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大そうじへの備え
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DATE2024.11.28 #Press Releases 「死」の数理理論を構築 発表のポイント 細胞状態の制御可能性をベースに「細胞死」の数学的定義を提案、細胞数理モデルの生死を判定する数学的手法を開発した。 細胞死を数理科学として理論的に扱うことが可能になった。 「死」を定量的に理解するための基盤となる。 生きている状態と死んだ状態が制御可能性によって判定される(イラスト: 漆畑ドゥイチイヴァナ) 発表概要 今回、東京大学大学院理学系研究科の姫岡優介助教、大学院情報理工学系研究科 堀口修平大学院生(研究当時)と生産技術研究所 小林徹也教授からなるグループは、制御理論に基づいて細胞における「死」の数学的な定義を提案し、またこの定義のもと、代謝反応系の数理モデルが生きているのか、あるいは死んでいるのかを判定する手法を開発した。この手法を用いることで、細胞の「生きている」領域と「死んでい
DATE2024.11.05 #Press Releases 暗黒生態系に潜む原始的古細菌の謎の生態を解明 —— 深海底熱水噴出孔の岩石内部に増殖の鍵—— 発表のポイント 生命進化の最初期に誕生したと考えられる原始的古細菌は、ゲノムと細胞のサイズが小さく、アミノ酸や脂質を合成する能力を欠くため、どのように増殖するのか不明であった。 生命誕生場として有力視される深海底熱水噴出孔で採取した岩石内部で、原始的古細菌は鉱物の隙間に密集しており、そのゲノムとプロテオームの解析に成功した。 発見された原始的古細菌は、周囲の鉱物の働きを用いて自力で合成できない物質を入手していることが示唆された。この様子は生命進化最初期の生き様を反映している可能性が高い。 生命進化最初期の微生物の生息場 発表概要 東京大学大学院理学系研究科の鈴木庸平准教授を中心とした、同大学大学院院農学生命科学研究科、慶應義塾大学、理化
DATE2024.10.15 #Press Releases 弥生時代人の古代ゲノム解析から渡来人のルーツを探る 発表のポイント 土井ヶ浜遺跡から出土した弥生時代人骨からDNAを抽出し、全ゲノム解析を行った。 弥生時代に朝鮮半島から来た渡来人が縄文人と混血し、現代日本人に至る祖先集団が誕生したことがわかった。 渡来人の主要なルーツが解明されたことで、日本人集団の形成過程に対する理解が深まることが期待される。 DNAを抽出した約2,300年前の弥生時代人骨 発表概要 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻のキム・ジョンヒョン大学院生(博士課程1年生)と大橋順教授の研究グループは、東邦大学医学部の水野文月講師、土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアムの松下孝幸館長らと共同で、山口県の土井ヶ浜遺跡(注1)でみつかった弥生時代人(図1)の全ゲノム配列解析を行い、弥生時代にユーラシア大陸東部から日本列島に渡
DATE2024.10.02 #Press Releases 20億年前の岩石内部に生きた微生物を発見 ——粘土で詰まる隙間に高密度で生息—— 発表のポイント 南アフリカの地下に広がる20億年前の地層から、生きている微生物を採取することに成功した。 これまで生きた微生物が見つかった最も古い地層の記録を、1億年前から20億年前まで一気に遡る成果である。 20億年間安定な岩石内部で微生物が進化してなければ、地球の生命の起源や初期進化に迫ると期待される。 20億年間続く微生物の楽園 発表概要 東京大学大学院理学系研究科の鈴木庸平准教授と株式会社日本サーマルコンサルティングによる研究グループは、南アフリカの20億年前に形成した地層を掘削した試料の薄片を観察した(図1)。その結果、岩の内部の亀裂付近を中心に多数のDNAを含んだ微生物の細胞を確認した。さらに赤外分光法(注1)を用いて分析したところ、微
DATE2024.07.11 #Press Releases バクテリアが密集したらガラスになった –細胞集団がとる新しい物質の状態を発見– 発表のポイント 栄養条件下のバクテリアが増殖して高密度化し、アモルファスとなって動けなくなる様子を捉えました。 均一な培養環境を実現する独自デバイスの利用によって、バクテリアのガラス化過程の特徴を解明しました。それにより、バクテリアとコロイドのガラス化に多くの共通点があることが明らかになった一方で、バクテリアガラスならではの固有の性質も見出しました。 バクテリアは多くの場合、バイオフィルムなどの高密度集合体として生息しており、その形成過程の理解と制御は医療や産業における重要課題の一つです。本成果は、バクテリアの高密度化に伴う集団の運動状態や力学特性の変化がガラスの物理学の拡張で理解できうることを示すものであり、こうした社会的課題の解決に向けた一助とな
DATE2024.07.05 #Press Releases 吾妻鏡に記された超新星が遺した奇妙な天体 ――歴史的記録と最新科学の融合が解明する、SN 1181の研究成果―― 発表のポイント 1181年に出現した超新星爆発とそれの遺した活発な白色矮星の性質を明らかにした。 X線で多層に光る超新星残骸を初めて明らかにした。 およそ1000年前に生じた超新星爆発の残骸が現代に再び活発化するという類を見ない現象の解明に寄与し、超新星爆発の多様性理解に貢献することが期待される。 1181年に生じた超新星爆発残骸の多波長観測結果 (クレジット:G. Ferrand and J.English, NASA/Chandra/WISE, ESA/XMM ,MDM/R.Fessen, Pan-STARRS) 発表概要 東京大学大学院理学系研究科の黄天鋭大学院生らの研究グループは、他では見られない性質を持つ超
DATE2024.06.27 #Press Releases 水を極限までおしてみた 超高圧中性子回折実験で 水素結合の対称化の観察に成功! 発表のポイント 世界で初めて100 GPaを超える圧力までの中性子粉末構造解析を実施し、氷中の水素原子の分布を詳しく解析することに成功した。 氷中の水素結合は80 GPaより高い圧力では対称化することが明らかになった。この現象は、半世紀以上前に予想され、これまでも数多くの報告があるが、水素原子の分布を直接的に観察できたのは今回が初めてである。 本研究の成果は、氷の物理化学研究において大きな意味を持つだけでなく、今後、地球や氷惑星内部における水や氷の状態の推定にも役立つと考えられる。 氷中の水素結合の対称化を示した模式図(黒丸が酸素原子、白丸が水素原子を示す)。 発表概要 東京大学大学院理学系研究科の小松一生准教授、山下恵史朗大学院生(研究当時)、伊藤
DATE2024.06.14 #Press Releases 最強動物「クマムシ」のゲノム改変を可能に ――耐性機構の全容解明に向けて大きな前進―― 発表のポイント さまざまな極限環境に耐えることで知られるクマムシ類で初めてゲノム編集個体の作製に成功しました。 親個体の体内にゲノム編集ツールを注入することで、ゲノム中の目的遺伝子を完全に改変した子個体を得る手法を確立しました。 遺伝子改変個体の作製は、長年に渡ってクマムシ研究における最大の技術的課題であり、本研究はその課題を解決しました。これにより、耐性機構の解明が進むことで、ワクチンなどの常温乾燥保存技術の開発につながることが期待されます。 クマムシへのゲノム編集ツールの顕微注入(写真撮影:西郷永希子) (左)模式図(右)写真 発表概要 東京大学大学院理学系研究科の近藤小雪特任研究員(研究当時)、田中彬寛大学院生(研究当時)、國枝武和准教
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DATE2023.11.22 #Press Releases 環形動物ミドリシリスの特異な繁殖様式 ―ストロナイゼーションの発生過程と遺伝子発現― 中村 真悠子(研究当時:博士課程) 佐藤 大介(研究当時:生物科学専攻修士課程、現:同専攻博士課程) 加藤 寿美香(研究当時:生物学科学部生、現:同大学院博士課程) 小口 晃平(生物科学専攻 特任助教) 岡西 政典(研究当時:生物科学専攻 特任助教、現:広島修道大学 助教) 林 良信(慶應義塾大学 専任講師) M. Teresa Aguado(ドイツ ゲッティンゲン大学 教授) 三浦 徹(生物科学専攻 教授) 発表のポイント 日本近海に広く分布するゴカイの仲間のミドリシリスにおいて、体の一部が繁殖のためにちぎれて泳ぎ出す「ストロナイゼーション」という繁殖様式における発生過程と遺伝子発現を明らかにした。 身体の後方に新たに頭部ができ、生殖巣を含む
周 泓遙(化学専攻 特任助教) 山田 鉄兵(化学専攻 教授) 発表のポイント 温度によって相転移を示すPNIPAMに酸化還元活性なビオロゲンを修飾すると、相転移に伴って温度差あたりの電圧(ゼーベック係数)が大きくなることがわかりました。電子冷却効果も観測されました。 ポリマーの相転移のエントロピーを熱電変換に利用できることを初めて実証しました。 僅かな温度差から電気エネルギーを取り出す熱電変換材料を作るための原理となることが期待されます。 ポリマーの相転移を利用して温度差から電気エネルギーを作る 発表概要 東京大学大学院理学系研究科の周泓遙特任助教と山田鉄兵教授らによる研究グループは、熱を電気に変換する熱電変換を行うために、新たな高分子をもちいることで、小さな温度差で大きな電圧を発生させることに成功しました。 熱を電気に変換する熱電変換素子(注1)として最近急速に性能を向上させているものに
中野 晋作(研究当時:地球惑星科学専攻 博士課程) 幸塚 麻里子(地球惑星科学専攻 特任研究員) 鈴木 庸平(地球惑星科学専攻 准教授) 発表のポイント 35億年前の地球環境に類似する深海底熱水噴射孔から採取した岩石内部より、世界に先駆けて走磁性細菌を発見した。 回収した走磁性細菌を解析した結果、これまで知られていない門に属する細菌がマグネトソームの形成を司る遺伝子群を有することを突き止めた。 深海底の岩石内部から発見された走磁性細菌は始原的な特徴を有するため、初期生命の生態や進化の理解につながると期待される。 何のための磁石? 発表概要 東京大学大学院理学系研究科の鈴木庸平准教授の研究グループは、南部マリアナトラフの深海底熱水噴出孔から採取した金属硫化物チムニー(注1; 以下、チムニー)から、世界に先駆けて走磁性細菌を発見した(図1A,B,C,D)。チムニーは金色の内壁と、銀色の周縁部か
茂木 信宏(地球惑星科学専攻 助教) 大畑 祥(名古屋大学宇宙地球環境研究所 助教) 吉田 淳(国立極地研究所 日本学術振興会特別研究員) 足立 光司(気象庁気象研究所 主任研究官) 発表のポイント 主要な気候強制因子の一つである黒色炭素の光学的物性値の現実的な範囲を解明しました。 微粒子の散乱波の位相・振幅の測定に基づく新しい観測手法によりこれを実現しました。 本成果により、リモートセンシングや気候モデリングで用いられる黒色炭素の複素屈折率の仮定値がより確かなものに更新され、気候の分析・予測の精度向上につながることが期待されます。 西部北太平洋上の大気から採取された粒子(エアロゾル)の電子顕微鏡写真の例 発表概要 東京大学大学院理学系研究科の茂木信宏助教らの研究グループは、太陽放射の吸収を通じた気候強制因子である黒色炭素(注1)について、大気放射計算に必要な光学的物性を初めて定量的に評価
三上 智之(研究当時:生物科学専攻 博士課程/現在:国立科学博物館 特別研究員) 池田 貴史(研究当時:生物科学専攻 博士課程/現在:京都産業大学 研究員) 村宮 悠介(公益財団法人深田地質研究所 研究員) 平沢 達矢(地球惑星科学専攻 准教授) 岩崎 渉(生物科学専攻兼担/大学院新領域創成科学研究科 教授) 発表のポイント 近年、3億年前の謎の古生物「タリーモンスター」が脊椎動物であるという説が提唱され、脊椎動物の形態的多様性について見直しが迫られていた。 3DレーザースキャナーとX線マイクロCTにより、150点以上のタリーモンスター化石の3D形状データを得ることで、タリーモンスターの形態学的特徴の解明を進めた。 形態学的特徴を詳細に調べた結果、タリーモンスターは脊椎動物ではなく、脊椎動物以外の脊索動物か、なんらかの旧口動物であることが示唆された。 本研究に基づいて描かれたタリーモンスタ
宇野 友里花(地球惑星科学専攻 博士課程) 平沢 達矢(地球惑星科学専攻 准教授) 発表のポイント 鳥類と爬虫類について、関節した状態で保存された化石骨格の前肢の関節角度を計測し、鳥類のように翼の前縁に「前翼膜」があると、肘関節の角度が低い範囲に収まって化石化することを明らかにしました。 鳥類の祖先系統である獣脚類恐竜について、関節した状態で保存された化石骨格の肘関節角度を計測すると、飛行生態が進化する以前(マニラプトル類)に、すでに前翼膜が進化していたことが分かりました。 これまで証拠が得られにくかった軟体部の進化過程についての成果であり、白亜紀末に絶滅した恐竜の生態や、鳥類の体の構造の成立過程についての理解に寄与することが期待されます。 飛行生態が進化する以前に恐竜系統で獲得された前翼膜 発表概要 東京大学大学院理学系研究科の宇野友里花大学院生と平沢達矢准教授は、世界各地の地層から産出
渡部 裕介(生物科学専攻 特任助教) 大橋 順(生物科学専攻 教授) 発表のポイント 現代日本人の縄文人に由来する遺伝的変異(縄文人由来変異)を用いて、現代日本人の地域的多様性が生じるに至った日本列島人の集団史を解明した。 コンピュータシミュレーションに基づいて、現代日本人のゲノム中から縄文人由来変異を検出する方法を初めて開発した。縄文人由来変異を用いた解析によって、現代日本人の遺伝子型と表現型の地域的な多様性が、各地域の縄文人と渡来人の混血の程度の違いによって生じたことを示した。 本研究は、日本列島人の集団史を解明する上で重要な知見となることが期待される。 発表概要 今回、東京大学大学院理学系研究科の渡部裕介特任助教と大橋順教授は、現代日本人のゲノム中から、縄文人に由来する遺伝的変異(縄文人由来変異)(注1)を検出する方法を開発しました。日本の各都道府県集団の全ゲノムの単塩基多型(sin
唐 楠(研究当時:物理学専攻 特任研究員) 木村 健太(東京大学大学院新領域創成科学研究科 物質系専攻 助教) 酒井 明人(物理学専攻 講師) フゥ ミンシゥエン(物理学専攻 特任研究員) 中辻 知(物理学専攻 教授/東京大学物性研究所 特任教授/ トランススケール量子科学国際連携研究機構 機構長 併任) 発表のポイント 磁性体中における磁気モーメントのみならず、軌道までもが極低温まで長距離秩序を示さず、量子力学的に揺らいでいる新奇な量子もつれ状態「スピン軌道液体」を実現。 スピンと軌道間の量子もつれにより、トポロジカルな量子スピンアイス状態が安定化。 磁場で量子もつれを制御して、スピン軌道液体と固体状態の間の遷移を操作できることを発見。 発表概要 量子コンピュータや量子センサなど、新しい量子技術の開発には巨視的に現れる量子もつれ(注1)の効果の観測とその制御が鍵となります。さらなる技術開
石井 健一(生物科学専攻 助教) 朝比奈 健太(米国ソーク研究所 准教授) 発表のポイント ショウジョウバエという小昆虫を用いた研究により、攻撃性を抑える「ブレーキ」として働く遺伝子と脳神経系が特定されました。 今回発見された「ブレーキ」システムは、集団生活を経たハエ個体の攻撃性を抑える働きを担うことがわかりました。社会経験と攻撃抑制を結ぶしくみの実体を掴んだ研究はどの動物でも前例がなく、本研究が初めてです。 本研究には、ヒトにおける暴力衝動や、社会経験を通じた情動・行動発達の理解に貢献するという、医学的・社会的な意義も期待されます。 発表概要 火事と喧嘩は江戸の花――喧嘩はヒト社会でも日常的に起こりますが、時には暴力事件(攻撃行動)へと発展し社会問題となります。東京大学大学院理学系研究科の石井健一助教と米国ソーク研究所の朝比奈健太准教授らは、ショウジョウバエ(注1)の喧嘩の様子を観察し、
戸谷 友則(天文学専攻 教授) 発表のポイント 宇宙の中で非生物的な現象から生命が誕生したことについて、これまでで最も現実的なシナリオを見いだしました。 生命科学と宇宙論という、これまでほとんど結びつきがなかった二分野を組み合わせ、インフレーション宇宙という広大なスケールで、生物的活性をもつRNAが非生物的に誕生する確率を初めて計算しました。 宇宙は十分に広く、生命は非生物的な過程から自然に発生しうることを示しました。一方、このシナリオが正しければ、地球外生命を我々が将来発見する確率は、極めて低いと予想されます。 発表概要 生命が存在しない状態から、どのように生命が発生したのでしょうか。自己複製できる高度な遺伝情報を持った生命体が、非生物的でランダムな反応から偶然生じる確率はあまりにも小さいと考えられてきました。しかし最新の宇宙論によれば、宇宙は我々が観測可能な距離(138億光年)のはるか
内田 唯(研究当時:生物科学専攻 博士課程大学院生/現:理化学研究所 基礎科学特別研究員) 重信 秀治(基礎生物学研究所 教授) 武田 洋幸(生物科学専攻 教授) 古澤 力(生物普遍性研究機構 教授/理化学研究所 チームリーダー) 入江 直樹(生物科学専攻/生物普遍性研究機構 准教授) 発表のポイント 脊椎動物の基本的な解剖学的特徴が数億年の進化を通して変わらなかった要因として、その胚発生過程が潜在的に変化しにくいことが寄与している可能性を明らかにしました。 動物の特徴がどのように多様化するかは、遺伝的変化や環境変化への頑健性や胚発生過程の安定性などそれぞれの生物に内在化されている特性が影響しうることを示しています。 突然変異により変化した特徴が選抜されることで進化を説明する現代進化理論に対し、修正・拡張を迫る理論を実験的に裏付けた発見です。 発表概要 ヒトを含む脊椎動物は5.5億年以上の
大森 寛太郎(物理学専攻 助教) 発表のポイント 粒子間の相互作用を記述する枠組みである連続的場の量子論(注1) において、「非可逆的対称性」と呼ばれる新しいタイプの対称性(注2) を系統的に発見する手法を発見しました。 「非可逆的対称性」の具体例が3次元の連続的場の量子論において初めて発見されました。 「非可逆的対称性」が場の量子論において発見されたことで、この概念の素粒子理論やハドロン理論への応用が期待されます。 発表概要 対称性は理論物理学において必要不可欠であり、特に場の量子論の研究においては大きな足掛かりとなってきました。「非可逆的対称性」はそのような対称性を一般化する試みです。通常の対称性は逆操作を伴いますが、「非可逆的対称性」においてはこの制限を取り除くことで、通常の対称性に乏しい系でも解析を可能にすることが期待されています。特に、この操作は巨視的な量子的重ね合わせ(注3)を
横尾 舜平(地球惑星科学専攻 博士課程1年生) 廣瀬 敬(地球惑星科学専攻 教授/東京工業大学地球生命研究所 所長・教授) 発表のポイント 本研究グループが世界をリードする超高圧高温発生技術と、大型放射光施設SPring-8の放射光X線を用いた実験の組み合わせにより、世界で初めて、火星や地球コアに相当する高圧高温の条件下で、硫黄と水素を含んだ鉄合金の融解実験に成功しました。実験試料の詳細な観察の結果、火星コア中で鉄-硫黄-水素合金は、硫黄に富む液体と水素に富む液体の2つに(水と油のように)分離することが明らかになりました。 今回の結果から、冷却に伴って火星コア中で液体同士の分離が起こり、これがコアの対流の駆動とその後の抑制を引き起こしたことにより、およそ40億年前まで存在した火星磁場の発生と消失につながったと示唆されます。磁場の消失は、火星大気中の水素の宇宙空間への散逸、さらには火星の海の
中村 真悠子(生物科学専攻 博士課程2年) 小口 晃平(研究当時:大学院理学系研究科 博士課程大学院生) 大森 紹仁(新潟大学 助教) 幸塚 久典(臨海実験所 技術専門職員) 伊勢 優史(琉球大学 博士研究員) 自見 直人(名古屋大学 助教) 三浦 徹(臨海実験所 教授) 発表のポイント 佐渡島近海における潜水調査により、体が分岐する新種の環形動物(注1) を発見し、キングギドラシリス(注2) と命名した。 左右相称の動物において、体幹部が分岐する体制をもつものは極めて稀である。本種の体は尾部に向かって幾度も分岐し、宿主となるカイメン(注3) の中で縦横無尽に張りめぐらせている。 進化学的にも発生学的にも非常に興味深いキングギドラシリスの発見は、左右相称動物の形態の進化過程を探る手がかりともなりうる。 発表概要 東京大学大学院理学系研究科 附属臨海実験所の三浦教授、ドイツ・ゲッティンゲン大
中村 栄一(化学専攻 東京大学特別教授/東京大学名誉教授) 中室 貴幸(化学専攻 特任助教) 灘 浩樹(産業技術総合研究所 研究グループ長) 発表のポイント 無秩序な集合体からナノメートルサイズの食塩結晶ができる瞬間、さらにそれが大きく成長する様子を、スローモーション映像として連続的に記録した。 無秩序から秩序が発現していく過程の全体像を初めて観察・測定することで、イオン結晶の生成機構を解明した。 結晶の形を制御することで望みの性質を持った結晶を手にすることが可能となり、製薬・材料分野へ革新をもたらすことが期待される。 発表概要 人類が結晶を生み出してきた歴史は長く、紀元前より行われてきた製塩はその代表例である。現在では、結晶化は医薬・材料などさまざまな分野において欠かせない技術となっているが、その機構の理解は十分ではない。1913年にX線結晶構造解析法が提唱されて以来、結晶中の原子配列な
渡部 裕介(研究当時:生物科学専攻 博士課程3年生) 一色 真理子(研究当時:生物科学専攻 博士課程3年生) 大橋 順(生物科学専攻 准教授) 発表のポイント 47都道府県に居住する日本人約11,000名の全ゲノムSNP遺伝子型データを解析し、現代日本人の遺伝的構造は各都道府県における縄文人と渡来人の混血の程度と地理的位置関係によって特徴づけられることを示した。 都道府県レベルで日本人の遺伝的集団構造を初めて明らかにした。 本研究により、日本人の形成過程の理解が進むだけでなく、疾患遺伝子関連研究において、適切な検体収集地域の選定が可能になると期待される。 発表概要 今回、東京大学大学院理学系研究科の渡部裕介・一色真理子大学院生(研究当時)と大橋順准教授は、47都道府県に居住する日本人約11,000名の全ゲノムSNP遺伝子型データを用いて、都道府県レベルで日本人の遺伝的集団構造を調べた。クラ
伊藤 創祐(生物普遍性研究機構 講師) Andreas Dechant(京都大学大学院理学研究科 特定研究員) 発表のポイント 熱力学的な観測量の変化速度と情報の抽象的な概念を結びつけることに成功した。 観測量の変化速度に関する情報による熱力学的な限界を新たに導出した。 有限の熱コストで機能している生体システムにおいて、この熱力学的な限界が情報処理速度に影響している可能性があるため、生体システムの熱力学的な理解が進むと期待される。 発表概要 近年、生体分子などの小さなシステムで、情報という抽象的な概念を考慮する必要性が盛んに議論されています。 代表的な例はMaxwellのデーモン(注1)とよばれる考え方であり、この考え方によると情報という概念も熱力学的なリソースとみなせるとされてきました。 一方で、この情報という概念が熱力学的な観測量とどう関連し影響しうるかについては、現在に至るまで深く考
柴田 直幸(物理学専攻 博士課程2年) 吉岡 信行(現:理化学研究所 特別研究員/研究当時:物理学専攻 博士課程大学院生) 桂 法称(物理学専攻 准教授) 発表のポイント 直感に反して熱平衡化しない「量子多体傷跡状態」と呼ばれる状態を持つ新たな数理モデルを、無限に構成する方法を発見した。 乱れがあり対称性の低いモデルでの量子多体傷跡状態を初めて厳密に示し、より一般的な状況でも傷跡状態が生じうることを明らかにした。 本研究は、今後の量子多体傷跡状態に関する研究について新たな方向性を開拓するだけでなく、量子系の熱平衡化に関する本質的な理解を促進する。これにより、物性論から工学まで幅広い応用をもつ統計力学の基盤の理解を深めることに寄与することが期待される。本研究成果は、Physical Review Letters 誌に掲載決定され、さらにEditors’ Suggestion に選ばれた。 発
木村 遼希(生物科学専攻 博士課程1年生) 橋本(杉本)美海(名古屋大学大学院生命農学研究科 助教) 射場 厚(九州大学大学院理学研究院 教授) 寺島 一郎(生物科学専攻 教授) 矢守 航(現:大学院農学生命科学研究科 准教授/研究当時:生物科学専攻 准教授) 発表のポイント 野外では、雲の動きや上部に存在する葉の動きによって葉の受ける光強度は大きく変動する。光強度が一定の環境で光合成能力を強化した例はいくつかあるが、「変動する光環境」に対する植物の光合成応答の強化に成功した研究例はまだ極めて少ない。 気孔は環境に応じて開閉することによって、光合成に必要な二酸化炭素の取り込みや蒸散による水分の放出を制御している。本研究では、光強度の上昇に応じて気孔をすばやく開かせることで、野外の光環境を模した変動光環境において光合成および植物成長を促進することに成功した(図1)。 野外の変動する光環境にお
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