結させる」と定義される。
また、
「リーダーは未来を描く。マネジャーはチェスをする。」とも書かれている。
リーダーは、皆が潜在的に望むよりよい未来を明確に描き、それを伝えることで人々を団結させる。
マネジャーはひとりひとりの素質を見抜き、適材適所を実現する。
リーダー、そしてマネジャーの役割は突き詰めていうとそれだけだ。
それだけで、人と組織は今よりも随分とよい関係を築くことができる。
よりよい組織をつくりたい人が、
そのためにまず、やるべきことは、組織(経営者、マネジャー)と個人の対話だ。
長引く不況の中で、
個人のプライバシーを重視する風潮の中で、
効率性を追求する中で、
日常の忙しさに時間が奪われる中で、
もっとも大切な対話の時間が多くの人と組織から奪われてしまった。
多くの企業は今こそ、対話の時間を取り戻さなければならない。
時間がかかる。
粘り強くやろう。
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