十日夷 えべっさん

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関西圏以外で生活されている方たちには縁が薄いかも知れませんが、
一月十日には『十日夷、とおかえびす』と称して恵比寿様に因んだ祭りが
多くの神社で催されます。「福男・福女」の神事で知られる西宮神社
今宮戎神社などが著名です。
エビスは七福神の一柱ですが、他の神々とは違い日本固有の神様です。
記紀には登場しないので、恐らく古くから民間、とりわけ漁業に携わる
人たちや商人、また芸能を生業とする人たちから信仰されていたものと
思われますが、日本書紀が神代上で、三貴神に続けて、

  次に蛭児を生む。既に三歳になるまで脚猶立たず。
  故、天磐櫲樟船に載せて、風の順に放ち棄つ。

と記述している「ひるこ」或いは、国譲り神話の場面で登場する、
オオクニヌシの子、事代主神と早くから融合して、
現在どこでも見られる恵比寿様の姿が形作られたようです。
何故コトシロヌシなのかと言えば、稲佐の浜で談判した折、
父親のオオクニヌシは直接アマテラスの使者には応えず、

  僕は得申さじ。我が子、八重事代主神、是、申すべし。
  然るに鳥の遊びし、魚取りに、御大の前に往きて、未だ還り来ず。

とのみ話している件が拠り所となっている訳です。
コトシロヌシには面白い逸話が伝わっています。この神様は耳が遠いので、
お祈りして願い事をする時はドラを叩いたり、大声を上げるというもの。
かつてドリフターズの加藤茶が志村けんと「耳の遠い神様」のコントを
幾度となく演じていましたね。
  

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