ふーりん

夏の風物詩の風鈴ではない。発音も、抑揚がほとんどない。 山歩きをする人なら、何度か経験しているはずだが、澤近くでなくとも、湿気た地道などを好む厄介な奴がいる。   おっつぁん、どげしたかね、足につーがついとうがね。  さっき、がいな、ふーりんが足にさばーついて、おべたわぁ。 野良仕事などで、山際の畑などに行くと、大きな「ふーりん(…

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謎々 判じ絵

謎々遊びは、子供たちに人気があったが、今でもそうだろうか。江戸末期、印刷の技術も進み、人々は駄洒落風の謎かけを、上に貼り付けた様な一枚の刷り物を囲み、頓智を効かせて楽しんだらしい。 この謎々の起源は結構古く、『枕草子』の中で、中宮・定子と清少納言たちが「謎々合わせ」をした様子が、   謎合わせしける。方人にはあらで、  さやうのこと…

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妖怪

昭和三十年代半ば頃には、紙芝居も健在で町中には貸本屋も存在した。一回の賃料が十円だったと思うが、三日間の料金なのか、それとも一週間だったのかは失念した。 中学に入ってすぐ、新しくできた友達に教えてもらい、小学校の校区外にあった人気の貸本屋を探し当て、本棚を覗いた。別段、何かを直ぐに借りるつもりはなく、物珍しさの余りついつい長居した…

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